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映画、読書などのメモ

エル・スール

2020-08-07 | chinema(欧米系映画)

 

★エル・スール
監督・脚本:ビクトル・エリセ
出演:オメロ・アントヌッティ/ソンソレス・アラングーレン/イシアル・ボリャン
1983年/スペイン=フランス


静寂な中、必要な音だけを愛情込めて捉えています。
美しくも不思議な映画でした。


スペインの監督さんらしく、
光りと影には細心の心遣いをしている映像。
影というより「闇」といったほうが良いかもしれません。
「闇」の奥行きが美しく、
その世界はとても神秘的で豊かです。

 

 

「ミツバチのささやき」は幼年期の子どもの心の揺れ、
そして自立への葛藤が描かれていました。
この「エル・スール」は少女の心の揺れ、
そして自立への葛藤、
大人への旅立ちまで描かれています。
2作とも、人間の顔に焦点を合わせ、
瞳の表情で、感情の動きを捉えていました。
台詞は極力抑えられているのに、
豊かな感情で満ち溢れています。


この「エル・スール」は「南へ」という意味らしく、
故郷スペインへの強い望郷の思いが描かれているとか。
現代スペイン史辺りに詳しいと、
この感覚はより理解し易いでしょうが、
僕には難しい作業です。
この映画の中で漂うモノは、
想像以上に複雑なような気がしました。


かなり以前の作品ですので、
非常なノスタルジーを感じます。
かもめの風見鶏が印象的です。


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