微睡みの祝祭

夢か現か、微睡みの中を彷徨う。
観たもの、想ったことをただただ漠然と書きとめています。

ディア・ドクター

2018-04-18 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★ディア・ドクター
Dear Doctor
監督:西川美和
出演者:笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、井川遥、香川照之、八千草薫、他
2009/日本

人肌の生暖かい空気、適度な湿度を感じさせました。
自然の中なのに、濃密な人間のざわつきを感じさせました。

鶴瓶師匠は、映画全編をとおして、どこか役者さんとして素人的表情です。
その素人臭さが、周りの芸達者の役者さんの中ではむしろ異質的であり、
そのことがかえって、うさん臭さと、事件のリアル性が、心地よいくらの対比とバランスをもって展開します。
まわりの人たちが自然な演技力をみせればみせるほどに、
鶴瓶師匠の胡散臭い存在感が引き出されます。

何を考えているのかわからないような得体の知れない茫洋とした姿は、
この山村で起きた偽医師事件にピッタリです。
周りの人たちみんなが、その「嘘」を受け入れ、
自然の中での「安定」を選択したような可笑しくも哀しい事件のようです。

この社会への問題提起のようにも受け取れるいくつかの事柄が描かれます。
都市と農村、高齢化社会、そして、医療の問題、生と死に関わる医療のあり方、などなど。
でもそのことを声高く訴えるのではなく、
むしろ「何も答えない」「全てを受け入れる」そして「何もしない」ことによって、
問題の本質を浮かび上がらせているようでした。

これは相当の問題意識と練られた知略が必要ですが、
その強い意図を前面に出してこないところが、監督さんの知性かもしれません。
その意図を鶴瓶師匠の愛くるしくもうさん臭い演技が具体化しているような気がしました。

エメラルドの稲穂が見事です。
田舎のゆったりとした時間の流れ、豊かな自然の光と大きな暗闇。
物語を語るにはピッタリの世界でした。
赤いBMWもお医者さん白衣も緑一色の世界では、異次元のような世界です。
映像を印象づけるすばらしいグッズ 。

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