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映画、読書などのメモ

劒岳 点の記

2018-04-01 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★劒岳 点の記
Mt.Tsurugidake
原作:新田次郎《剱岳 点の記》
監督:木村大作
キャスト:浅野忠信、香川照之、松田龍平、仲村トオル、宮崎あおい、井川比佐志、夏八木勲、役所広司、他
音楽:池辺晋一郎
2009/日本

映画全編が「劔岳」の峻烈な映像です。
映画人のプライドを感じさせる、妥協を許さない厳しく美しい山岳映像です。

この映画の魅力は二つ。
一つは立山、劔一帯の自然の美しさを見事に捉えたカメラワークでしょう。
相当の機材と、気心のしれたスタッフが必要ですね。
山の天候は不安定です。
撮影条件がそろうまで待つ勇気と執念が必要であり、
スタッフの苦労は相当のものだったと想像します。
映画のいくつかのシーンから想像するに、
相当の危険もあったのでは。
それを乗り越えての見事な映像は、
ただ美しいという世界から、
まさに立山曼荼羅の浄土の世界へと繋がるような世界観を感じました。

二つ目の魅力。
それはこの見事な映像を作り出した木村大作監督を中心とした製作スタッフ、キャストのチームワークでしょう。
危険と隣合わせの撮影地では、何よりチームワークが全てです。
良いものを創ろう、残そうという想いが、執念と情熱を高めます。
撮影された映像の純度が、互いの仲間への信頼を高めます。
ラストエンドロールからは、映画人たちの映画への熱い想いと仲間へのいたわりの想いが伝わってきました。

人間ドラマとしての表現部分には、いくつかの微妙なぎこちなさ、不似合いがあります。
大自然がテーマの映画でしたので、その人為的な不自然さが一層目立ちました。
明治という時代背景なのに、古き良き昭和の時代みたいな感覚は可笑しかったくらいです。
名だたるキャストを揃えていましたので、絵として楽しませていただきました。

劔岳一帯は今でも上級者向きの山岳地帯です。
劔岳は見る角度によって様々な姿を見せますが、
何処からみても岩山が針のように刺さり立つ山です。
劔岳に登った事を懐かしく思い出しながら、
大自然の中にすっぽり入り込ませていただき至福の時間を過ごしました。

剱岳の恐怖と爽快感が蘇ります。

コメント
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