微睡みの祝祭

夢か現か、微睡みの中を彷徨う。
観たもの、想ったことをただただ漠然と書きとめています。

きのうの神様

2018-04-20 | book

本を読んだ。

★きのうの神様
著者:西川美和
出版社:ポプラ社

映画「ディア・ドクター」を観たのち、
こんな映画を作った西川美和という人はいったいどんな感覚の持ち主なんだろうか、
という素朴な好奇心が沸き上がってきた。
映画とは違った時間軸、
つまり小説ではいったいどんな感覚を見せているのだろうか。

「僻地の医療を題材にした映画を作りたい」とい想いから始めた取材は、
「ディア・ドクター」の脚本の素材となっているが、
映画だけでは収まらない様々なエピソードや人の生き方を、
本の短編集の中でも生かしている。

しっかり捕まえないと読み流してしまいそうな人の息づかいが語られている。
田舎しかも街から遠く離れた僻地で生きることそしていつか死ぬということ、
そこに関わるきれいごとではない医療の現実を、
人の内面にそっと入り込んで内側から覗くように描いている。
あっさり描いているが、視線はねっちり細やかである。
ボクのような淡白人間には得難い感覚ではあるが、
ある意味女性特有の感性かなとも感じ、その感性は、映画にも通じている。

「1983年のほたる」少女の内面の心理描写が面白い。
「ディア・ドクター」「満月の代弁者」は映画の番外編みたいで、
映画を観ていなければ、これはこれで面白い物語だ。

煩雑な日常時間がふっと止まったようで、
何処かに置き忘れてきたような感覚、
さらりと揺れるような余韻が残った。

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