京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

ドクロの面を持つ蛾がミツバチを襲う

2024年08月21日 | ミニ里山記録

 

 学名 Acherontia styx。スズメ科メンガタスズ属。英名はdeath-head hawkmoth.

 ロンドンの郊外にあるシルウッドパークという学園都市に立ち寄った時、多くの民家の花壇に、ミツバチの巣箱が置かれているのを見た。趣味と実益といった事もあるのだろうが、ヨーロッパにおける養蜂の長い歴史文化を垣間みた気がした。イギリス人にならったわけではないが、定年後、ニホンミツバチを飼い始めた。いま住んでいる家は京都市の真如堂のそばにある。庭に待ち箱を置くと、ほとんど毎年、ニホンミツバチの分蜂群が入る。

 ある夜、巣箱でギギギ•••といった異様な音がするので、巣の蓋をはずし、懐中電灯で中をのぞくと大型の蛾がいた。ミツバチの巣を襲って蜜を盗むメンガタスズメガ(面形雀蛾)の成虫だ。背中にドクロのような不気味なマークを持っているので面形という。おまけに体のどこを振動させるのか、蛾のくせに鳴くのである。口吻は短いが強靭でミツバチの巣に入り込んで巣盤に穴をあけて蜜を盗み取る。ときどきミツバチの返り討ちにあって巣箱の傍に死骸が転がっている。

 セルゲーエフ・ボリス・フェドロヴィチという人の書いた本「おもしろい生理学」(東京図書:金子不二夫訳、1980)によるとメンガタスズメの出す音は、女王バチが巣内で出す音と同じ声色で門番バチをだますそうだ。擬態ならぬ擬声か?ただし、この話を文献検索しても、これに関する論文は見当たらなかった。ちょとあやしい。

 


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