京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

時間についての考察 : 時間と生物のサイズのアロメトリーな関係

2019年04月04日 | 時間学

 

 

サイズの生物学というのがあって、生命現象と動物のサイズの関係などが昔から知られており、アロメトリーな関係式(y = aW ^ b)で表される。

 例えば動物の心臓の1拍の時間 (T) は体重 (W) の1/4乗に比例する。

     T = k x W ^ 0.25  

体重30gのネズミの心周期は0.1秒だが3トンの象のそれは3秒である。寿命についても同様の関係がある。この関係が成立する理由はよくわかっていない。

  個体あたりの標準代謝率は体重に正比例せずに体重 Wの3/4乗に比例する。食料の量もおおよそ体重 Wの3/4乗に比例する。面白いことに、単位重量 (kg)あたりの比代謝率は体重の1/4乗に反比例して減少していく。象はネズミの10万倍の体重があるが、比代謝率は一八分の一である。すなわち象の細胞はネズミの細胞に比べると、たった5.6%しかエネルギーを使用していない。企業的に言うと『大きい会社の社員は小さな会社の社員よりかなりサボっている』ということになる。寅さんに出てくる零細企業のタコの社長は四六時中走り回っているが、大企業の社長は悠々としている。もっとも生理的には、もし象の細胞がネズミ並みに活動すると、体温が100℃以上がってしまうと言う。小さな動物も大きな動物も体温のホメオスタシス(恒温38℃)性の維持を基準に生きていると言うことである。このホメオスタシスを企業的に解釈すると何になるのだろうか? 

付記:アロメトリーと言えば、都市の人口とそこの住民が街を歩く速度との間に相互関係があることが知られている。心理学者のマーク・ポーンシテェインによる研究結果で高い相関係数(0.88-0.90)が観察されている。

参考図書

本川達雄 『時間』NHK出版  1996年


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