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お湯の国 日本

美しい日本の温泉地中心の旅記録(おんせん鑑定士:監修) 【記事・映像は著作権、人権保護法等により無断使用を禁じます】

赤い絲の像(北海道函館市)

2010年05月17日 |   ✑文学逍遥 紀行

北海道函館市函館湾緑の公園の一角に津軽海峡を越えてむつ湾を見つめる像が有る。
函館市と青森市がツインシテイ提携20周年の記念事業で設置されたものだが、この
モチーフが青森県の作家太宰治の小説「思い出」の赤い絲のエピソードが元である。

思い出:太宰治の小説抜粋
『・・赤い絲について語り合つた。それはいつか学校の國語の教師が授業中に生徒へ
 語つて聞かせたことであつて、私たちの右足の小指に眼に見えぬ赤い絲がむすば
 れてゐて、それがするすると長く伸びて一方の端がきつと或る女の子のおなじ足
 指にむすびつけられてゐるのである、ふたりがどんなに離れてゐてもその絲は切
 れない、どんなに近づいても、たとえ往来で逢つても、この絲はこんぐらかるこ
 とはない、さうして私たちはその女の子を嫁にもらふことにきまつてゐるのであ
 る・・・』

解説:これは太宰が弟との会話を文字化したものであるが、太宰治はこの赤い糸の
 ように、愛人と太いロープで繋がれて玉川上水で心中死体として発見された。太
 宰治には賛否両論があるが、やはり、妻子がありながら愛人と心中したという表
 (作家が裏か表かは評価がわかれる)の面を筆者は痛烈に批判する。しかし、そ
 のどうしようもない自我が、一方で佳作を多数残した事に一目を置くのも事実だ。
記録:一方青森市にも青い海公園の津軽海峡を見渡す一角に同様の像が設置された。

参照太宰治(含羞と失意の作家)探訪紀行

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