深夜、『シルシルミシル』という番組を観ていたら、AD堀君が、外国の方に街で声をかけて、おうちで料理を作ってもらう、といういささか強引な企画をやっていました。
作ってくれたのは、フランス、スウェーデン、アメリカの方で、作った料理はいずれも、その国ではポピュラーな(アメリカの方は日系人の父とタイ人の母の間に生まれた方だったので、作ったのはタイカレーでしたが)家庭料理でした。
それを観ているうち、二十歳前後の頃、海外ミステリを読んでいて、出てくる料理がすごく気になったのを思い出しました。
レストランのメニューの場合もあるけど、たいがいやっぱり作中に出てくるのは、家庭料理なんですよね。
アメリカのミステリとか読んでいると、ごくありふれたお惣菜として、よくミートローフが出てきました。
それから、“角のデリでベーグルサンドを買って……”なんて描写が出てくると、ベーグルってなんだろ、食べてみたいな、と思ったものでしたが、今や近所のパン屋さんでも買えるんですものね。
ユダヤ系やアイリッシュ系、珍しいところではギリシャ系などの登場人物が出てくると、その食卓も個性豊かで、食べてみたいメニューがそれこそたくさんありました。
“過ぎ越しの祭り”の特別メニューとか、“パトリック祭”のデザートとか。謎だった“ムサカ”や“タラモサラダ”だって、今や料理本にけっこう載ってる。
でも、今も昔も変わらないのは、そういう家庭料理の描写を読んでいると、自分にはなじみのないはずの外国の料理が、なんだか懐かしいような気分になってくること。
なんとなく、万国共通のあったかさというか、ほっとする雰囲気があるのかなぁ、と思います。