周りのみんなの話題も自然に桜のことが多くなって、少し浮き立つ季節です。
私は少女の頃は、桜よりも梅の方が好きでした。
まだ冷たい空気の中に凛と開く健気さと、芳香に惹かれて、皆はなんであんなにも花見だ桜だと騒ぐのかな、と思っていました。
けれど、歳を重ねてくるとなぜか、桜に惹かれるようになるんですね。
あの、あっという間に咲いて、ぱっと散るはかなさに、何となく人生を連想するんですかね。
それに以前、夜桜を友達と見たのですが、寒かったけれど本当に満開で、その時初めて、桜の芳香を感じたのです。
満開の花の中でやっと感じる、微かな香りでした。
私の中では、桜は華やかな花ではなく、ひそやかな花です。