赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

パナマ文書の影響力 コラム(166)

2016-04-30 12:30:00 | 政治見解



コラム(166):パナマ文書の影響力


中米パナマの法律事務所から機密扱いの金融取引文書が大量に流出した事件は、国際社会を大きく揺るがしています。文書中に名前の出たアイスランドのグンロイグソン首相は辞任に追い込まれ、イギリスのキャメロン首相は釈明に追われています。

ことは、南ドイツ新聞に「パナマの法律事務所が行ってきた犯罪行為を世に知らしめてほしい」との告発から始まりました。データ量が膨大なため、南ドイツ新聞は国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に協力を依頼し、78か国370人のジャーナリストがデータの分析を行ったと報じられています。

パマナ文書に注目が集まったのは、富裕層がタックス・ヘイブンを利用して税金逃れをしていることと、犯罪に関わる組織などのマネー・ロンダリングとして利用されている点です。前者については10カ国の指導者12人とその親族61人が関係する会社、芸能人やスポーツ選手といった著名人が関係する会社に問題があると指摘されています。また、メキシコの麻薬組織や、ヒズボラのような過激派組織、北朝鮮やイランの政府系フロント企業などの名前が挙げられています。


問題の真相

パナマ文書の流出は、アメリカ政府が仕掛けた情報戦であり、ロシアと中国を牽制することが真の目的です。

FIFA(国際サッカー連盟)の汚職事件と同様にFBIやCIAが絡んで意図的にリークしたようです。したがって、報道では、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)が調査していることになってはいますが、彼らには調査能力は無く、ジャーナリスト連合は問題を拡散させるために利用されているだけです。

日本の報道機関では共同通信と朝日新聞社の二社がICIJに参加しています。両社は具体的な調査に参加したわけではなく、ICIJを通して情報を入手しています。

情報筋からは次のような話が寄せられています。

「朝日新聞社はリストの中に日本の政治家の名前があることを期待していたのですが、名前が無いので多少がっかりしています。むしろ中国指導部の名前があるので、どのように報道するか悩ましく感じています。」


ロシアのプーチン氏

プーチン氏が総額2000億円以上の隠し資産を保有し、友人のチェロ奏者が所有する複数の法人に送金が行われたとする記録が出ました。

それでも、ロシア政府とプーチン氏は、パナマ文書を「関係がない」と一蹴し、強気の姿勢を崩していません。ロシア人の我慢強さに加えて、プーチン氏への支持率が80%近くあるので、プーチン氏はこの局面を乗り切ると思われます。


中国の習氏は最大の危機

最も動揺が激しいのは中国政府です。習近平氏の姉の夫が海外に資産を隠匿している事実や最高指導層クラス9人の親族がリストに登場しているからです。「反腐敗運動」を推し進めていた政府の幹部自体の金銭腐敗が明るみになり、貧困や人権を抑圧されていた国民が、鬱積した怒りを一気に爆発させる可能性があります。

このため、中国政府はパナマ文書問題が国民の目に触れないよう徹底した報道管制を敷いています。すでに、主要公式メディアや各種SNSで「パナマ文書」で検索することはできません。また、外交部の報道官は外国メディアの問い合わせに対して「そのような根拠のはっきりしない話にはコメントできない」として、情報が外国を経由して国内に広がることを防ごうとしています。パナマ文書の存在を懸命に隠さなければならないほど習指導部は追い詰められているのです。

しかし、一部の知識人などを通し、多くの国民に伝わった段階で、異変が起きることは十分に考えられます。

情報筋は次のように伝えています。

「パナマ文書はアメリカ政府が仕組んだようです。特に中国政府内では経済の低迷どころではなく、とんでもない事態になっています。最高指導部の7人のうち3人が関わりを持っています。それ以外にも幹部クラスが20人ほど関与しているようです。結果的に、中国の習政権の崩壊のきっかけとなります。」


中国政府は国民の反発を極度に恐れています。国民の目をそらすための常套手段として、国内の言論人に対する弾圧強化や、対外的な軍事行動も予想されます。当ブログは引き続き注目していきたいと思います。



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