赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

迫られる報道機関の改善 コラム(117)

2016-01-13 00:00:00 | 政治見解



コラム(117):迫られる報道機関の改善



放送法第四条をめぐる報道

1月10日の産経新聞と朝日新聞に対照的な記事がありました。放送法第四条を巡る問題で、産経新聞は「『キャスターは反権力』古舘氏、公問状に回答しない岸井氏にテレビ報道の資格なし!」との見出し記事。一方、朝日新聞は「現政権と異なる意見を『政治的に偏っている』の一言で壊すのは非常に危険、乱暴で許してはならない」との社説を掲載していました。

放送法第四条  1.公安及び善良な風俗を害しないこと。2.政治的に公平であること。3.報道は事実をまげないですること。4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

この問題は、放送法遵守を求める視聴者の会(代表すぎやまこういち氏)が、「TBS 報道番組『NEWS23』における岸井成格氏発言に関する公開質問状」に端を発するものです。そこには、「番組中に岸井氏の『メディアとしても(安保法案の)廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ』との発言が、政治的な公平性を逸脱している」との趣旨が書かれていました。

これに対して、岸井氏からの回答がなかったために、1月7日、同会の事務局長が見解を述べましたが、それを巡って、冒頭の記事になったわけです。


啓蒙主義の傲慢さ

ジャーナリズムは他を批判しますが、自分たちが批判されることを許しません。中立性や公平性などを問われると、民主主義を踏みにじるとして反撃します。そこには「ジャーナリズムは無知な人びとに情報を教えてやっている」という傲慢な姿勢が背景にあります。

しかも報道内容に接する人たちに、社会に対する不満や怒りを覚えるように誘導します。その結果、実は報道機関自体が社会秩序を乱す元凶になっていると言っても過言ではありません。それほどの悪影響を及ぼしているのです。


報道する側の論理

報道機関はそのよう状況に対する責任を取ろうとしないどころか自分たちの信条や思想を一方的に伝達し続けているのです。これでは現代社会の複雑化した問題の本質を摘出することはできません。

彼らは、世の中の趨勢が保守化傾向となり、なぜ、安倍政権が支持されるのか、その理由が全くわからないのです。

前述の放送法四条違反の指摘も、「自分たちのやっていることに文句を言うのはけしからん」という程度の認識しかなく、何も気づいてないのです。


視聴者はジャーナリズムの中立性と正義を前提にして報道を受け入れています。したがって、中立性や公平性を欠く報道を拒絶するのは当然です。

今や視聴者は多様なツールを通じて情報を手にすることができます。特定の概念にとらわれた報道機関よりも的確な認識をしているのです。ジャーナリズムはそうした現実を見逃しているのです。

報道機関は、もっと謙虚な気持ちで多くの人びとの意見に耳を傾けることが大切です。それこそが業界の改善のための条件であると思います。



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