シンと静まり返った札幌Kitara大ホールに、ストラディヴァリウスの美しい音色が響きわたる。ピアノの澄んだ音が、同じメロディーラインを追いかける。
ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番「春」。聴き慣れた楽曲だが、やはり、生演奏で聴く「春」の何と魅惑的なことか。ヴァイオリンは、ストラディヴァリウスの名器「ムンツ」という。
一昨日、有希マヌエラ・ヤンケさんのリサイタルを聴きました。彼女は、ドイツ人を父に、日本人を母にもつドイツ新世代の日系ドイツ人バイオリニストです。
パガニーニ国際コンクールの最高位の他、チャイコフスキー国際コンクール第3位、サラサーテ国際コンクール優勝などの実績を持ち、その卓越した技術と「心を揺さぶる演奏」で人気急上昇中とか。この日のピアノ伴奏は、お姉さんの歩(あゆみ)マノンさんでした。
プログラム
・ ベートーヴェン ソナタ第5番 ヘ長調 「春」 作品21
・ バルトーク 無伴奏ソナタより「シャコンヌ」
・ シマノフスキ ノクターンとタランテラ 作品28
・ フランク ソナタ イ長調
・ ワックスマン カルメン・ファンタジー
後半のフランクのソナタもすばらしい出来で、聴衆を魅了するに十分でした。最後に弾いたカルメン・ファンタジーの終曲で弓の一部が切れ、アンコールなしの終演となりました。こんなことも珍しいですね。