先の「雷神の筒」に続いての山本氏の長編「銀の島」です。
「小説トリッパー」07年~08年連載。444頁の大冊です。
キリスト教伝道のため、ポルトガルから2年の月日を費やし薩摩にたどり着いたフランシスコ・ザビエル。同道した日本人パウロアンジロウ(安次郎)の数奇な運命をも重ねて丹念に描かれています。
物語~粗暴な父親を殺して故郷を追われた安次郎は、マラッカで出会ったザビエルの勧めでインドのゴアでキリスト教を学び、従者の辰吉とともに入信する。そして、布教のため日本に向かうザビエルに同道して故郷の薩摩に上陸する。一方、野心的なポルトガル国王軍の将校バレッタは、豊富な埋蔵量を有する石見銀山を奪取すべく武装船団を率いて日本に向かう・・・
山本氏の著作は、丹念な取材と調査に裏付けられているので、生きた歴史を学ぶような面白さがあり、思わず引き込まれてしまいます。
ご一読をお勧めします。尚、航路図は、ウイキィから借用しました。