今日のニセコは、暖かい穏やかにお天気です。
午前中、車のタイヤ交換をしました。これで、いつ大雪が来ても大丈夫で
す。
米国の第44代大統領に選出されたオバマ氏は、その勝利演説で、今回の
大統領選挙の持つ意義や、今後の課題などについて下記のように訴えま
した。以下、ご紹介します。(いつになったら、日本の政治家もこのように
格調の高い演説ができるようになるのでしょうか)
「もし、米国ではあらゆることが可能であるということを疑ったり、建国
者の夢がまだ生きているのか疑問に思っていたり、米国の民主主義の
力を疑ったりする人がいたら、こう言いたい。今夜が答えだと。
この答えは、(投票するために)全国の学校や教会の周りに行列を作
ったこれまでにない数の人々、何時間も待ち続けた人々によって示され
た。これらは多くの人たちにとって初めてのことだった。今回は違うは
ずで、自分たちの声が変革になりうると信じていたからだ。
若者と高齢者、富める者と貧しい者、民主党員と共和党員、黒人と白
人、ヒスパニック、アジア系、先住民、同性愛者とそうでない人、障害
を持つ人とそうでない人が出した答えだ。我々は決して単なる個人の寄
せ集めだったり、単なる青(民主党)の州や赤(共和党)の州の寄せ集
めだったりではないというメッセージを世界に伝えた米国人の答えだ。
私たちは今も、これからもずっとアメリカ合衆国だ。
米国人が達成できることについて、悲観的でおびえていて、懐疑的で
あるようにとあまりに長い間、あまりに多くの人から言い聞かされてき
た人々に対して、歴史の弧に手をかけ、より良い明日の希望に向かって
再びそれを動かすように導いた答えだ。
長い時間がかかった。でも今夜、この決定的な瞬間、この選挙の日に
私たちが成し遂げたことにより、米国に変革が到来したのだ。
先ほど、マケイン上院議員からとても丁重な電話を頂いた。
マケイン議員はこの選挙戦で、長い期間懸命に戦った。そして彼は、
愛する国のため、もっと長い間、もっと懸命に戦ってきた。彼は米国の
ために、私たちの大半が想像もつかないほどの犠牲を耐え忍んできた。
この勇敢で私心のない指導者の献身のおかげで、私たちはより良い暮ら
しを享受している。
私は、マケイン氏とペイリン知事が達成したことについて、彼らを祝
福する。これから、この国の希望を新たにするため、彼らと共に働くこ
とを楽しみにしている。
この選挙戦での私の相棒に感謝したい。心のこもった演説を行い、ス
クラントンの街で共に育ち、デラウェアへ帰宅する列車に乗り合わせた、
そんな普通の人々のために発言してきた男、合衆国副大統領に選ばれた
ジョー・バイデンだ。
さらに私は、過去16年にわたる最良の親友であり、家族の要、生涯
愛する人、そして次のファーストレディーとなる(妻の)ミシェル・オ
バマの揺るぎない支持なくして、今夜ここに立つことはできなかった。
(娘の)サーシャとマリア、君たちが想像する以上に私は君たちのこと
を愛している。新しい子犬と一緒にホワイトハウスに行こう。
もうこの世にいないが、(母方の)祖母が、私をここまで育ててくれ
た家族と共に私のことを見守ってくれていることを知っている。亡き家
族がここにいないのをとても寂しく思う。彼らへの恩義は計り知れない
ものだ。
姉妹のマヤとアルマ、他のすべての兄弟姉妹たち、君たちの応援にと
ても感謝している。
選挙事務局長のデービッド・プルフ、君はこの選挙戦の隠れた英雄だ。
おそらく米国の歴史上で最高の政治運動の態勢を築いてくれた。
最高戦略責任者のデービッド・アクセルロッド、君はあらゆる局面で
私と共にいてくれた。
政治史で最高の選挙チームが勝利を可能にした。このために君たちが
払った犠牲に対して永遠に感謝する。
しかし、何にもまして、この勝利が本当は誰のものかを私は決して忘
れない。それは(米国民である)あなたたち、あなたたちのものなのだ。
私は大統領の最有力候補であったことがなかった。十分な資金や多く
の推薦と共に始めたわけではない。最初は資金も支持者も少なかった。
我々の選挙戦はワシントンの大会場ではなく、デモインの裏庭やコンコ
ードの居間、チャールストンの玄関先で始まった。少ない貯金の中から
5ドル、10ドル、20ドルを出してくれた、働く人々のおかげだ。
力を増したのは、無気力な世代という神話をはねのけた若者たちが、
家族から離れ、少ない報酬と睡眠時間の仕事をしてくれたからだ。寒さ
にも暑さにも負けず、全くの赤の他人の家をノックして回ってくれた、
そう若くない人々からも力を得た。ボランティアとして集まって組織を
作り、(リンカーン米大統領の言った)「人民の人民による人民のため
の政治」は200年以上たっても滅びていないと証明した何百万人もの
米国人から力を得た。
これは、あなたたちの勝利だ。
そして、あなたたちがこの選挙に勝つためだけに行動したのではない
ことを私は知っている。私のために行動したのでないことも。
あなたたちは、これから待ち受けている膨大な課題を理解しているか
ら行動したのだ。今夜は祝うにしても、明日から向き合う難題は我々の
時代で最大級だ。(イラクとアフガニスタンの)二つの戦争、危機に直
面した地球、今世紀最悪の金融危機・・・。
我々は今夜、ここに集っていても、イラクの砂漠やアフガニスタンの
山地で起床し、我々のために命の危険を冒している勇敢な米国人がいる
ことを知っている。
子供たちが眠りについた後も、多くの父親や母親が、住宅ローンや医
療費、子供たちの大学の費用をどうやって工面したらいいか思い悩ませ
ている。
新たなエネルギーの開発、雇用の創出、学校の建設、脅威への対処、
修復すべき同盟関係、といった課題が待っている。
道のりは長く、険しい。1年、あるいは(大統領任期の)1期(4年)
の間には達成できないかも知れない。だが、私は今夜ほどそこに到達で
きるという希望を持てたことはない。
私は約束する。我々が、国民としてそこに到達することを。
出だしのつまずきや失敗はあるだろう。大統領としての私の決定や政
策のすべてに必ずしも賛成しない人もたくさんいるだろう。政府があら
ゆる問題を解決することはできないことも我々は知っている。
だが、我々が直面する困難について私は常にあなたたちに正直にい
る。特に意見が異なるときほど、あなたたちの声を聞く。そして何よりも、
あなたたちにこの国の再建に加わってもらいたい。221年間米国がや
ってきた、ブロックやれんがを一つひとつ、硬くなった手で積み上げる
という唯一のやり方で。
21カ月前の真冬に始まったことは、この秋の夜には終わらない。
この勝利だけが、我々が追い求める変革ではない。これは変革を行う
ためのチャンスに過ぎない。もし以前の状況に戻ってしまったら、変化
は起きない。
あなたたち抜きではできない。新しい奉仕、犠牲の精神抜きではでき
ない。
仕事に取りかかり、より懸命に働き、そして互いに助け合えるよう、
新しい愛国の精神、責任感の精神を呼び起こそう。
今回の金融危機が何かを教えてくれたとしたら、町の大通りが疲弊し
ているときにウォール街だけが栄えていることはできないということだ
と思いだそう。
この国では、我々は一つの国家、つまり一つの国民として栄えたり衰
退したりする。長い間この国の政治を害してきた狭量で未熟な党派主義
に戻ろうという誘惑に耐えよう。
初めて共和党からホワイトハウスに乗り込んだのは、この州の出身者
だった。共和党は自立と個人の自由、国の団結という価値観に基づいて
設立された。これらの価値観は我々も共有している。
今夜、民主党は大きな勝利を得た。だがそれは、一定の謙虚さと、
我々の進歩を滞らせてきた分断状態を正常化しようという決意を伴うも
のだ。
リンカーンは、我々以上に分裂していた国民に対し、「我々は敵では
なく友人なのだ」と語った。感情は高まっているかもしれないが、好意
のきずなを断ってはいけない。
私を支持してくれなかった人たち、あなたたちの票は得られなかった
が、あなたたちの声は聞こえている。あなた方の助けが必要だ。私はあ
なたたちの大統領にもなるのだ。
今夜、米国の外で見守っている人たち、議会や王宮のみならず、忘れ
られた世界の片隅で、ラジオの周りに集まっている、あらゆる人々に対
して言いたい。(今日成し遂げられた)米国の物語は特異だが、我々の
行き先は共有できる。米国の新しい指導力の夜明けは近づいている、と。
この世界を破壊しようとする者たち、我々はおまえたちを打ち負かす。
そして、平和と安全を求める人々、我々はあなたがたを支援する。
米国の(指導力の)灯台が今も明るく輝いているのか疑問に思ってい
る人々よ。今夜、我が国の本当の強さが、武力や富の力ではなく、民主
主義や自由、機会や希望といった絶えざる理想の力に由来することを改
めて証明した。
これが米国の真の才能だ。米国は変化できる。我々の団結は完遂でき
る。これまで成し遂げたことから、明日達成できること、そしてしなけ
ればならないことへの希望が生まれる。
今回の選挙で初めて起きたこと、そして多くの話が、何世代にもわた
って語り継がれるだろう。しかし、今夜私の心に浮かぶのは、アトラン
タで1票を投じた女性のことだ。他の数百万人の有権者と同様に、行列
に並んで投票した。ただひとつ他の人たちと違っていたのは、彼女、ア
ン・ニクソン・クーパーさんが106歳だということだ。
彼女は奴隷制が終わってわずか1世代後に生まれた。まだ道には車が
なく、空には飛行機が飛んでいなかった時代だ。彼女のような人が、女
性であるということと、肌の色という2つの理由で投票ができなかった
時代だ。
今夜、この1世紀に米国で彼女が見たすべてのことに思いをはせたい。
傷心と希望、努力と進歩、「不可能だ」と言われ続けたことに対して、
「我々はできる」という米国の信条を進めようとした人々。
女性が声を出せず、希望が踏みにじられた時代もあったが、女性が立
ち上がって発言し、投票を求める姿を、彼女は目の当たりにした。
(30年代に中西部で起きた)土埃の嵐の絶望や全土の恐慌の時にも、
この国がニューディール政策や新たな雇用、そして新たな共通目標の意
識によって、恐怖そのものを克服するのを、彼女は見た。我々はできる
のだ。
我々の港が爆撃され、独裁体制が世界を脅かしたが、彼女は、一つの
世代が立ち上がり、民主主義が守られるのを目撃した。我々はできるの
だ。
(黒人解放運動のきっかけとなったアラバマ州)モンゴメリーの通学
バスのボイコットやセルマのデモ、「我々は勝利する」というキング牧
師の言葉も聞いた。我々はできるのだ。
人類が月に到達し、ベルリンの壁が崩壊し、世界は科学と想像力でつ
ながった。
そして今年、この選挙で彼女は指で画面に触れて一票を投じた。10
6年の生涯で良いときも暗い時代も経験し、彼女は米国がいかに変化す
るかを知っているからだ。我々はできるのだ。
米国よ、我々はここまで来た。いろんなものを見てきた。だが、やる
べきことはまだまだある。だから今夜、自らに問おう。我々の子どもた
ちは次の世紀を見られるのか。私の娘たちがアン・ニクソン・クーパー
のように長生きできたら、どんな変化を見るのか。我々はどんな進歩を
遂げているのか。
これらの問いに我々が答える好機だ。今は、我々の時代なのだ。
人々に仕事を戻し、子どもたちに機会の扉を開こう。繁栄を再建し
、平和の大義を推進しよう。アメリカン・ドリームを取り戻し、我々
は一つであるという根本的真実を再確認しよう。希望を持つことは息
するくらい当たり前だ。皮肉や懐疑心に出会ったり、「できやしない」
という人に出会ったりしたら、米国民の精神を要約する不朽の信条で
応えよう。「我々はできる」
(注)写真及び、テキストはアサヒコムから借用しました。