9月7日
道東旅行の帰途、札幌に立ち寄り「札響名曲シリーズ」を聴いた。
プログラムはオールモーツアルトである。
・交響曲第1番 変ホ長調 K16
・ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K491
・交響曲第41番 ハ長調「ジュピター」 K551
演奏に先立ち、正指揮者、高関健(たかぜきけん)氏による曲目解説が
あった。札響を聴くのは初めてだが、演奏者の生の声を聞くことができ
る良い企画だと思った。
交響曲第1番は、モーツアルト8才の時の作品。
3楽章の比較的規模の小さなシンフォニーだが、とても8才の坊やが作
曲したとは思えないしっかりした構成と溌剌とした曲想がすばらしい。
札響のサラッとした演奏も良かった。
次は、お目当てのピアノ協奏曲 K491、ソリストは田部京子さんだ。
すらりとした長身にエメラルドグリーンのドレスをまとった田部さんが
登場する。会場からため息とともに拍手がわきあがる。
やや長めの序奏の後、ピアノが優美に後を追う。
曲は20番同様短調なのだが、さほど暗くならず淡々と展開していく。
第2楽章はラルゲット。ゆったりしたリズムの中に、張り詰めたピアノ
が優美に響く。CDではお馴染みだが、一音々々丁寧に積み重ねていく
田部さん独特のピアノに納得する。
第3楽章は、オーケストラとの数回のやりとりの後、ピアノの華麗な演
奏テクニックも披露して速いパッセージから終曲に至る。
感動と納得の拍手が鳴り止まぬない。田部さんは何度も何度も登壇して
丁寧に挨拶をする。「やっぱりいいね」と隣の家内と言葉を交わす。
休憩をはさんで演奏された「ジュピター」は、モーツアルト最後のシン
フォニー。構成も内容もこれ以上のものはない、人類の遺産的な大曲。
少々消化不良気味(小生ら聴く側の)であったが、手ごたえ十分の演奏
であった。「アイネクライネナハトムジーク」第1楽章がアンコールに
演奏された。久しぶりに良い演奏会であった。