私には、赤ちゃんの頃から彼女の実の息子同様に私に愛情を掛けて来てくれた叔母が、今も京都にいます。
ちゃきちゃきでハイカラで、たいへんおしゃれなその叔母は、とってもチャーミングで行動的。
私はそんな叔母が大好きなんですよね。
私の生い立ちのアルバムには、確か『大丸さん』(京都では何故か”さん”付けで名称を言うことが多くて、大丸デパートのことを『だいまるさん』と言うのですよ)だと思うのですが、屋上で私を『う~んっ(^3^)/』と抱っこしてくれているセピア色になったモノクロ写真が貼ってあります。私の宝物のひとつなんですよね~♪
ここへは、その叔母に案内して貰って、父親がまだ生きていた頃に訪れたのが最初。叔母の行動半径の広さは感心モノで、ここのどなたかと付き合いがあるらしく、京都中川・北山の情緒と精進料理でもてなしてくれたのがつい昨日のよう。
空気が澄んで、山も水も空も透き通るようなひんやりとしたたたずまいです。京都は30分もクルマで走ると澄んだ自然に分け入れるところが良いんですよね。
今、私の仕事で扱いも多い”磨き丸太”の総本山?がここですね。京都はやはり、文化的土壌が東京とは異なります。有機物をいとおしく大切にしているというか、八百万の神に今も畏敬の念を抱き続けながら、日々の暮らしを送っているというか…
さて、ひとえに”磨き丸太”といっても、いろいろあるのですよね。
これ、杉です。杉の産地は数多いけれど、台杉を生産しているのはここだけかな。
大変手間をかけて育てているんですよね。詳しくは、こちらのホームページ【京都北山 ~北山杉のふるさと中川~】をご覧になってみて下さい。
ところで、この資料館には目の玉が飛び出るような(◎_◎)一本の木が幾つもあります。皆さんも、もし京都中川へ行かれることがありましたら、ぜひ一度ご覧になってみて下さい。
木造建築界の”大間のクロマグロ”とでも申しますか、いやはや、天然モノはやっぱり凄いわ!
でもネ、”ホンモノ”を見て体験してこそ人間の感性は研ぎ澄まされて磨かれていく訳ですから、感性を磨く為にはネ、”ホンモノ”を見なければダメですよ~。コストの為にはシックハウスの元凶であるホンモノを真似たニセモノの工業化建材を否定することは出来ませんけれども、人間の感性までも贋物漬けされているのに慣れてしまうと、…ネ。
ただここで、価格の高低ばかりに目を奪われることは大変に品の無いことです。
もちろん今回紹介した”天然絞り丸太”は例外中の例外として、汎用の磨き丸太といえども、だいたい一本3000円前後で購入出来る現在主流の4寸角杉柱(12センチ×12センチ×3メートルで節がたくさんある等級)のような価格では購入出来ません。ですけれども、”磨き丸太”や”面皮丸太”は現在でもさまざまなグレードを揃えて、空間に繊細な意匠を醸し出す銘木として、木造建築になくてはならない存在だといえます。
私は、個人的には木割りの細い繊細な感じのする意匠が好みなものですから、柱には小径の小さい面皮丸太が好きですね。磨き丸太・絞り丸太は濫用?は避けたいところです。それにしても、美しいですよ。部屋がとても格調の高いものになって、静謐な雰囲気に満ちたものになります。
モデュロールがヒューマンスケールであることに細心の注意を払い、細部をおろそかにすることなく設計を心掛ければ、素敵な空間になるでしょうね。間違っても現在主流の、建材の工業化モデュールに合わせた設計手法による、例えば天井高ひとつにしても、それ単体だけを見てただ乱暴に高いだけのものを設計するような手法では、居心地の良い空間にはならないでしょう。
大工の世界では、丸太が上手に扱えるというのは、腕の良さを物語っていることと同義語なのですが、設計についても同じことが言えるのではないでしょうか。