(今日の写真はミズナラの純林帯とその中を辿っている踏み跡である。これは岩木山南面中腹下部にある「ガンベ長根」と呼ばれている尾根にある。
県道30号岩木山環状線から、柴柄沢右岸を辿り、標高500m付近から左折して、砥上沢を渡って、その右岸をまた県道30号岩木山環状線に向かって下るという「踏み跡」である。)
私はこれまで、数回この踏み跡を歩いたことがあった。時季もそのうちの1回ぐらいは同じであったようだ。出会った花で印象深いものが「イチヤクソウ」であり、「ウメガサソウ」であったことも一致している。
たが、これまで気づかなかったことの発見があった。それは「ヒバ」の群落との出会いであった。
「ガンベ長根」は広い尾根である。そこを「横に辿る」のがこの踏み跡なのだ。ガンベ長根については明日書くことにしよう。
「ミズナラ」はブナ科コナラ属の落葉高木だ。漢字で書くと「水楢」であり、樹名の由来を表している。それは材に水分が多く、燃えにくいことによる。「水の木」なのである。別名を「コナラ」に対して「オオナラ」という。
「ナラ(楢)」についての由来はいくつか説があるらしいが、次のものを掲げておこう。
①葉が広く平らなさまを「ならす(均す)」としたこと。「地均し」の「ナラ」である。
②冬、枝に残った葉を、風が吹き鳴らす木としたこと。「吹き鳴らして」の「ナラ」である。
③若葉の軟らかいさまを「なよらか」としたこと。「なよらか」が転訛して「なよら」「ならか」が「ナラ」になったのである。
「ミズナラ」は北海道、本州、四国、九州の山地に普通に生え、混交林または純林を作る。大きいものでは樹高が30m以上になる。「ブナ」や「イヌブナ(太平洋側に自生)と同じような分布を示している。
簡単に言うと「ミズナラ」は、あの「どんぐりころころどんぶりこ」という童謡に歌われている「ドングリ(団栗)」をつける樹木である。説明するまでもないが、「堅果(堅い果実)」つまり、「ドングリ」は、やや大きめの卵状楕円形で、「殻斗(かくと):帽子に見える部分」がある。これは「包(包葉)」が融合して果実を抱くようになった「お椀」状のものをいうのである。それがきっちりと瓦状に並んでいるのだ。
野ネズミやリスなどは、この「ドングリ」を食べるのだが、これには「タンニン」が含まれていて渋みが強いのだ。彼らが集めたドングリを土中に埋めるのは、「食料保存」という目的と「あく抜き」をすることを兼ねているのだそうだ。何とすごいことをやっているのだろう。
実は「今日の写真」に見える「踏み跡」を今月23日に辿った。このミズナラ林の奥からは絶えず「杜鵑(ホトトギス)」の鳴き声が聞こえていた。ミズナラの葉は濃い緑になりかかっていてそれは「夏緑」の季節の始まりを教えてくれていた。そして、両側に移り過ぎて行くミズナラの幹は、明瞭な縦縞模様の裂け目を見せていた。
何の変哲もない見慣れた「樹皮模様」であるが、夏緑を映し込んで陰影に紛れて輝くその裂け目は流れる水墨文字のように「妖しく」美しかったのである。
実際、樹皮は灰褐色で、縦に不規則な裂け目があり、薄片状のものが重なっていて、剥がれやすいのだ。そこで出来たのが次の歌である。
・夏緑遠く聞こゆる杜鵑ミズナラの幹縦文字美し(三浦奨)・
ところで、ミズナラの若樹の幹にはこの縦縞模様の裂け目が目立たないのだ。樹皮自体がつるりとして光沢がある。
葉は互生し、やや枝の先に集まる。葉身は倒卵状長楕円形で、縁には大きい鋸歯があり、基部はくさび形に狭くなり、葉柄は無いか、ごく短いのが「ミズナラの特徴」で、仲間のブナ科コナラ属の「コナラ」の葉柄はある程度の長さがある。この葉は「ナラ」の仲間では最も小さい。名前は「小さい葉の楢(なら)」の意味である。
「ミズナラ」と言えば「マイタケ」たけだ。友人で本会の幹事KTさんは岩木山や白神山地に多くの「舞茸畑」を持っているが、いずれもそれは「ミズナラの純林帯」を指している。「ミズナラの巨木の下に、大量のマイタケを発見」が秋になると彼の口癖となる。
「マイタケ」は、数年ごとに発生すると言われているから、彼は「畑のミズナラ林」を順繰りと巡っているらしい。
「ミズナラの材」は堅く、やや赤みを帯びた淡褐色だ。磨くと美しい艶が出るので、ヨーロッパでは、「コナラ属」を「オーク」と呼んで、良質の建築材としている。「ミズナラ」は、ヨーロッパの「オーク」より良質で、かつては輸出されていたということだ。用途はさまざまで「建築や器具、船舶、樽の材料、また、キノコの原木」として利用されている。(明日に続く)
今日はIさん夫妻同行で、岩木山百沢登山道を登り、赤倉口に降りるつもりだ。
心配なことは先ずは「天気」である。「雷」が心配だ。
弘前など遠方からはうかがい知ることは出来ないが、気温が高い日には山頂部で「局地的」に「雷」が発生するのである。「落雷」までいかずとも「誘雷」的な「雷」現象にはこれまでたびたび遭ってきた。
次の心配は「大沢雪渓」の登りである。まだ、大沢にはかなりの雪渓があるので「登下行」には「滑落」しないように十分気をつけなければいけない。もちろん、そのために「ザイル」、「ピッケル」を持参して、雪渓ではアンザイレンする。
念のために、私は12本爪の軽量アイゼンを持ったし、夫妻にはカラビナ付き安全ベルトと「簡易アイゼン」を持たせた。
「案内同行」とは「ただ先に立って連れて行けば」いいというものではない。「ガイド」と呼ばれる人の中には「ただ先を歩いて道の案内をする」だけのものが多い。これでガイド料として、なにがしかの料金を取っているというのだから、開いた口がふさがらない。
県道30号岩木山環状線から、柴柄沢右岸を辿り、標高500m付近から左折して、砥上沢を渡って、その右岸をまた県道30号岩木山環状線に向かって下るという「踏み跡」である。)
私はこれまで、数回この踏み跡を歩いたことがあった。時季もそのうちの1回ぐらいは同じであったようだ。出会った花で印象深いものが「イチヤクソウ」であり、「ウメガサソウ」であったことも一致している。
たが、これまで気づかなかったことの発見があった。それは「ヒバ」の群落との出会いであった。
「ガンベ長根」は広い尾根である。そこを「横に辿る」のがこの踏み跡なのだ。ガンベ長根については明日書くことにしよう。
「ミズナラ」はブナ科コナラ属の落葉高木だ。漢字で書くと「水楢」であり、樹名の由来を表している。それは材に水分が多く、燃えにくいことによる。「水の木」なのである。別名を「コナラ」に対して「オオナラ」という。
「ナラ(楢)」についての由来はいくつか説があるらしいが、次のものを掲げておこう。
①葉が広く平らなさまを「ならす(均す)」としたこと。「地均し」の「ナラ」である。
②冬、枝に残った葉を、風が吹き鳴らす木としたこと。「吹き鳴らして」の「ナラ」である。
③若葉の軟らかいさまを「なよらか」としたこと。「なよらか」が転訛して「なよら」「ならか」が「ナラ」になったのである。
「ミズナラ」は北海道、本州、四国、九州の山地に普通に生え、混交林または純林を作る。大きいものでは樹高が30m以上になる。「ブナ」や「イヌブナ(太平洋側に自生)と同じような分布を示している。
簡単に言うと「ミズナラ」は、あの「どんぐりころころどんぶりこ」という童謡に歌われている「ドングリ(団栗)」をつける樹木である。説明するまでもないが、「堅果(堅い果実)」つまり、「ドングリ」は、やや大きめの卵状楕円形で、「殻斗(かくと):帽子に見える部分」がある。これは「包(包葉)」が融合して果実を抱くようになった「お椀」状のものをいうのである。それがきっちりと瓦状に並んでいるのだ。
野ネズミやリスなどは、この「ドングリ」を食べるのだが、これには「タンニン」が含まれていて渋みが強いのだ。彼らが集めたドングリを土中に埋めるのは、「食料保存」という目的と「あく抜き」をすることを兼ねているのだそうだ。何とすごいことをやっているのだろう。
実は「今日の写真」に見える「踏み跡」を今月23日に辿った。このミズナラ林の奥からは絶えず「杜鵑(ホトトギス)」の鳴き声が聞こえていた。ミズナラの葉は濃い緑になりかかっていてそれは「夏緑」の季節の始まりを教えてくれていた。そして、両側に移り過ぎて行くミズナラの幹は、明瞭な縦縞模様の裂け目を見せていた。
何の変哲もない見慣れた「樹皮模様」であるが、夏緑を映し込んで陰影に紛れて輝くその裂け目は流れる水墨文字のように「妖しく」美しかったのである。
実際、樹皮は灰褐色で、縦に不規則な裂け目があり、薄片状のものが重なっていて、剥がれやすいのだ。そこで出来たのが次の歌である。
・夏緑遠く聞こゆる杜鵑ミズナラの幹縦文字美し(三浦奨)・
ところで、ミズナラの若樹の幹にはこの縦縞模様の裂け目が目立たないのだ。樹皮自体がつるりとして光沢がある。
葉は互生し、やや枝の先に集まる。葉身は倒卵状長楕円形で、縁には大きい鋸歯があり、基部はくさび形に狭くなり、葉柄は無いか、ごく短いのが「ミズナラの特徴」で、仲間のブナ科コナラ属の「コナラ」の葉柄はある程度の長さがある。この葉は「ナラ」の仲間では最も小さい。名前は「小さい葉の楢(なら)」の意味である。
「ミズナラ」と言えば「マイタケ」たけだ。友人で本会の幹事KTさんは岩木山や白神山地に多くの「舞茸畑」を持っているが、いずれもそれは「ミズナラの純林帯」を指している。「ミズナラの巨木の下に、大量のマイタケを発見」が秋になると彼の口癖となる。
「マイタケ」は、数年ごとに発生すると言われているから、彼は「畑のミズナラ林」を順繰りと巡っているらしい。
「ミズナラの材」は堅く、やや赤みを帯びた淡褐色だ。磨くと美しい艶が出るので、ヨーロッパでは、「コナラ属」を「オーク」と呼んで、良質の建築材としている。「ミズナラ」は、ヨーロッパの「オーク」より良質で、かつては輸出されていたということだ。用途はさまざまで「建築や器具、船舶、樽の材料、また、キノコの原木」として利用されている。(明日に続く)
今日はIさん夫妻同行で、岩木山百沢登山道を登り、赤倉口に降りるつもりだ。
心配なことは先ずは「天気」である。「雷」が心配だ。
弘前など遠方からはうかがい知ることは出来ないが、気温が高い日には山頂部で「局地的」に「雷」が発生するのである。「落雷」までいかずとも「誘雷」的な「雷」現象にはこれまでたびたび遭ってきた。
次の心配は「大沢雪渓」の登りである。まだ、大沢にはかなりの雪渓があるので「登下行」には「滑落」しないように十分気をつけなければいけない。もちろん、そのために「ザイル」、「ピッケル」を持参して、雪渓ではアンザイレンする。
念のために、私は12本爪の軽量アイゼンを持ったし、夫妻にはカラビナ付き安全ベルトと「簡易アイゼン」を持たせた。
「案内同行」とは「ただ先に立って連れて行けば」いいというものではない。「ガイド」と呼ばれる人の中には「ただ先を歩いて道の案内をする」だけのものが多い。これでガイド料として、なにがしかの料金を取っているというのだから、開いた口がふさがらない。