岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「COP10」の開催が近づいた…「生物多様性」の前に身近で「生物多様文化性」を探そう

2010-10-06 04:16:46 | Weblog
◇◇「マツタケ(松茸)」の持つ生物文化多様性(1)◇◇

 今日の写真はキシメジ科キシメジ属のキノコ「マツタケ(松茸)」である。「マツタケ(菌糸体)」の生育温度範囲は5℃から30℃、最適温度は22℃から25℃であり、菌糸の成長速度は遅いといわれている。「マツタケ」をして「生物多様性」を確固たるものにするためには、何よりもこの「生育温度範囲が5℃から30℃」ということが大切なのである。
 だが、今年は「地球温暖化」に加えて、偏西風の蛇行とラニーニャ現象によって「猛暑」が季節的な秋になっても続いた。「マツタケ」にとっての「生育温度」を遙かに越える暑さなのである。だから、9月になっても「マツタケ」はその姿を見せない。そして、ようやく9月の下旬から10月に入ると、日中の気温が、彼らの好む「22℃から25℃」と安定してきた。それまで、抑えられていた「マツタケ」の成長は急激に早まった。本来「マツタケ」の成長速度は遅いから、「適温」を待つという時間はいきおい、長くなった。そして、爆発的に、ニョキニョキと生えだしたのである。
 「マツタケ豊作」とばかり喜んではいられない。この異常発生は、ひょっとすると来年、再来年の「不作」の要因になることは十分考えられるからである。
 この「マツタケ」は本会の会長が採ってきたものを、お裾分けしてくれたものだ。「キノコ」には「当たり年」と「外れ年」があるようで、「採れた」年には必ず、お裾分けしてくれるのだが、今年は「あてに出来ない」と思っていた。だが、このように「大きな」ものを頂いたのである。これまで貰ったもので、これほど大きなものはなかった。大体が「小粒」で、食べても「どこに食べたのか分からない」ということが多かった。だが、それらの中で、今年のものは、とりわけ大きいものであった。
 傘がかなり開いているが、まだ、香りが十分しているから、あと、2、3日は香りが飛んでしまうことはないだろう。また、表面がまだ、湿っていて、柄の部分も固いので、「良品」の部類に入るはずである。会長には感謝である。
 「マツタケ」は、貧栄養で比較的乾燥した場所を好み、秋になると「アカマツ」や「コメツガ」、「ハイマツ」などの単相林、または針葉樹が優占種となっている混合林に生える。
 岩木山には少ないものの「アカマツ」も生えているし、「コメツガ」も「ハイマツ」も生えているが、岩木山で「マツタケ」に出会ったことがない。いくら、キノコ音痴の私でも「マツタケオール」が発散させる独特の強い香りを嗅ぎ取ることは出来るので、「出会える」と直ぐにそれと分かるはずなのだが、一度もその経験がないのである。
 それはそうだろう。「マツタケ」は痩せた土地を好むのだ。だから、松の枯葉が厚く積もって腐葉土になっているような場所では育たない。また、適当に陽光の射す場所の方がよく、深い山奥ではなく、枝を払ったり、落ち葉を拾い集めたりするなど、人手によって「攪乱」された場所によく生えるのである。
 だが、化石燃料やガス、それに電気が使われるようになると、「火付けに使うための松の枯葉」を集める事もなくなった。そして、松林が「富栄養化」し、雑菌が繁殖して 雑菌に弱い「マツタケ」の菌糸は「生えるための」土台を造ることが出来なくなり、生えないという状況になっていることが多いのである。

 …ところで、先日、連れあいが「生物多様性、生物多様性って、もう聞き飽きたわ、いい加減にしてくれないかしら」という意味のことを、私の前で言った。
 私は思わずむっとして「それでは、生物多様性についてどれほどのことを理解しているんだ」と言った。
 その言い分は「みんな知っているわ」であった。これはウソである。「生物多様性」とは奥が深く、幅も広い。1人の人間が「理解し尽くす」ことは土台、無理なことなのである。恐らく、その理解し尽くせないことを知っていたので、「知っているわ」と言ったのであろうが「生物多様性」を守ろうとしている私からすると、そのような「連れあい」の言葉は「ベターハーフ」ならぬ、「ビターハーフ」を意識させるに十分なものだった。(明日に続く)

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