岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

小さな小さな花、キュウリグサ(胡瓜草)とハナイバナ(葉内花)

2007-05-09 06:55:03 | Weblog
 はじめに、「弘前公園入場有料化」問題について「有料化の議論と弘前公園の自然」という題で東奥日報「明鏡欄」に私の投稿記事が掲載されたことを報告しよう。7日付けの夕刊である。この問題に関する投稿掲載は3回目となった。
 このブログを読まれている方はそちらも読んでいただきたい。なお、4回目の投稿は昨日、メールで送付した。

 小さな小さな花、キュウリグサ(胡瓜草)とハナイバナ(葉内花)

 桜祭りの終わりの日である。花見に出かけた。…とは言っても弘前公園ではない。公園の桜はすでに満開を過ぎ、夜来の雨に打たれてただただ散りいそぐだけのことだろう。散り惜しむかのように「散る」山桜ならば、その風情を古代の都びとのように味わう気分にもなるだろうが、気ぜわしい「ソメイヨシノ」さんでは落ち着かないだけである。
 かなりの曲解だが…「花より団子」とはよく言ったものだ。まさにそんな気分であった。

 私は公園の桜より4、5日毎年遅れて咲きだす桜を知っている。それは、弘前の北東の端っこ、加藤川が平川に流れ込む辺りに咲く3本のソメイヨシノである。一体誰が植えたのか。樹齢は60~70年くらいだろう。昔の加藤川の堤防と思しき土手のような土塁状の上に植えられている。堤防敷設の記念樹かも知れない。この桜には「隠れファン」がいるらしく、毎年数名の「鑑賞者」と出会うのだ。不思議なことに彼らはすべて単独である。

 その土手の東側はリンゴ園である。その緩やかな斜面に腰を下ろして、お弁当を広げる。土手の上部には落種から生えたのだろうか、黄色のナタネの花が彩りを添えてくれる。
 背後には桜の幹と枝と花、私は桜と菜種の花が描かれた屏風を背にしている。それらの間から見える土手の上の遙か彼方に岩木山が浮かんで見える。
 目の前にはいろいろな花が咲いている。ヒメオドリコソウ、タネツケバナ、ヒラオオバコ、シソ科のカキドオシ、ゴマノハグサ科のトキワハゼ、ムラサキゴケなど、いわゆる雑草と呼ばれる草々の花が咲き競っているのだ。
 その中でキラッと小さな小さなブルーが光った。最近視力が落ちているのに、よく見えたものだ。発見だ、キュウリグサだとすれば今年最初のお目見えである。
 とにかく小さな花で直径が2mmしかない。私の庭にも咲いている花だが、今春はまだ確認していない。

 キュウリグサはムラサキ科キュウリグサ属の二年(越年)草(多年草とする説もある)で秋に芽生え、ロゼット状に葉を広げて冬を越すものだ。つまり、雑草である。 日本全国の少し湿った野原や道端や畑などに生育している。茎の上部の葉は、長楕円形で長さ1~3cm、幅6~15mmで細毛がある。茎は下部で分岐し、茎の上部の花序(かじょ)はゼンマイ状(「サソリ形花序」と呼ばれてサソリの尾のようにくるりと巻かれている)に巻き込んでおり、外側のつぼみからだんだんと咲いていき、春が進むにつれ、花が開くにつれ、花序は次第次第にほどけてまっすぐに伸びていく。
 春に10~20cmの花茎をだし、長さ3~9mmの柄を持つ、径2mmの淡青紫色の小さくて可憐な花を上向きに咲かせはじめ、次第に立ち上がって背丈が高くなる。
 花期は4~6月で高さ25cmほどになることもある。花は一斉に咲き揃うということはない。一つ咲いては一つ落ちて…といった風情で、寂しさを感じさせるが、キュウリグサは時間を掛けて、少しずつ確実に子孫を残していくのである。
 とにかく、小さな花なので普通に見ていては「見え」ない。それに会えたのだから嬉しい。麦作の伝来にともなって帰化した「有史前帰化植物」の一つだといわれている。この小さな花が古代の帰化植物かと思うと、その健気さに胸が熱くなる思いだ。 
 若い茎や葉は食用として利用されるというがまだ食べたことはない。胡瓜の香りがするから酢膾(すなます)にして食べると美味しいかも知れない。

 キュウリグサという和名は「葉を揉むとキュウリのような臭いがする」ことに由来するというので、葉を1枚採って「揉んで」みたが、「キュウリ」の香りがまったくしない。いくらそれを鼻に近づけてみてもしないのである。
 「えっ、これは何だ。ひょっとしてあれかな。」私はかなり慌てた。よくよく花を見る、全体の姿を今一度観察すると、それは非常に似ているがキュウリグサではなかったのだ。
(明日に続く)

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