岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

後長根沢とそこの花々と動物たち

2007-05-08 07:20:43 | Weblog
 後長根沢とそこの花々と動物たち

 今朝は、13日に実施する「岩木山自然観察会・後長根沢ぞい」の花や動物について解説をしよう。
 本会では毎年、春と秋、それに3月の雪上自然観察会を岩木山で開いている。02年の春は「二子沼」と西岩木山林道沿いで実施したが、その時の参加者は100名を越えた。観察会の成功・不成功は参加者数の「多」「少」で決めることではないという反省から、最近は募集人数に制限を加えている。それは「自然」に対する影響を最少するということを大切にするという考えからだ。

 管理人の葛西さんに本ホームページの扉に、この「案内」を載せてくれるようにとかなり前に「原稿」を送ってあるのだが、何しろこの時季、水田農家にとっては「田植え」の準備期間、猫の手も借りたいほどの忙しさだ。ホームページの更新まで手が回らないのである。そのことを「理解」して、数日前のブログでも案内をしたのである。
 葛西さんが私に「ブログ」開設を勧めた理由は実はここにあったようだ。私の「ブログ」で済む記事は、「ブログ」で済ませる。管理人の手を煩わせることはない。
 …とは思うのだが、本会を代表する行事「自然観察会」を私の「私的」なブログに掲載することは心情的に憚られるのである。 

 13日には「弘前の北西に開がる農地を育み続けている岩木山東麓の後長根沢に早春を訪ねよう」というタイトルで実施する。
 
 後長根沢は岩木山の南東面に位置し、標高200mから580mにかけて緩やかな斜面が約3㎞に渡って続き、広い川原をなしている。
 しかし、標高750mから1300mにかけては斜度が40度を越え、所々が断崖絶壁となっている。
 最も高い断崖絶壁部分を、地元の人たちは「おおまぶ」とか「後長根の倉窓」と呼んでいる。この断崖部分からの開析谷が後長根沢である。
 「まぶ」というのは剥き出しの岩が直立している場所を意味し、「倉」という呼称は急峻な崖を意味している。
 
 岩木山の大沢左岸から大黒沢右岸にかけての東面は、広大な雪の吹き溜まり地帯で遅くまで積雪がある。また、この沢は雪崩の頻発地帯で、毎年大きな雪崩が発生している。
 吹き溜まりによる積雪と雪崩で集められた多雪が雪解け水となって、この沢に流れ込むのである。昔から多くの農家はこれを恵みの水として利用してきたのだ。

 先ず沢左岸沿い林檎園のわきを進む。時折、沢の最奥の壁が見えたりするが、ミズナラ林と杉林の中を行く。
 リスやカモシカに会えるかも知れない。私は何回かこの沢と尾根筋でクマとも会っている。
 次はその時の出会いを文章にしたものである。
『 陽はすでに高く、左肩口から照りつけていた。残雪の脇にフキノトウが勢いよく伸びている。これは冬眠あけの熊を待つ花、ご馳走フキノトウだ。そして、その先端だけがきれいに摘み取られていた。
 熊が喰い散らしたフキノトウ。冬眠から醒めた熊は先ずフキノトウを漁るのである。きわめて新しい今し方の採餌痕だ。近くにいるはずだ。
 熊との不用意な出会いを避けるために、熊よけの笛を吹いた。右手に急斜面のブナ林が見えてきた。
 ブナの幹は白く眩しかったが、黒いものが林内の雪の上を横切って行くのが見えた。ゆっくりと歩く熊だ。時々、立ち止まってはこっちを見ている。距離は約30m。嬉しく妙に懐かしく、古い友達に会ったような気持ちだ。
 去年、一昨年と害獣駆除の名目で熊は殺されていた。ああ、この狭い岩木山でも元気で生きていたのだ。夢見心地の中にいた。』

 この時の感動は家に帰ってからも消えなかった。そして、出来た短歌が次の二首である。
 ◯ブナ林の白く眩しき雪の上冬眠あけの熊去り往きぬ   
 ◯去年(こぞ)今年害獣という名尽きえたり命雄々しく熊の往くなり

「去年」の歌は「尽きえたり」を「耳にせず」とすべきかで少し迷った。
人間の都合により一方的に「害獣」として殺され、駆除される熊への思いと目の前を行く元気な熊への愛おしい気持ちを表したつもりだがどうだろう。
 観察には「事実と自分の思想との融合」も必要であろう。

 約1時間ぐらいで川原に出る。川原特有のバッコヤナギの可愛い綿帽子はすでに開花し、綿のような種子を飛ばしているかも知れない。運がよければ川原に遊ぶ野ウサギに出会えるだろう。
 黄色いマンサクの花にも会える。残雪の脇ではフキノトウが採れるだろう。

その他に出会えると思われる花名を挙げておこう。
草の花 ◯ナガハシスミレ ◯オオバキスミレ ◯スミレサイシン ◯タチツボスミレ ◯クルマバソウ ◯キジムシロ ◯ミズバショウ ◯チゴユリ ◯マイヅルソウ ◯ユキザサ ◯エンレイソウ ◯ヒトリシズカ ◯カタクリ ◯ニリンソウ ◯キクザキイチリンソウ ◯キバナイカリソウ ◯エゾエンゴサク ◯ウスバサイシン ◯オクエゾサイシン ◯エゾノリュウキンカ

木の花 ◯キブシ ◯オオヤマザクラ ◯カスミザクラ ◯ツノハシバミ ◯オオバクロモジ◯ミズキ ◯ウワミズザクラ ◯ヤドリギ ◯ユズリハ ◯ヒメアオキ ◯バッコヤナギ ◯ハンノキ ◯タムシバ ◯マルバマンサク ◯アブラチャン ◯オオカメノキ ◯タラノキ

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