(今日の写真はフウロソウ科フウロソウ属の多年草「ゲンノショウコ(現の証拠)」である。北海道、本州、四国、九州の日当たりのいい「山野」に普通に生える。だが、この今日の写真は、我が家の裏というか北側の一日中、日の当たらない軒下で見つけたものだ。 この軒下には別に植えたわけではないが、セリ科ミツバ属の多年草「ミツバ」も生えている。これは雑木林や林地周辺の木陰等に生育しているものだ。
また、キンポウゲ科キツネノボタン属の多年草「ケキツネノボタン(毛狐の牡丹)」やアカバナ科アカバナ属の多年草「アカバナ(赤花)」も生えている。
これらは、すべて「山野」に生えていて、「山野」で咲くものである。だが、私の家の北側の軒下は「山野」ではない。
種明かしをしよう。この軒下には「水道蛇口のある洗い場」があるのだ。岩木山から帰ってくると、そこで、ズボンの裾とか登山靴の水洗い(下洗い)をするのだ。そこで、付着していた「山野」の種子が、その周囲に洗い流されたり、はじき飛ばされたりして根付いたのである。セリ科の種子にはスポンジ質のものがあり、これは「水流散布」といって水流によって散布体が運ばれる。それに似たものに、雨粒などの水滴があたった衝撃で種子が飛ばされる「水滴散布」といわれるものもある。
ゲンノショウコは、果実や種子が自動的にはじき飛ばされる「自動散布」型で、果皮が裂開しようとする力が果皮をつなぎ止める力を越えた時に、瞬間的に果実が分解し、内部の種子がはじき飛ばされるものや、果皮が収縮する力で種子がとばされるものがある。
いつしか、我が家の北側軒下は「山野」となっていたのである。因みに、南側にある「小さい」庭では「この種」の草花は何一つない。
今春、ミツバに混じっている「根生葉」を見つけた。びっくりした。何というか「トリカブト」の葉に似ている。ミツバを摘む時に間違って、摘んだら大変だ。そんな想いを4月から5月にかけてずっと持っていた。
そして、昨日、それは「今日の写真」の花を一輪だけ咲かせていたのである。開花期が6~8月ということに間違いはなかった。
改めて、というよりも安心して「よく」調べてみた。草丈は30cm以上はある。どんどん大きくなるだろう。茎や葉に毛があって、葉は対生して、3~5に裂けている。花は白花だが、他に紫紅色、淡紅色になるものもある。直径1.5cmほどで、果実は果でこれも1.5cmほどの長さだ。
別名の「ミコシグサ(御輿草)」は種子の弾けた後の果実が「神輿」に似ていることによる。花名の由来は「この薬効が速やかに『現われる』こと」による。そこで『現の証拠』と呼ばれるのだ。その薬効だが「便秘、下痢、関節痛、神経痛」で顕著だという。
◇◇色々なことでの問い合わせがあるものだ…(2)◇◇
(承前)昨日のN氏の依頼に対する「回答」の続きである。
…岩木山は薬師、阿弥陀、観世音仏を祀る三峰三位一体の霊山である。神として国常立命(くにとこたちのみこと)や顕国魂神(うつしくにたまのかみ)他四神を祀っており、その神事は南麓百沢の岩木山神社が司っている。
また北東麓には坂上田村麿の蝦夷征伐に因んだ赤倉神社がある。つい先年まで山伏が修行していたが、赤倉大権現を祀っているものである。なお、赤倉神社界隈の沢筋には多くの社屋(堂房)があり、そこには巫女(老女であることが多い)が住んでいて口寄せなどで信仰・参詣のために多くの人々が集まって来る。こちらは岩木山神社とは対照的に昔からの民間信仰が今でも綿々と続いている。
…石清水について
これは、もっとも歴史的で一般的な登山道である岩木山神社からの登拝道にある。津軽の人は石清水とは言わないし、「岩木山の石清水」といっても分からないだろう。漢字で書けなくても「錫杖清水(しゃくじょうしみず)」という名称は誰でも知っているはずである。
百沢登山道は、温泉宿を門前にした岩木山神社から桜林、スキー場、姥石(うばいし)、焼止り小屋、坊主ころばし、錫杖清水、鳳鳴小屋、急登の一の神坂、二の神坂を登り山頂へというコースで、 登山口から4時間30分を要する。
錫杖清水は、大体標高1300m付近の湧水である。通年枯れることはない。この高さの場所に噴出していることと勢いよく湧き出すことに、人々は畏敬の念を強くしている。
あえて「…合目」をつけると「8合目」くらいになろうか。
この百沢登山道では道順に「…合目」という呼称を使わない。岩木山には五つの登山道があるが標識に「…合目」と記載してあるのは、百沢登山道の東尾根にある弥生登山道だけである。この登山道は60年前に弥生に入植した人たちが造った新しい道であり、古来からの道では「…合目」を一切使用していない。
◇◇ 「ホトトギス」は何故「夜」も鳴くのか ◇◇
所沢市I氏からの質問
…水芭蕉沼でお目にかかったIです。色々お世話になりました。さて、嶽温泉の水芭蕉沼周辺のホトトギスが日中だけでなく、夜間も鳴いていましたが、こういうことは雛が孵る前のことでしょうか。育雛を委託した雛が孵ると鳴かなくなると聞きましたが、そもそも普通は夜間鳴くものでしょうか。
同様な託卵の習性を持つカッコウはあの地域には3羽いましたが、夜間は鳴きませんでした。いつもホトトギスの方が朝は早く鳴きだしていました。
ホトトギスが夜間鳴くのはたまたま水芭蕉沼に限ったことなのか? 夜間に鳴くことが雛が孵る前には普通であるなら、その理由は何なのでしょうか。ご存じでしたら教えていただければ幸甚です。(明日に続く)
また、キンポウゲ科キツネノボタン属の多年草「ケキツネノボタン(毛狐の牡丹)」やアカバナ科アカバナ属の多年草「アカバナ(赤花)」も生えている。
これらは、すべて「山野」に生えていて、「山野」で咲くものである。だが、私の家の北側の軒下は「山野」ではない。
種明かしをしよう。この軒下には「水道蛇口のある洗い場」があるのだ。岩木山から帰ってくると、そこで、ズボンの裾とか登山靴の水洗い(下洗い)をするのだ。そこで、付着していた「山野」の種子が、その周囲に洗い流されたり、はじき飛ばされたりして根付いたのである。セリ科の種子にはスポンジ質のものがあり、これは「水流散布」といって水流によって散布体が運ばれる。それに似たものに、雨粒などの水滴があたった衝撃で種子が飛ばされる「水滴散布」といわれるものもある。
ゲンノショウコは、果実や種子が自動的にはじき飛ばされる「自動散布」型で、果皮が裂開しようとする力が果皮をつなぎ止める力を越えた時に、瞬間的に果実が分解し、内部の種子がはじき飛ばされるものや、果皮が収縮する力で種子がとばされるものがある。
いつしか、我が家の北側軒下は「山野」となっていたのである。因みに、南側にある「小さい」庭では「この種」の草花は何一つない。
今春、ミツバに混じっている「根生葉」を見つけた。びっくりした。何というか「トリカブト」の葉に似ている。ミツバを摘む時に間違って、摘んだら大変だ。そんな想いを4月から5月にかけてずっと持っていた。
そして、昨日、それは「今日の写真」の花を一輪だけ咲かせていたのである。開花期が6~8月ということに間違いはなかった。
改めて、というよりも安心して「よく」調べてみた。草丈は30cm以上はある。どんどん大きくなるだろう。茎や葉に毛があって、葉は対生して、3~5に裂けている。花は白花だが、他に紫紅色、淡紅色になるものもある。直径1.5cmほどで、果実は果でこれも1.5cmほどの長さだ。
別名の「ミコシグサ(御輿草)」は種子の弾けた後の果実が「神輿」に似ていることによる。花名の由来は「この薬効が速やかに『現われる』こと」による。そこで『現の証拠』と呼ばれるのだ。その薬効だが「便秘、下痢、関節痛、神経痛」で顕著だという。
◇◇色々なことでの問い合わせがあるものだ…(2)◇◇
(承前)昨日のN氏の依頼に対する「回答」の続きである。
…岩木山は薬師、阿弥陀、観世音仏を祀る三峰三位一体の霊山である。神として国常立命(くにとこたちのみこと)や顕国魂神(うつしくにたまのかみ)他四神を祀っており、その神事は南麓百沢の岩木山神社が司っている。
また北東麓には坂上田村麿の蝦夷征伐に因んだ赤倉神社がある。つい先年まで山伏が修行していたが、赤倉大権現を祀っているものである。なお、赤倉神社界隈の沢筋には多くの社屋(堂房)があり、そこには巫女(老女であることが多い)が住んでいて口寄せなどで信仰・参詣のために多くの人々が集まって来る。こちらは岩木山神社とは対照的に昔からの民間信仰が今でも綿々と続いている。
…石清水について
これは、もっとも歴史的で一般的な登山道である岩木山神社からの登拝道にある。津軽の人は石清水とは言わないし、「岩木山の石清水」といっても分からないだろう。漢字で書けなくても「錫杖清水(しゃくじょうしみず)」という名称は誰でも知っているはずである。
百沢登山道は、温泉宿を門前にした岩木山神社から桜林、スキー場、姥石(うばいし)、焼止り小屋、坊主ころばし、錫杖清水、鳳鳴小屋、急登の一の神坂、二の神坂を登り山頂へというコースで、 登山口から4時間30分を要する。
錫杖清水は、大体標高1300m付近の湧水である。通年枯れることはない。この高さの場所に噴出していることと勢いよく湧き出すことに、人々は畏敬の念を強くしている。
あえて「…合目」をつけると「8合目」くらいになろうか。
この百沢登山道では道順に「…合目」という呼称を使わない。岩木山には五つの登山道があるが標識に「…合目」と記載してあるのは、百沢登山道の東尾根にある弥生登山道だけである。この登山道は60年前に弥生に入植した人たちが造った新しい道であり、古来からの道では「…合目」を一切使用していない。
◇◇ 「ホトトギス」は何故「夜」も鳴くのか ◇◇
所沢市I氏からの質問
…水芭蕉沼でお目にかかったIです。色々お世話になりました。さて、嶽温泉の水芭蕉沼周辺のホトトギスが日中だけでなく、夜間も鳴いていましたが、こういうことは雛が孵る前のことでしょうか。育雛を委託した雛が孵ると鳴かなくなると聞きましたが、そもそも普通は夜間鳴くものでしょうか。
同様な託卵の習性を持つカッコウはあの地域には3羽いましたが、夜間は鳴きませんでした。いつもホトトギスの方が朝は早く鳴きだしていました。
ホトトギスが夜間鳴くのはたまたま水芭蕉沼に限ったことなのか? 夜間に鳴くことが雛が孵る前には普通であるなら、その理由は何なのでしょうか。ご存じでしたら教えていただければ幸甚です。(明日に続く)