岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

赤倉登山道ガイドマップができるまで…いろいろなことがあった(2)

2009-06-23 05:26:00 | Weblog
 (今日の写真はアカバナ科マツヨイグサ属の多年草「ヒナマツヨイグサ(雛待宵草)」だ。初めて見た時は何であるかは分からなかった。ただ、花と葉の格好から「アカバナ」の仲間であることは理解出来た。だが、岩木山では初めて出会う花であった。
 これは、赤倉登山道の入り口、白い大きな鳥居のある場所に小群落をなして咲いていたものである。岩木山のどこでも見られない花、しかも、人の出入りの多いこの場所ということで、外から運び込まれた「種類」だろうと考えたが、本物の「外来種」だとは考えなかった。
 狙いをつけて図鑑で「アカバナ科」を調べてみたが、どの図鑑にも掲載されていない。そこで、「日本帰化植物写真図鑑(全国農村教育協会版)」を調べた。やはり、あった。
北アメリカ原産の2年草、または多年草であるという。1949年に群馬県で発見されたともある。花や葉は写真を見れば分かるだろうから、詳細な説明は省くが、大きさは直径が1.5cmほどで、種子は1cmほどの棍棒状で、他のアカバナ類と同じように4枚の毛のような翼がついている。
 はてさて、この「ヒナマツヨイグサ」、どのような経路でここに運ばれてきたものだろう。時間があれば、その謎解きをするのも「楽しいなあ」と思った。)

    ◇◇赤倉登山道ガイドマップができるまで…いろいろなことがあった(2)◇◇
『  』はプリント会社の担当者からのものであり、【  】は私からのものである。
 次のことはある「赤倉講」信者が勝手に無許可(許可にはなり得ないことを知った上)で「赤倉登山道」を不法に整備したこと、加えて、新しい「道」を伯母石上部の岩稜帯に造ったことと「そこ」通らない「コメント」をマップに挿入するための理由である。

(承前)
…【私はそれまでその信者と次のような会話を交わしている。
私 :「どこ(どのくらいの高さ)まで整備するのか。」
信者:「神のお告げに関わることなので言えない。」
私 :「植生の回復が進まない森林限界より上部はできるだけ手を入れないでほしい。」
私 :「そこを掘り起こすとどうなるか考えて下さい。」
私 :「その木を切る必要はないでしょう。」
私 :「コメツガは切らないで下さい。」
私 :「道は広げないで下さい。」
私 :「石を掘り出さないで下さい。」
私 :「付け替え道路は造らないでください。」
 …などを何回も言ってきた。しかし、すべて「無視」である。ある時などは、登山道脇のミヤマハンショウヅルを鎌できれいに刈り取っていたので「それは高山性の植物でミヤマハンショウヅルといって貴重なものです。この登山道でしか見られません。刈り取らないで下さい。」と注意したら…、
「これは草だ。いつでも生えてくる。」と言いながら「お前は何者だ。神様のお告げでやっていることに文句をつけるとは罰当たりめ。」と怒鳴り散らすのであった。

 その信者の登山道「整備」は基本的に次の四つの仕事から成り立っていた。
①自然石を掘り出してそれを既存の道に並べたり、石にも加工をする。
②既存の道を拡幅する。
③登山道が流水路にならないように道の脇に水はけ用流水溝を造る。 
④竹や樹木の刈り払い・伐採をする。
 この信者の「四つの仕事」に共通していることは、「あるがままの自然に対して、人為的に加工を施していること。」である。
 彼の「四つの仕事」に見られる「自然への配慮」の欠如は次ぎのようなことだ。

1.石組の階段を造るために自然石を掘り起こす。それを移動し加工する。そのことが石の回りや地中の植物や動物にそれなりの影響を与えることは必至だろう。草や木の根が切られる。枯れてしまう。穴があく。水が溜まる。流れる。そこから崩落が始まる。
 ここを利用する信者たちへの配慮はあついが、自然への配慮は感じられない。
2.道の拡幅も自然に手を加えることに外ならない。幅の広い登山道。広い道、横並び4人は可能だ。道脇に深い穴。使われている石はすべて掘り起こしたもの。石を掘りだした穴だが排水溝の役割をする。このような穴は登山口から大開までの間に約500はある。
 特に石仏の前の道は祈りの場となることが多い。そこに座して祈るために、広くして、しかも均して平らにする必要があった。先人たちはそのような場所を求めたが、それは「自然そのままの地形」に頼ったのである。
 それは地名にも現れている。鬼の土俵や大開がそうだ。土俵は丸く広いし、大開は読んで字のごとく「大きく開けて対岸と谷底」がみえる場所である。先人は自然に手をつけることはしなかった。
3.山から見ると、登山道は山肌に傷つけられた切れ込みでしかない。当然、そこは尾根にあれば尾根ぞいの人工的な通水路(人為的な沢)の役割を果たす。ところが、その役割を許すとせっかく整備した道は、土石が流されたり崩れたりして台なしになってしまう。そこで整備した登山道を保護するために、自然石を掘り起こした穴を利用したり、それ以外の穴や切れ込みを掘って、沢や谷に向けて排水溝を設置しているのである。
この小さな「排水溝」が時を重ね、尾根を穿って崩落し山全体を崩していくのである。斜面に沿って、すでに穿たれているのが解る。
4.登山道の刈り払いも同じである。何のためらいもなく立木を伐採して道を広げる。このような伐採は、標高1500m以上の地点まで続いている。
 鬼の土俵から赤倉沢に降りる取りつき付近と大鳴沢の源頭よりやや上までを念入りにやったのである。特に山頂への道は、拡幅にも力を入れた。広いところは3~4人が横列で歩けるくらいだ。ダケカンバ、ミヤマハンノキ、ミヤマナラなどの樹木もかなり伐られていて、登りや下りの支点となる手がかりまでが、すっかり伐られるという始末である。
そして、2001年の夏には、そこから先ずベニバナイチヤクソウが姿を消した。
 大鳴沢の源頭から上の部分は、山仲間が「あそこは冬に登れない。雪崩が起こりそうだ。」と言うくらいダケカンバ等が、きれいに伐られてしまったのである。】
(明日に続く)