岩木山を考える会 事務局日誌 

事務局長三浦章男の事務局日誌やイベントの案内、意見・記録の投稿

「ガンベ長根」とは?/ 25日放映NHK「赤倉登山道」を見た人の感想など 

2009-06-28 05:17:20 | Weblog
(今日の写真は昨日に引き続いて「ガンベ長根」のミズナラの森だ。県道30号岩木山環状線から柴柄沢右岸に沿って林道を徒歩で20分ほど辿ると、柴柄沢の渡渉点に達する。そこは堰堤を兼ねた「橋」になっている。「堰堤を兼ねた橋」とは「堰堤」なのだが、そこを自動車が通れるほどの広さに造って、水は流れているが「自動車」は通れるようにしてあるものだ。
 その「妙な」堰堤を渡らないで左に折れて道なりに入っていくと今日の写真の森に向かうことになる。この道を辿ると、「柴柄沢」からはどんどんと離れてしまう。)

 「柴柄沢」の源頭部は少なくとも、今から40年ほど前は、その「アルパイン」的な景観と地質から「クライミング」好きの「登山者」からは「愛されていたマニアックなルート」であった。だが、昭和50(1975)年8月6日未明に発生した「百沢土石流」の時に、この沢も豪雨により、源頭部は崩落して、それまでの景観とルートは変貌した。いや、なくなってしまったといっていい。
 岩稜を辿り、鳥海の山頂の手前に辿り着くと、今の季節には「ミチノクコザクラ」の大群落が迎えてくれたものだ。今はどうなっているのだろう。私が最後にこのルートを辿ったのはかれこれ20年も前のことで、それ以降は足を踏み入れていない。

            ◇◇「ガンベ長根」とは?◇◇

 …このミズナラ林のある尾根を「ガンベ長根」と呼んでいる。だが、一般的ではないので、それを知っている人は少ないはずである。
 さて、「ガンベ」とはどのような意味でどのような場所を指すのだろうか。私はもちろん「ガンベ」という「正式な意味」は知らない。ただ、昔から「ガンベになったらモチを食わすな」という言い伝えのあることは何かで知っていた。しかし、それと「ガンベ長根」の「ガンベ」と関連があるものかどうかは知らないのである。
 「ガンベ」は「広辞苑」にも「国語大辞典(小学館)」にも載っていない。そこで、松木明の「弘前語彙」を当たってみた。だが、これにも「ガンクラ」という語はあったが「ガンベ」の記載はなかった。因みに「弘前語彙」には『「ガンクラ」とは「岩クラの意」。「ガン」はごつごつして出っ張ったところ。クラは谷の古語で、深く凹んでいるところ。赤倉などの「クラ」も谷の意』とあった。
 これから、類推すると「ガンベ」の「ガン」は「岩などが出ていて、ごつごつして出っ張った」という意味にとることも出来る。「ガンベ」の「ベ」には「辺や部」を当てたらどうだろう。文字通り「辺り」とか「その部分」という意味になる。「正解はこれだ」と言いたいのだが、あくまでも私の勝手な「類推」に過ぎない。
 しょうがないので、また、「ガンベになったらモチを食わすな」という言い伝えに戻ることにした。「ガンベ」とは「幼児や子供の頭や皮膚にできる吹き出物」のことである。
 その「ガンベ」になった子供にモチを食べさせるとその症状が重くなるからだ。体内に溜まった毒素が皮膚を通して排出しようとして、幼児や子供の頭や皮膚にできる吹き出物を「ガンベ」というのだ。「モチ」を食べると、アトピー性皮膚炎の症状として、頭に脂濡が出て、悪化することがあるそうだ。
 また、「かぼちゃ」の果皮のコルク化(瘡蓋のような)症状を「ガンベ」ともいうのだそうである。私には確認出来ないが、この尾根にはそのような「吹き出物」や「瘡蓋(かさぶた)」に似た形状のものがあったのかも知れない。
 さて、「ガンベ」に続く「長根」の方はどうであろうか。「長根」という地名は、岩木山には「後長根沢」というのがあるし、山麓の小丘陵の一つに「高長根」というものもある。五所川原市にも「…長根」という地名を持つ場所があったように思う。また「長峰」が転訛して「ながね」となったものだろうかと思い、「長峰」を検索しても大鰐町の「長峰」しか見あたらない。
 結局、この「長根(ナガネ)」と「長峰」は、広辞苑にも国語大辞典(小学館)にも記載がないのである。
 だから、この際は「長」を「長くて大きくて広い」と解釈し、「根」は「高き根に雲の付く」という用例から「山のいただき」とか、「歯の根」という使い方などから「立ち、または生えている物が他の物に付く部分。もと。ねもと。」と解釈することにする。
 そうすると、「岩木山という高くて大きな頂を支えている根元」の場所(部分)とすることは可能ではないだろうか。いずれにしても、はっきりしたことは分からない。
 すべて、私の根拠希薄な「推量の域」を出ていないものである。戯言(ざれごと)として、斜め読みにしてもらえると有り難い。

    ◇◇ 25日放映NHK「赤倉登山道」を見た人の感想など◇◇

 25日放映NHK「赤倉登山道」を見た数名の方から電話、ハガキ、メールで感想やら意見やら疑問やらが寄せられている。今日はこれを紹介したい。

・ありがとうございます。NHKの番組、見させていただきました!
28日の日曜日に知人を連れて赤倉から登る約束をしていたので、とても参考になりました。また何かある時はぜひ事前に連絡を下さい。(U)

・楽しんで見せていただきました。最初、足音だけが聞こえ、それから先生が石仏をぬぐって、という辺り、なかなかしぶい映像で、良かったです。這松と赤倉御殿があり、そこからさらに続く山道の光景や、頂上から下るときの様子や雪渓など、少し遠くからの引いたカメラアングルに、やはり山は雄大だなあと思いました。花や石像もふくめ、もっと長く見たかったです。(H)

・昨夕、NHKの赤倉からの岩木山見ました。ゆったり、くつろいだ春山、自然と一体、同化した三浦さんでした。ふるさとの自然の豊かさが新鮮でした。(F)
(この稿は明日に続く)