たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

旅の思い出_安曇野・松本(1)

2019年08月17日 16時02分05秒 | 小さな旅の思い出
過去から解き放たれていくために、家族は幸せなものだと信じて疑ったことなどなかった頃の自分語り。

20歳を過ぎた頃のわたしは、なぜかものすごく信州という響きに憧れを抱いていました。特に安曇野にはノスタルジックな憧れがあり、一人旅をしたいと思いが強くありました。

休日になると旺文社の「信州」というガイドブックとにらめっこし、旅しては巻末にあった地図を塗りつぶしていたのは遠い日の思い出。ガイドブックはいつかの引っ越しの時にお別れしました。この旅で購入した道祖神の置き物、ずっと家にありましたが、心の引き出しにしまって現物は断捨離しました。

「1984年5月12日(土)快晴

7:15 〇〇発

9:58 △△△

12:36 松本

13:18 柏矢町よりバスにて

13:35 あづみ野ユースホステル泊

あづみ野をレンタサイクルにて回る。穂高神社、碌山美術館、東光寺、御法田ワサビ田。
道祖神があちこちに点在。

夜、ペアレントの説明でスライドをみる。
ティータイム、紅茶を飲みながら、お喋り。

PM 8;30

 あづみ野ユースホステルの夜を過ごす。今日はあづみ野をサイクリング、2時間余り。暑い一日だった。思う存分、新緑を楽しんだ。汽車の窓からみる山々、いろんな色をしていて楽しかった。たまらなく喉がかわいている。サラサラ流れる水の音をきいたのも久しぶり。
真っ白なリンゴ畑もみた。

汗をかいたさわやかな一日は終わろうとしています。
葉書をいっぱい書きました。
みんなの手元に無事届きますように。
たまらなく喉が渇いて、食事があまり進まなかった。
おとうふがおいしかった。
夜になるとさすがに冷えてくる。
静かな夜です。
今日は疲れました。

おやすみさない。」


憧れだった碌山美術館。

















休むためにはたらく

2019年08月16日 18時59分28秒 | 日記
 台風一過からの金曜日、冷や汗かきつつなんとか終わりました。月曜日、ライブビューイングのために休むので勝手にボランティア残業しました。わたしが残っているの気になった職員が手伝いましょうかと声をかけてくれましたが特に手伝ってもらうことはありませんでした。火曜日でもかまわないことを自分の段取りで終わらせておきたかったのでやっていただけでした。9月の予定を書き込む表が回ってきたのでめっちゃ休みたいと申請しました。すぐに持ち帰ってしまいましたが一度花組のさゆみさんの卓上カレンダーを机の上においたので、宝塚ですかときかれました。指導担当、自分も好きだそうでばればれでした。おはずかしいですがこの楽しみがなかったら生きている理由もなくたのしみのためにがんばると伝えました。自分の責任で締日に間に合えば休み放題でいいそうです。体が追い付くかぎりにおいてボランティア残業しながらこなすしかありません。役者さんたちが命がけでつとめる舞台。観劇するこちらも命がけ。そのためにはたらく、休むためにはたらく。前職で普通の生活を送ることがいかにむずかしいか、いかに尊いかを学んだのでなにもなし得ませんが、なにもなし得なくても、こうして生き長らえて生きていてよかったと思える瞬間に出会う。それで十分なんだと思います。理屈はいらない。これで十分過ぎるほど十分だと思います。わたし、ボランティア活動とかなにもできません。人と関わるサービス業で満タンになっています。休日は断捨離と心の栄養補給。それ以上のことはできません。目の前の、家賃を払いながら自分を食べさせることに必死になっていた時にはあまり思わなかったような気もしますが、子供がいるわけでもないわたしが今いなくなっても困る人はいないので、わたしが生きている理由って特にないんだなあとあらためて気づきました。かといって今すぐ死ななければならない理由もないですが、車の人だけが生きていける郷里はわたしの居場所ではないとわかった今、郷里にいる理由って家賃負担がないことと宝塚大劇場に日帰りで行けること以外にないんですよね。今はこの楽しみのために生きています。日比谷が遠くなってしまった今観劇はほぼ宝塚オンリーでスケジュールが動いています。生活の中心。それでいいんじゃないですか。当たり前みたいなことは当たり前ではなくひとつひとつが奇跡・・・。


 月曜日は星組のさゆみさんが大劇場を卒業する日。入団7年目にしてはじめて台詞のある役をもらった直後、新人公演最後のチャンスに主演、そこからトップスターになり在団18年はお見事、尊敬しかありません。主役に推した小柳先生の見識眼素晴らしい。魅力を最大限に引き出してくれる演出家との巡り合わせは宝塚に限らず役者人生を左右します。巡り合う人に煌めきと幸せのオーラをふりまく星のもとに生まれた星組のさゆみさん、大劇場最後の「星なんていらない」はどうなるのか、心して見届けたいと思います。星のバトンを受け継ぐ琴さん、紅さんとはレットバトラーとスカーレット、ネイサンとアデレイドだったこともあると知り、嫁2と言われているの、納得しました。琴さんが心配。

 とにもかくにも明日はまたお風呂屋さんで一週間の毒流し、あとはひたすら断捨離。また過去から解き放たれていくための自分語りをすると思います。

 この世にいる間しか楽しめない。だから精一杯。そのために稼ぎは必要なのさ。

 それにしてもこのさゆみさん、ほんとにきれい、どのお写真も美人さんだけど特に凛々しくて美しい。

宝塚歌劇の殿堂より_『Memories of 紅ゆずる展』

2019年08月15日 22時47分04秒 | 宝塚
 木曜日、休暇申請しているのに昨夜1時過ぎに就寝したらいつもどおり7時過ぎに目がさめてしまい、三度寝からの休日、年齢を考えるとすっきり疲れがとれるということはもうむずかしいのかもしれません。夕方暴風雨の中をどうしても外に少し出たくて自転車でカフェ行って、モンゴメリさんの『険しい道』の原文を写経のようにノートに書き写していたら眠気におそわれてしまいウトウト。来週の月曜日また休むので明日はなんとしてでも出勤しなければなりません。

 一昨日あたりから、自分が観劇するわけでもないのに気になって仕方なかった大劇場公演、11時と15時、ともに定刻どおりに開演し、阪急もJRも動いていたとのこと。飛行機や新幹線で遠征を予定していたのが叶わなかった方もいらしたようですが、当日券の列も長々とできた盛況ぶりで劇場内は熱気にあふれていたもよう。11時公演では「台風の中来てくれてありがとう」、15時公演では「台風の中ほんとうに来てくれてありがとう」のアドリブが「オレ端正」のあとにあったそうで楽しい公演になってよかったです。こういう時に上演することに賛否両論あると思いますが緊急時に通常営業してくれることの安心感とありがたさが東日本大震災の時身に沁みたので、ようやくチケットをとって何カ月も前から指折り数えて待つ気持ちを考えるとわたしはありがたいです。一か月後の東京公演、自分の体と新幹線が動くか心配、月半ばを余裕あることがわかったので休みをとって早めに動くべし。8月15日は終戦記念日、無事に観劇できる平和に感謝し、こうした日々が続いていくことを祈りたいと思います。


 歌劇の殿堂の写真をまたようやく少し整理したのでアップ。

 『Memories of 紅ゆずる展』から舞台写真集。ライブビューイングも含めてトップスターになってからの作品、ほとんど出会えうことができてよかった。

紅さん主演作品、『調香師ルイ・ファージョン』もみたいなあ。映像あるのかしら。







『鎌足』の凛々しい姿、特に好きです。




















『エストレージャス』の衣装、












フィナーレの紅さんの衣装と大羽根



シャンシャン。



愛里さん、こんなに小さい頭にこんな凝ったのっけているのか、すごい。




『食聖』の台本








『霧深きエルベのほとり』の小道具、細かく撮ってみました。出会えてほんとよかった。















8月12日は日航機墜落事故から34年目の夏でした。雪組生だった北原遥子さん、杜けあきさんの写真集に掲載されている舞台姿をみるとほんとに美しい。ヒロインになるために生まれてきたような美しさと気品にあふれています。同期は黒木瞳さん、涼風真世さん、真矢みきさん、毬藻えりさんら美人がずらり。亡くなった時まだ24歳。いつまでも記憶にとどめ語り継いでいくことで魂はずっと生き続けると思います。


 

苦悩していた日々を思い返す_実習記録ノートより(4)

2019年08月15日 18時52分11秒 | 祈り
実習二日目の続き    

「なにも決まってすることはないが、心の中は活発だ。会社生活の中で私は収入を得るという目的の為に自分の感情をコントロールすることに一生懸命だ。怒りの感情はオブラートに包み込んで表に出さないようにと努力する。つらいことをつらいと口に出すことはしないでかなり無理をしている毎日だ。そんな癖が身についてしまっていることを、素のエネルギーに出会うことで強く感じている。眠らせているものが動き出している。一問一答のように、ひとことももらさず話をきいてそつのない受け答えをしなければならないと思っていた。私という人間との関わりの中で、人の声にとても敏感になっていた。自分のせいで相手は今こう反応したんだ、こんなことを言ったんだ、そう考えるクセがしみついてしまっていた。たが待てよ。この空間はちょっと違う。来所する人たちそれぞれに自分の世界をもっている。

hさんはわたしがk大を通信教育て卒業したという話をしたらとても関心があるようでしっかりと覚えている。彼はk大の卒業生らしいことがわかった。kさん、帰り際にライターがなくなっていることへのこだわりと怒りの感情をみせていたのだということが、ひきつぎの時にわかった。fさんがイトーヨーカドーのチラシをもってきて一万二千円の鞄を指して本物の革かなとたづねてきた。買い物リストを頭の中で作成するプロセスになんとなく受け答えをして関わったがひきつぎの時に彼のテンションは高かったことがわかった。

その他書ききれないが各々が自分の世界の中で生きている。こだわりをもちながら生きている。そんなことが強く伝わってくる。私にできるのは、そんな世界を感じ取ろうとすることたけだ。自分がその空間にいることをかみしめながら巻き込まれることなく素の私でそこにいる。何かをしなければならないと思う必要はないし、何かを言わなければならないと思う必要もない。ただそこにいて同じ空間の中で呼吸している。時間の流れの中にいる。そのことをかみしめる。そのことだけで十分なのだ。初めて会う人たちなのだから、どんな歴史をもっているのか感じ取ってみることに努めよう。そして、そんな自分自身を、やじろべえのようにゆらゆらと揺れながらもそこにいる自分自身を感じ取ってみよう。ただそこにいる。そこから始めればいいではないか。逃げ出したい思いにかられた瞬間はたびたび訪れた。無理をしなくていい。先ずはそこにいること。それで十分だ。」

ボランティアもなにもできません。実質サービス業で精一杯。また援助職をやりたい思いはありますが、駅から遠い家から通うのは無理、車社会の田舎では無理。これからどうしましょうかね。

明日紅飯店が無事に開店できますように・・・

2019年08月14日 22時33分34秒 | 日記
 台風10号、すいぶんゆっくりと進んでいるようですね。JR西日本が午後の運転取り止めを早々に打ち出しているので15時公演はもしかしたら中止という決断を劇団はせざるを得ないのかなあと心配しています。わたしは11日に無事観劇することができました。先月の連休も無事に観劇することができました。二度と同じ瞬間は訪れることのない、一期一会の出会い。明日遠方から昼も夜も観劇予定の方もいらっしゃるのか。何カ月も前からあの手この手で予約を試みてようやく手に入れたチケット、この日を指折り数えて待っていた方々が観劇できなくなるのはほんとにつらい。昨年雪組公演は中止になりませんでしたが、悪天候で修学旅行の団体予約がキャンセルになってしまったり、申し込んでいたバスツアーが中止になったけど払い戻しなんかいらないというツィートをみかけたりしました。こういう時お金なんて戻ってきてほしくない、無理だとわかっていても追加料金払うから代替公演やってほしいって思っちゃいます。郷里近郊からのバスツアー、どうなるんだろう。この日だけの方もたくさんいらっしゃると思います。明日9時頃劇団は最終決断をするもよう。夜公演はあきらめて昼公演だけという方もいらっしゃるようだし、昼も夜も公演が中止になることなく、できるだけたくさんの人が退団公演を見届けることができますように・・・、紅飯店、無事開店できますように・・・。

 わたし自身は結果的にそれほど影響を受けないかもしれませんが駅まで遠いし自転車しかないし、万が一電車が動かない可能性も大だし、たまっていた書類は電話があまりならなかったおかげでさばけたし、休みをとりました。来週の月曜日も休むんですけどね、足腰痛いし、疲れちゃうので休めるときは休みたいです。19日のライブビューイングのあと、9月3日の花組大劇場バスツアーは月末月初と締め日を考えるとキャンセルせざるを得ず休めない。そうすると東京宝塚劇場に行くため三連休前二日休みをとるつもりで、そこまで5日間フルが3週連続になるのかな。ぞっとするので考えない、考えない。今は19日のライブビューイングに集中。そのあと東京出張の新幹線のことを考えよう。スパに泊まるつもりなので新幹線も予約なしで動いてもいいけどね。7カ月ぶりの日比谷、7カ月ぶりのスパ。そのあと花組バスツアーがあるから後半のスケジュールきつきつ。体がついていくかしら、少しは涼しくなっているよね、そのために働く、そのために生き延びる、もう行くことはないだろうと思っていた東京宝塚劇場、お別れしたつもりでしたがまた会えます。大劇場をみてしまうとすごくせまいオフィスビルだけど場所がいいよね、観劇したあとのなんともいえない満足感に満たされた空気をまとった人たちが歩いている街、日比谷。苦労して家賃を払っていた時は一時間余りで行くことができた日比谷、なんとしてでも行くぞ。

 その前にライブビューイング、その前に明日無事に退団公演が行われますように・・・。

 夏場のリスク、年々高くなってきています、心配・・・。

明後日も紅飯店が無事開店できますように・・・

2019年08月13日 22時47分40秒 | 日記
 三連休明け、日曜日の夢の世界から現実に戻らなければならない朝からしゃくねつじごく、家を出るとき陽射しが強すぎて熱中症になりそうでした。駅まで自転車の道のりはいちだんときつく、電車の中の冷房もいちだんときつく、夕方最寄り駅まで戻ってきて駅の外に出た時のアスファルトの照り返しもすさまじかったです。日中の最高気温は38度まで上がったのかな、いちばん暑い時間帯は冷房の中でしたが中にいても外の気温が上がってくるのがわかりました。こりゃ死んでしまいますわ。ヘルパーやっている同級生の友人はお盆休みなく(わたしもないですが)、暑さが心臓にくるとか。外で体を使う仕事をしている人はわたしよりもさらに命がけ。みんな死なないでほしいです。この暑さは台風が通過すると一段落するのか。台風がくるたびに今までにない超大型と報道されることが多くなり、年をおうごとに先の予想がつかなくなってきているようです。今回の予報は15日に西日本直撃、昨年大きな被害のあったところがまた被災してしまうのでしょうか。宝塚では星組トップコンビの退団公演中、今日の夕方劇団のホームページには予定どおり二回公演を上演するとわzあ発表がありました。最終決断は明日18時の予定とのこと。昨年大劇場で『エリザベート』が二回も公演中止になりましたが、紅さん率いる星組は梅田芸術劇場で元気に公演をやっていたんですよね。観劇できなくなった方もいらっしゃったようですが元気に開店しています。台風よ、今年はそんな紅さんの退団公演をみたくなってゆっくり大きくなってやってくるんかい、さすがにわたしは申し込んでいませんがバスツアー予定されているし、この日だけのチケットをもって楽しみに待っている人がたくさんいます。どうか邪魔しないでおくれ、紅さんみたかったら静かにそっと公演をみていってくれよー、って全星組ファンが祈っていることでしょう。公演を中止に追い込むほどの台風がきても会社とかさ、わたしが行かねばならない就労場所とかはさ休みにならないんですよね、公演中止になるレベルならさ休みにしてくれよって思いますが仕事は休みになりません。わたしは出勤きびしいかも。どのみち今週一回は休みたいので口実にできるかな。今日も忙しくてすごく疲れました。来週の月曜日の休みはライブビューイングだからゆずれない。締め日まで少し余裕があるから書類また溜まってきてますがボランティア残業でなんとかします。電話に出てると終わらなくてなんか休んだもん勝ちな雰囲気。

 日曜日のバスツアー、渋滞で劇場までいつもより1時間半以上遅れたのはこたえました。今日になって体にきています。自転車疲れもあり右の股関節の痛みがひどいです。それでも楽しく麗しい舞台との出会いは大切な心の栄養補給。束の間生きていてよかったと思えるひととき。人生に必要な時間。

 今のわたしは19日のライブビューイングに向けて生き延びることしか考えられません。東京公演も行くのですが、その前に、自分はもう大劇場で紅さんに会うことないのですが、明後日も明々後日も紅飯店が無事に開店できますように・・・、千穐楽まで無事に駆け抜けられますように・・・。

 台風よ、退団公演の邪魔しないでね、被害大きくしないでね、お願いだから。

星組『食聖』『エクレールブリアン』_終わりがあるから美しい

2019年08月12日 22時45分56秒 | 宝塚



今日もしゃくねつじごくの中、朝から宝塚では紅飯店が無事に開店したようでよかったです。15日と16日、台風で退団公演が中止になったりしないといいですが心配。それてくれるといいな。わたしは昨日無事に行けましたがこれからまだ観劇予定のみなさんが無事に観劇できますように。星組のみなさんが無事に千穐楽を迎えられますように・・・。

 断片的に思い出すままに備忘録。

『エクレールブリアン』、ボレロの場面、少しずつ色合いの違う緑色の衣装が素敵でした。生地の光沢が美しくてお高いものなんだろうなと素人目に思いました。さざなみのように波打つ衣装をまとった星組生たちの、床をうつ靴の音と手拍子の音が広い大劇場に沁みわたるように響く静逸な時間。最初は組子と同じ緑色の衣装で登場した紅さん、暗転の時からひときわ光っていましたが、最後は、階段の上にスペインのフラメンコのような衣装で登場。階段が回るなかで踊る姿がこれまた輝きをはなっていました。舞台上の全員が紅さんに集中していくラストまでの流れが圧巻で息をのむ美しさでした。一つ狂ってしまうと全てが狂ってしまう緊張感が張り詰めるなかで組子たちの息使いが観客にきこえてきそうな、静逸な時間でした。四週間前は長い場面だと感じたのですが昨日はあっという間でした。この素晴らしさを伝える言葉が自分の中になさすぎ。燕尾服の場面、琴さん率いる男役さん5人のダンスが終わろうとしているところで暗転となり、紅さんが一人大階段を降りてくる。そして照明があたるまでのほんの数秒間、襟を正して燕尾服に魂を込めるおごそかな時間、男役18年の誇りが広い大劇場を包み込んでいました。紅さんの男役魂、宝塚を愛する想いに劇場中が満たされた一瞬の時間、照明があたると三味線演奏にのって、ダンスが上手いとは言えないかもしれない紅さんがひとり踊る姿から気迫が伝わってきました。そして、ピンク色のドレスに身を包んだ娘役さんたちが登場し、ひらひらと美しいドレスさばきで紅さんを包み込むように踊るのは、桜の季節ではないけれど桜の花びらたちが卒業していく紅さんを送り出す演出のようにみえるという書き込みをツィッターでみかけてなるほどと思いました。紅さんが愛おしそうに花びらを拾うようなしぐさをする場面もあったかな。極楽鳥の場面で使われている楽曲わたしにはわかりませんが、小学生の時宝塚にときめき憧れ続けた少女の儚い夢への想いを歌っているようにきこえて、極楽鳥から燕尾服への流れは涙でした。紅さんが一歩一歩嚙みしめるように銀橋を渡り終えると琴さん率いる燕尾服の男役さんたちが大階段に登場し、一番上にいる男役さんから順繰りに白から黒だったかな、回転していくのが一縷の乱れもなく見事にそろっていて、みなさん気迫がこもっていました。その頂点に立ち踊る紅さんに18年間の想いが滲み出ていました。感じたことを十分に表現できる言葉を持ち合わせないのが残念です。燕尾服ではなかったですが一路さんの退団公演で大階段を登っていく一路さんを高嶺さん率いる男役群舞が順繰りに膝を折って一路さんを送る場面があったことをふと思い出しました。たーたんの退団公演のプログラムを見返すと、紅さんラインダンスには出ていなかったですね、フィナーレ群舞の男役の一番下にお名前があります。少し上に柚希さん、万里柚美組長は上級生の娘役、美希副組長は男役中堅ぐらいかな。18年という歳月の重さをあらためて感じます。たーたんは紅さんのこと、印象に残っているかな、気になります。

 クンバンチェロのあとに登場した愛里さん、ツィッターの書き込みにあるように黒髪ショートで前髪ぱっつんだったと思います。常に鬘を工夫して変えてくるのですね。どれもお似合い、そして歌が上手い。声量ゆたかに歌い上げていました。可愛らしく、同時にトップ娘役としての貫禄十分。ライブビューイングでみた『スカーレットピンパーネル』を思い出すとものすごい成長ぶりだと思います。今が円熟の極み。退団もったいないと思ってしまいますが一番いい時に辞めたいと瀬奈じゅんさんがどこかで話していましたね。












『食聖』のラスト大団円、厳しいご意見もあるかもしれませんが、「ハッピーでなければエンドではない」、ハッピーなエンドは幸せな気持ちにさせてもらえます。退団公演の芝居のラストが子宝父さんと母さんのトップコンビ、ホンがおぶっている赤ちゃん、もちろん小道具ですがふくらはぎがリアルな子ども感にあふれているようにみえてすごく可愛かったし、なぜか夫婦の顔がすごく似ているようにみえました。アイリーンママのたれ目が逞しくも幸せにあふれていて、ラストの台詞が「パパのつくる料理は世界一」。パパの台詞は「子どもがどんどん生まれるからまだまだ稼ぐぜ、仕事だ、仕事だ」。バックのお店の名前が紅&愛麗飯店になっていることをオペラグラスで確認しました。ホンとリーがラップで対決する場面、ツィッターでみかけたアイリーンが牛魔王の鎮座していた椅子の上で魚を持って踊りながら?ホンを応援する姿もオペラグラスで確認しました。ホンが現われるまでアイリーンがポスター画像になっているミニのエプロンドレス姿で登場して場を持たせようとするのもよかったです。

 ホンがベンチに座ってアイリーンの手作りクッキーを受け取る場面の二人は、カールとマルギットにしかみえなくって何気に胸あつなりました。この場面の紅さん、より端正ですごく美しいと思いました。アドリブ冴えわたっていましたね。アイリーンがピンクのジャージ姿でホンのところへ抗議にくるとホンはアイリーンの声が聞こえない、聞こえないといった感じで人差し指で耳を何度もふさぐ仕草、自己破産して行き倒れている所を発見された時のわなわながパワーアップ、白目のむきかたも最高、ホンとアイリーンが言い合いをするところはなかなか終わらず、ニコラスだったかな?がまあまあと仲裁に入ってようやく終わりました。ホンが坐ったまま歩くところはアイリーンも同じように歩いたり、息ぴったり。アドリブ盛りだくさんでしたが美しさと品格を損なうことなく、やり過ぎずにやっているバランスがうまい。笑わずにはいられない場面はいっぱいあって、細かいところは観切れておらず認識できていないキャラクターもまだまだいて二回の観劇では目が足りなさ過ぎ。今回は地上に降りてきた牛魔王と鉄扇公主がタピオカミルクティー?を飲みながら歩いている姿も発見。次回はアイドルグループをもう少し認識したいです。

「オレ端正」って脚本にちゃんと書かれているんですね。行き倒れたところを助けられたあとはサングラスに長い足を椅子に掛けてお箸をもって登場、お茶目な紅さんもかっこいい紅さんも堪能できます。ホンがリーに包丁を投げて包丁がリーのちょうど目の前で壁にささる場面、どうなっているんでしょうね、気になります。









 次は19日の千穐楽ライブビューイング、その前に今日の深夜エルベとエストレージャスの舞台中継があるのですが明日出勤なのでみることはできません。明日も最高気温38度の予報。死なないようにしなければ。段捨離は少し進みましたが持ち返ってきた資料は結局全く手つかず。現実に戻るのつらいなあ。今月もお給料もらわないわけにはいかないのでやるしかありません。次の観劇を目指してふんばる、そのためにふんばる。

 笑うとなんだか幸せな気持ちになりますね、笑いは心のお薬、ありがたい。

旅の思い出_京都(2)

2019年08月12日 17時01分33秒 | 小さな旅の思い出
「1984年11月22日(木) 晴れ時々しぐれる

 自分の足でゆっくり歩いてみるのがいちばんいいな、なんといっても。
 京都は寒いときいていたけれど、夜になると寒いですね、本当に。
 はじめての京都のひとり旅。
 また、きたいなと思ってしまう。
 まだまだ行きたい所がたくさんあって困ってしまうな。
 明日は、ぶらりと嵐山へ行ってこよう。
 まだ、眠るまで時間はたっぷりある。
 何して過ごそうかな。」


「1984年11月23日(金)快晴

7:00 起床・朝食

8:00 ユースホステル出発
    同室の女の子二人で光悦寺へ。
    まだ人もいなくひっそりとしていて落ち着いたたたずまい。吐く息が白い。

8:32 源光庵前→四条大宮(市バス)

9:10 四条大宮→嵐山(京福電鉄)

9:30 嵯峨野・嵐山めぐり
     天龍寺、常寂光院、二尊院、竹のトンネル、から嵐山を野宮神社、
     落柿舎、じゅうたん苔、亀山公演の頂上から嵐山を眺望、あまざけをのむ

11;57 嵐山→太秦(京福電鉄)

12:10 東映太秦映画村 
     村内をぶらり歩き、ロケ場面を見る。休日なので人波をぬって歩くばかり。
     思ったより狭くて少しがっかり。

14:35 太秦→京都駅(京都バス)

15:52 京都発

18:06 〇〇着

18;45 自宅着

やっとかなえられた京都へのひとり旅。
ずっとお天気もよくてセーターを着ていると暑いほど。
紅葉もまだかなり残っていて十分楽しめた。
嵐山は去年も行ったので、今日は午前中嵯峨野を歩いた。
どこも落ち着いた雰囲気の庭ばかりでぶらり歩きが楽しかった。
じゅうたんのように苔むした庭、竹のトンネル、水面に散った紅葉、
京都にはなにかふるさとを感じる。
どことなくなつかしく気楽になって・・・
冬は寒さが厳しいだろうけどな・・・。

映画村は思ったよりもこじんまりしていてちょっぴり期待はずれ。
休日で人ばかり見ていたのでよけいそう感じたのかもしれない。
ロケを二か所でやっていた。
ロケーションスタジオをオープンセット、
何かを作り出すって時間がかかって大変なことだ。
それと高橋英樹のサイン会。
どこから来ていたのか、彼氏と彼女、
友だちと来ていることになっているから一緒に写真を撮ってほしいと頼まれてしまった。
わたしはやっぱり人がよさそうにみえるタイプなんだな。

時代劇の扮装をしている人があちこちにいた。
一緒に写真を撮るためだな。
まあ、面白い人には面白いのでしょう、という所。

今回泊まった北山ユースホステル、
常連が多い所のようだ。
通信大学の講習を受けるためだけに来ている人、
家が近くて、ふらりとギターを弾きに来る人、
北山ユースホステルに100泊以上している人etc
ペアレントがヘルパーを置かない主義の人だからどことなく他のユースホステルと雰囲気が違っている。
気に入った人には、すごくよくてやみつきになってしまうんだろうな、きっと。
 
関西から来ている人が多かったようだ。
関西の人って自分の主張がはっきりしているみたいだ、なんとなく。
関西弁、女の人も平気で使っていて、一緒にいると影響されてしまう。
兵庫から来ているという彼女、明るくてしっかりしていた。
もう少しお話したかったな。
ひとり旅は、一応今年だけにしようと思っていたけれど、なんだか惜しいなあ。
まだまだ行きたい所がたくさんあって、来年も続けたくなってしまった。
ガイドブックばかり増えてしまいそうだけれど、京都の中でもまだ行きたい所がある。
修学旅行以来行っていない金閣寺、宇治平等院、平安神宮、
奈良へも足を伸ばしたい。
ゆったりとしたスケジュールを組めばじっくり楽しめるし、
一度でいいから半月ほど気ままに旅したいな。
毎日思うままに暮らせば楽しいよね。
日常のつまらない事から全く離れて別世界。
仕事に戻るのが、もっといやになってしまうかもね。
ただ、旅は何かをみつける手段であって、最終目的ではないから惰性になってはいけない、
いつも新鮮でありたいと思う。」


天龍寺









大原来迎院









常寂光院








寂光院縁起










二尊院







東映太秦映画村







星組『食聖』『エクレールブリアン』_生きていてよかったと思えるひとときでした

2019年08月12日 00時29分09秒 | 宝塚
 四週間ぶりの宝塚大劇場、バスツアーを予約したのは4月だったか5月だったか、すごく長かったですが終わる時はあっという間。ほんの束の間、儚い夢のひととき、終わりがあるから美しいひととき、生きていてよかったと思えるひとときでした。世の中はお盆休みですね。自分関係ないのでわかっていなかったですが渋滞でバスが一時間半ぐらい遅れました。遠かったあ。お昼はバスの中でおにぎり三個。くすのきもフェリエもあきらめ、開演まで一時間半しかないのでとにかくついたら真っすぐ歌劇の殿堂へ。目標だったメモリアル展の映像を1回半堪能しました。メモリアル展、前回見落としていたかな、2002年初舞台で、大劇場公演での初台詞が2007年、最初で最後の新人公演主演が2008年。たーたんの退団公演のプログラムでは一番下のいちばんすみっこに顔写真が載っていた紅ゆずるさん。全く認識できていませんでしたが背が高いから一番真ん中で足上げていたのかな。『エクレールブリアン』でラインダンスのすぐあとに5人の極楽鳥を従えて登場したとき、この間に18年という、努力に努力に努力を重ねてきたであろう凄まじい歳月があるのだと思うと胸があつくなりました。一人大階段をシンプルな燕尾服で降りてきて三味線演奏にのって踊る姿に男役として過ごした18年という歳月の全てが込められているのだと思うと涙なりました。銀橋わたるとき、一歩一歩嚙みしめるように歩いている姿に涙なりました。芝居は星組生総出でわちゃわちゃと明るく楽しく、男役最後の場面がまさかの赤ちゃんおんぶしているのはあとにもさきにも紅さんだけでしょう。組子全員がそれぞれパワーアップしていてトップコンビは最高の円熟味。「星なんていらない」「星なんていらない」と二回繰り返したときはぐっとこみあげてくるものがあったようにお見受けしましたが最後は大団円でしんみり感なし。心の中では涙を流しているであろうに最後の最後まで笑顔なところが紅さんらしすぎます。琴さん、笑いのとる間の取り方がすごく上手くなっていてびっくり、いつの間にと思いましたが、頬がこけて顔が一回り小さくなってしまっているのにもびっくり。早くも忙しすぎてきついのかな、心配です。

 今日は一階席でした。愛月ひかるさんご観劇。顔みていませんが後ろ姿と雰囲気でわかりました。ものすごくかっこよかったです。ボレロの場面のフォーメーションをみることはできませんでしたが客席降りで天寿光希さんがすぐ後ろに。小顔美人でした。舞空瞳ちゃんと有沙瞳ちゃんも至近距離でした。どちらの瞳ちゃんも顔小さくって可愛いこと可愛いこと。極楽鳥の場面、紅さん、舞空瞳ちゃんとも目線を絡ませていました。プロローグ、琴さんが紅さんの顔をみてものすごくデレデレに嬉しそうにしているのをオペラグラス越しに確認。最後のトップコンビのデュエットダンスは愛里さんの安心しきった幸せそうな表情が全てを物語っていて、二年半は長くはないけれど作品に恵まれた相性のいい素敵なトップコンビだとメモリアル展をみながら思いました。

 芝居は楽しく色々な紅さんを堪能させてもらえて、とにやく賑やかすぎて目が足りず、ショーでは研ぎ澄まされた男役集大成の姿を堪能させてもらえて、四週間後の東京公演もありますが大劇場はこれが最後。千穐楽、ライブビューイングのカメラはどう捉えるのかな。星組と公演内容をよくわかっているカメラマンさんだといいな。

 四週間後は東京宝塚劇場公演二日連続観劇予定。休みをとって新幹線に乗って行くぞい。こうして観劇したいという気力があるうちはわたし大丈夫かな。この気力がわいてこなくなった時がセルフネグレクトの始まりなのだろうと思います。いずれ体は動かなくなるときは必ずやってくる。それでもこうしてなにかをしたいという気持ちを最後まで失わずいることができたら、それは幸せな人生なのかな。生きていてよかったと思えることはあまりないのでほんのひとときでも生きていてよかった思える時間と出会えたら幸せ。わたしがいなくなって困る人はいないので誰の為でもない、自分のために生きればいい。宝塚をいちずに愛し20年もの歳月を儚い夢にかけて生きた一人の人生に出会えてような二本立てとメモリアル展。生きていてよかったよ、出会えてよかったよ。

2019年8月11日(日)の花のみち、暑かったけど緑があると違いますね。








月組『夢現無双』『クルンテープ』_東京宝塚劇場千秋楽ライブビューイング(3)

2019年08月10日 17時23分16秒 | 宝塚
 月組『オンザタウン』、残念ながら縁がないまま終わってしまうのですが、怪我でショーを救援していた海乃美月さんが元気にダンスをしているようでよかったです。吉岡門弟との対決を前に殺気立つ武蔵に、今夜一晩武蔵の時間は自分に委ねられていると迫っていく場面の吉野太夫が色っぽくてきれいでした。「ほんまにおとこはんは・・・」と笑うところなんか大人の女性の余裕をかもしだしているようにしかみえなかったのですが、中卒で入団しているのでまだお若いとSNSの書き込みでみかけてびっくり。『カンパニー』では美弥るりかさんを追いかける作業療法士?だったかな?の役でなんてきれいな娘役さんなんだろうと思いました。目元が独特で個性的。実際に演奏されていたわけではないと思いますが吉野太夫の奏でる琵琶の音色が作品に彩りと深みを添えていました。

 暁千星さんの吉岡清十郎も若さを感じさせない佇まいで印象的でした。顔立ちがかわいい男役さんという印象でしたが、初めて武蔵と対決したときあっさりと倒してしまう傲慢ぶりと着物の着流しぶりがいい男感でした。金に物言わせて朱美をものにしようとするあたりのいやらしさも満点。一年後再び対決した武蔵に敗れたあとは自分の弱さを認め人に優しくなっていく緩急のつけかたがお見事でした。

 登場人物が多くなかなか認識しきれていないのですが、専科のベテランが演じるのが自然なような役所を若手が演じて違和感ないあたり、たまきちを筆頭とする芝居の月組の底力を魅せてくれたような舞台でした。

 佐々木小次郎を演じた美弥るりかさん、紅5のDVDをみながら8年という歳月でものすごく成長されたのだとしみじみ思いました。月組に異動が決まったあとのコンサート、アンコールのサプライズで紅さんが「みやちゃん」と呼び掛ける声がものすごくあったかくてかわいらしいと思うのですが、みんなで「月組いってもがんばって」と送り出され、ほんとうにがんばったんだなあと。小次郎、出自の背景が全く描かれないままキリシタンであることをみせ、出番が多くなかったですがどこかつかみどころのない、天才剣士としての存在感があったのは美弥さんの力量でした。

 本位田又八のことも振り返りたいですが言葉足らずのまま、今はごれぐらいで。

 台風は15日、16日に西日本を直撃する予報、鉄道会社は計画運行するというニュースを見かけました。昨年月組のエリザは悪天候により二度も公演中止となってしまいました。星組公演に影響が出ませんように、一回もかけることなく休演者が出ることもなく、バスツアーが中止になったりすることもなく飛行機も新幹線も無事に動いて千秋楽を迎えられますように。

 舞台との出会いは一期一会。一回一回が奇跡的な出会い。









 舞台写真は宝塚ジャーナルよりお借りしています。