『カール・ロジャーズ入門-自分が”自分”になるということ』より-「ロジャーズとトランスパーソナリズム」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/fdb1cd1b0d5da488e934d765f83ceeb4
「フォーカシング(Focusing)は、ユージン・ジェンドリンが開発した「自分のこころのメッセージを聴く方法」です。今のところ、これが一番ピッタリくる説明でしょう。
フォーカシングを理解する上でも、それが生み出された次のような背景を知っておくことが役に立ちます。ジェンドリンは、その実証研究の中で、うまくいっているセラピィでは、クライエントの内面で、自分自身の「感じ」の流れ(=体験過程)に触れていく内的な体験プロセスが生じていることを発見しました。逆に、そうしたプロセスが生じていないクライエントを相手にどれほど回数を重ねてカウンセリングを続けたところで、いっこうにらちがあかないということを発見したのです。そこで、「では自分の体験過程に触れたり問い合わせたりできない人に、その方法を教えていけばいいのではないか」-そう思ってジェンドリンが開発した方法が、フォーカシングなのです(近田,1997)。
言い方を変えれば「うまくいっているカウンセリングの中で、クライエントの心の中で起きていることのエッセンスを取り出し、それを学ぶことができるように体系化したもの」-それがフォーカシングというわけです。ですから、しっかりフォーカシングを学べば、深まりのあるカウンセリングにおけるのと同様の体験をすることができるはずです。
フォーカシングにもいろいろなやり方がありますが、今私が気に入っているのは、アン・ワイザー・コーネルのフォーカシングです(Comell,1993
)。その基本ステップを説明しましょう。
(1)からだの内側に注意を向ける
目をつむり、まず両手、次に両足、そして座っていて触れている部分が「どんな感じがしているか」注意を向けていきます。そしてさらに、からだの内側の中心部、特に喉、胸、胃、お腹のあたりの「感じ」に注意を向けます。「何かつまっている感じ」「すっきりした感じ」「重い感じ」など、いろいろな感じが出てくるでしょう。
(2)フェルト・センスを見つける。フェルト・センスが浮かび上がるよう働きかける
フェルト・センス(からだの内側で感じられる「感じ」) はすでにそこにある場合もあるし、それが出てくるようやさしく働きかけることが必要な場合もあります。まず、からだの内側で気づいていることに注意を向けていきます。それが見つからない場合には、「私の生活はどんな具合かな」と自分に聞いてみて、いい感じが得られるかどうかを確かめてください。いい感じがしても、うまくいっていない感じがしても、その「感じ」がまさにフェルト・センス。あなたに何かを語りたがっています。それでもうまくいかなかったら、自分が取り組む必要のある「問題」を選び、「あの問題についてからだの内側ではどんな感じがしているか」たずねてみてください。フェルト・センスが出てきたら、それがどんなものでも、それに「こんにちわ」と挨拶して迎えてあげましょう。その「感じ」とちょうどよい距離を保つために、それのとなりに座っているような感じでいてください。あなたは、これからその「感じ」が何を語るのか、その聴き手になってください。
(3)ハンドルを手に入れる
ハンドルは、からだで感じている「感じ」にぴったりの言葉やイメージ、音、ジェスチャーなどのことです。「このからだの感じには、どんな言葉やイメージがぴったりくるか」そう自分にたずねてみてください。言葉やイメージが浮かんできたらその「感じ」にぴったりくるかどうかを確かめます。もし「違う」という答えが返ってきたら、もっとぴったりきて、「そうだ」という答えがその「感じ」のほうから返ってくるまで続けていきます。途中で、いつの間にか「頭で」考えてしまうことがよくあります。そんな時は、その都度「からだの内側」の「感じ」に戻ったり、その考えを「感じ」のレヴェルに落として、どんな感じがするかを味わうことが大切です。
(4)その「感じ」といっしょにいる
ハンドルを手に入れたら、気持ちを楽にしてしばらくその「感じ」といっしょにいてみましょう。その「感じ」をいじくるのではなく、ただその「感じ」と「いっしょにいる」のです。「『それ』といっしょにいても大丈夫かどうか」自分に聞いてみてください。そして、じゅうぶんにいっしょにいた後で、「『それ』は何を私にしってもらいたいんだろう」「ここにもっと何かありそうな感じがあるだろうか」と、自分に問いかけてみてください。そこでもし「もっと何かありそうな感じ」がしたら、また新しいハンドル(言葉やイメージ)を見つけて、その感じといっしょにいてください。つまり、「もう終わりにしてもかまわない」という感じが起こるまで、(2)フェルト・センス→(3)ハンドル→(4)いっしょにいること→(2)フェルト・センス→(3)ハンドル→(4)いっしょにいること・・・というサイクルをくり返していくのです。
(5)終わりにする
「今終わりにしてもかまわないか、もっと何か起こってほしいか」を自分の「感じ」にたずねてみます。「問題が片づいた」とか「解決した」といった感じがしている必要はありません。「今やめることがしっくりくるかどうか」それだけが大切です。終わりにすると決めたら、次の機会に、今回たどりついた「感じ」に戻れるよう、それを呼び戻してくれるイメージシンボルを見つけておいてください。今回のセッションで起きたことを振り返るのにじゅうぶん時間をかけ、それを覚えておけるようにします。自分のからだの「感じ」から出てきたものは、それがどんなものであれ、感謝の気持ちをこめてていねいに受けとめ、ゆっくりとセッションを終えます。
フェルト・センスには(1)「からだの感じ(圧迫された感じ、重い感じなど)」(2)「感情的性質(イライラする、悲しいなど)」(3)「イメージやシンボル(木の枝、蟹など)」(4)「生活とのかかわりやストーリー(「職場のあの人について」など)」という四つの側面があります。フォーカシングが深まるにつれて、四つの側面のすべてが現れてきます。
また時折誤解している人がいますが、フォーカシングは(目をつむって意識を集中する、という形は似ていても)瞑想法ではありません。ただし、フォーカシングを身に付けていれば、さまざまなセラピィや瞑想やセーリング法をより効果的に体験することができるようになります。というのもフォーカシングは、からだの内側の「感じ」に触れることを通して自分の心のメッセージに耳を傾けるという、きわめて基本的な技能だからです。」
まっすぐに伸びる木
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/009edf563e2fc64edb7b70fa92044887
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/fdb1cd1b0d5da488e934d765f83ceeb4
「フォーカシング(Focusing)は、ユージン・ジェンドリンが開発した「自分のこころのメッセージを聴く方法」です。今のところ、これが一番ピッタリくる説明でしょう。
フォーカシングを理解する上でも、それが生み出された次のような背景を知っておくことが役に立ちます。ジェンドリンは、その実証研究の中で、うまくいっているセラピィでは、クライエントの内面で、自分自身の「感じ」の流れ(=体験過程)に触れていく内的な体験プロセスが生じていることを発見しました。逆に、そうしたプロセスが生じていないクライエントを相手にどれほど回数を重ねてカウンセリングを続けたところで、いっこうにらちがあかないということを発見したのです。そこで、「では自分の体験過程に触れたり問い合わせたりできない人に、その方法を教えていけばいいのではないか」-そう思ってジェンドリンが開発した方法が、フォーカシングなのです(近田,1997)。
言い方を変えれば「うまくいっているカウンセリングの中で、クライエントの心の中で起きていることのエッセンスを取り出し、それを学ぶことができるように体系化したもの」-それがフォーカシングというわけです。ですから、しっかりフォーカシングを学べば、深まりのあるカウンセリングにおけるのと同様の体験をすることができるはずです。
フォーカシングにもいろいろなやり方がありますが、今私が気に入っているのは、アン・ワイザー・コーネルのフォーカシングです(Comell,1993
)。その基本ステップを説明しましょう。
(1)からだの内側に注意を向ける
目をつむり、まず両手、次に両足、そして座っていて触れている部分が「どんな感じがしているか」注意を向けていきます。そしてさらに、からだの内側の中心部、特に喉、胸、胃、お腹のあたりの「感じ」に注意を向けます。「何かつまっている感じ」「すっきりした感じ」「重い感じ」など、いろいろな感じが出てくるでしょう。
(2)フェルト・センスを見つける。フェルト・センスが浮かび上がるよう働きかける
フェルト・センス(からだの内側で感じられる「感じ」) はすでにそこにある場合もあるし、それが出てくるようやさしく働きかけることが必要な場合もあります。まず、からだの内側で気づいていることに注意を向けていきます。それが見つからない場合には、「私の生活はどんな具合かな」と自分に聞いてみて、いい感じが得られるかどうかを確かめてください。いい感じがしても、うまくいっていない感じがしても、その「感じ」がまさにフェルト・センス。あなたに何かを語りたがっています。それでもうまくいかなかったら、自分が取り組む必要のある「問題」を選び、「あの問題についてからだの内側ではどんな感じがしているか」たずねてみてください。フェルト・センスが出てきたら、それがどんなものでも、それに「こんにちわ」と挨拶して迎えてあげましょう。その「感じ」とちょうどよい距離を保つために、それのとなりに座っているような感じでいてください。あなたは、これからその「感じ」が何を語るのか、その聴き手になってください。
(3)ハンドルを手に入れる
ハンドルは、からだで感じている「感じ」にぴったりの言葉やイメージ、音、ジェスチャーなどのことです。「このからだの感じには、どんな言葉やイメージがぴったりくるか」そう自分にたずねてみてください。言葉やイメージが浮かんできたらその「感じ」にぴったりくるかどうかを確かめます。もし「違う」という答えが返ってきたら、もっとぴったりきて、「そうだ」という答えがその「感じ」のほうから返ってくるまで続けていきます。途中で、いつの間にか「頭で」考えてしまうことがよくあります。そんな時は、その都度「からだの内側」の「感じ」に戻ったり、その考えを「感じ」のレヴェルに落として、どんな感じがするかを味わうことが大切です。
(4)その「感じ」といっしょにいる
ハンドルを手に入れたら、気持ちを楽にしてしばらくその「感じ」といっしょにいてみましょう。その「感じ」をいじくるのではなく、ただその「感じ」と「いっしょにいる」のです。「『それ』といっしょにいても大丈夫かどうか」自分に聞いてみてください。そして、じゅうぶんにいっしょにいた後で、「『それ』は何を私にしってもらいたいんだろう」「ここにもっと何かありそうな感じがあるだろうか」と、自分に問いかけてみてください。そこでもし「もっと何かありそうな感じ」がしたら、また新しいハンドル(言葉やイメージ)を見つけて、その感じといっしょにいてください。つまり、「もう終わりにしてもかまわない」という感じが起こるまで、(2)フェルト・センス→(3)ハンドル→(4)いっしょにいること→(2)フェルト・センス→(3)ハンドル→(4)いっしょにいること・・・というサイクルをくり返していくのです。
(5)終わりにする
「今終わりにしてもかまわないか、もっと何か起こってほしいか」を自分の「感じ」にたずねてみます。「問題が片づいた」とか「解決した」といった感じがしている必要はありません。「今やめることがしっくりくるかどうか」それだけが大切です。終わりにすると決めたら、次の機会に、今回たどりついた「感じ」に戻れるよう、それを呼び戻してくれるイメージシンボルを見つけておいてください。今回のセッションで起きたことを振り返るのにじゅうぶん時間をかけ、それを覚えておけるようにします。自分のからだの「感じ」から出てきたものは、それがどんなものであれ、感謝の気持ちをこめてていねいに受けとめ、ゆっくりとセッションを終えます。
フェルト・センスには(1)「からだの感じ(圧迫された感じ、重い感じなど)」(2)「感情的性質(イライラする、悲しいなど)」(3)「イメージやシンボル(木の枝、蟹など)」(4)「生活とのかかわりやストーリー(「職場のあの人について」など)」という四つの側面があります。フォーカシングが深まるにつれて、四つの側面のすべてが現れてきます。
また時折誤解している人がいますが、フォーカシングは(目をつむって意識を集中する、という形は似ていても)瞑想法ではありません。ただし、フォーカシングを身に付けていれば、さまざまなセラピィや瞑想やセーリング法をより効果的に体験することができるようになります。というのもフォーカシングは、からだの内側の「感じ」に触れることを通して自分の心のメッセージに耳を傾けるという、きわめて基本的な技能だからです。」
まっすぐに伸びる木
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/009edf563e2fc64edb7b70fa92044887