たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

雪組『ファントム』東京宝塚劇場千穐楽ライブビューイング

2019年02月10日 23時34分56秒 | 宝塚
 昨年の12月6日の宝塚大劇場ぶりの『ファントム』、東京宝塚劇場千穐楽ライブビューイング。哀しい物語ですが、エリックすごく哀れですが、望海風斗さんのエリックが千穐楽だったからかな、すごく幸せそうな表情をしていたので清らかな気持ちです。彩風咲奈さんのキャリエールが歌も深まりエリックへの愛が深化していると感じました。冷静にみるとキャリエール、かなりのダメ男ですが、結婚していてカトリックだから離婚できないとわかっているのにダメでしょう、って言いたいところですが役者の力量が息子を愛する父親へと美しく昇華させていました。自分の不甲斐なさと罪深さがわかっているのか、キャリエールが父親だと知った時のエリックが自分の最期をキャリエールに託す銀橋のエリックとキャリエールの場面、「自分はこの世に生まれてきてよかったんだよね、幸せなひと時もあったからよかったんだよね」ってキャリエールに語りかけるエリックは自分の生を肯定していると感じました。クリスティーヌに出会えて、音楽に出会えて自分は幸せなんだというエリックは父親に甘えるような表情をしていました。「ああっ」、エリックを愛おしく見つめながらエリックの想いを受けとめるキャリエール、この時すでにキャリエールは自分の子であるエリックを自分の手で始末しなければならない時が近づいていると感じているわけで、エリックはキャリエールがそう感じていることをわかっているのかなって思いました。警察に生け捕りにされようとしているエリックが、キャリエールに「撃ってくれ」「早く」っていう時の表情は幸せそうでした。自分はなんのためにこの世に生まれてきたのか、その答えを自分の中で見つけることができてエリックはこの世から旅立ったのだと。悲痛な最期なのにエリックは幸せそうでした。

 真彩希帆さんのクリスティーヌがエリックに仮面を外した顔をみせてほしいっていう場面、エリックは自分の醜い顔をみせることに恐れおののいているのに(ライブビューイングだから表情を鮮明にみることができました)、クリスティーヌは「決して恐れないで真実から 私の愛に振り向いて 今 素顔を見せて さあ さあ」と透き通るような美しい声で歌い上げていました。こんなに歌い上げていたんだとあらためて知りました。クリスティーヌはエリックの全てを受け入れることができると思った、なのにためらっていたエリックが決心をしてようやく仮面を外すと悲鳴を上げて逃げ出してしまったのは、エリックの顔のみならず背負っているものがクリスティーヌには重すぎて受けとめきれなかったっていうことなのかなって思いました。そんな自分に恐れおののき混乱するクリスティーヌ、エリックが神に召されようとしている時に腕の中にエリックを抱いて仮面を外してエリックの傷にキスをしたのは、エリックが背負っているものも含めて受け入れることができたっていうことなのかな。クリスティーヌは歌のみならず難しい役ですね。先週ラブ・ネバみながらファントムを思い出して、ファントムをみながらラブ・ネバ思い出していました。クリスティーヌは居方が難しい役だと思いました。

 彩凪翔さんのシャンドン伯爵がものすごくカッコよくて、エリックとの対比がより際立っていました。クリスティーヌとものすごくお似合いで二人が一緒の場面の直後、二人の姿をみたエリックの、自分の醜さを嘆く歌声が悲痛でした。

 エリックとクリスティーヌの歌声が東京宝塚劇場に一カ月余り響いていたのか。幸せなことですね。こうしてライブビューイングでも拝見できるようになってほんとにありがたい。駅からの暗い道、夜は交通量が少なくなるので自転車を飛ばして無事に帰ってきました。一回一回、生の観劇もライブビューイングも一期一会、この世にいる間だけの楽しみ、妹が遺したコンサートチケットを少しずつ処分しながら思います、その人の思い出はその人がこの世にいる間のその人だけのもの、生きている間だけなんだなって。わたしの思い出は、こうしてブログに書くことで共有させていただきながら、わたしの心の引き出しにしまってこの世を旅立つ時一緒にもっていく。遺影は康次郎の大切な蓮の舟で撮った写真と決めました。今日またあの世への行く時の心のお土産ができました。

 退団者は2名、まだお若い。入団4年目と6年目、4年目までは最後の挨拶で大階段を降りてくることができないのだと知りました。まだまだこれからなのにそれぞれ納得できたものがあったのかな。惜しいですね。カーテンコールの望海風斗さん、清々しい笑顔でした。客席でいつかこの舞台に立ちたいと夢みていたのが、こうして夢が叶って毎日幸せだったと。ずっとこの光景を眺めていたいけど幕を下ろさないといけないので、ファントムを天に返さないといけないのでと、締めはお父さん(彩風咲奈さん)ともじゃもじゃの人(朝美絢さん)が考えてくれたという、望海さんが「ファントム」といったら右手で顔を隠して、左手で顔を隠しながら「閉幕」で最後天に向かって手を振りながら「さようなら」だったかな。望海さんがいちばん嬉しかったんでしょうね。ほんとに幸せそうな笑顔に幸せな気持ちになることができました。

 指揮は西野淳先生。客席からはみえませんが舞台からはオーケストラピットでファントム、クリスティーヌ、そして専科へ異動する梨花ますみ組長の仮面をつけているのがみえるとのこと。客席におみせできないのがほんとに残念ですと望海さん。オーケストラも一緒に創り上げたファントムでしたね。

 明日の予定ないけど、土曜日は朝8時45分集合なので遅寝はいけない、早起きに戻さなければのプレッシャーを感じつつ遅くなったのでここらへんで・・・。

 スクリーン3つの大盛況、広い駐車場がある片田舎の古いショッピングモールの一角、普段は駅も映画館もこんなに混まないんでしょうね。ヅカのライブビューイングがあるときだけオバチャンいっぱい、女性いっぱい、知らない人はびっくりでしたとさ。

2月2日(土)の東京宝塚劇場。次は星組のエルベ、トップコンビの退団発表後でさらに紅カールの温かく優しい涙に劇場中が包まれることでしょう。