たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

少しずつ新たな居場所さがし

2019年02月17日 19時06分41秒 | 日記
 昨夜は一週間ぶりにゆるやかな気持ちで7時間余りの睡眠。年取ってくると睡眠もエネルギーいるもんだとわかってきた次第。緊張のあまり眠剤でも眠れなくなっていたと弟に話したら「悲観的になりすぎ」って怒られました。前職で家族との縁がきれた人たちをみてきたあとなので、怒ってくれる家族がいるだけありがたきことかと思ったりします。長い間一人の時間を過ごしてきて、父も母も妹もいなくなった家に暮らしているのがなんとも不思議な気持ちです。

 まだまだ風が冷たい日曜日の夕方、愛車(自転車)で隣町の大きなカフェに来てみました。車に乗せてもらってきたことがある所で遠いかなと思いましたが真っすぐに走ればよくって隣町に入ると信号もあるのでわりと安心。一人用の席だと電源もとれるようになっていて考え事とパソコンに最適。こうしてWIFIもつながります。時代ですね。昨日のための書類作成や作文の準備ここでやればよかったんだと遅まきながら知りました。前職の経験を生かして力を貸してほしいと言われたことで今回の求人とは別のところで前職のことを話したら、あとでいかに大変だったかまざまざとよみがえってきました。同時にほんの少しだけ喜びもあってそれがモチベーションとなりやりがいにもなっていくのかなと思い巡らしたりしています。三カ月前まで暮らしていた巨大都市と郷里近郊の地方都市、ネットで人口を調べてみると10倍ほどの差があります。総合病院の規模と数だけ考えてもけた違い。さらに色々な人が色々なところから流れ込んできているわけだし、施設だっていろいろあるし数も違う。そりゃ大変だったさ、地方都市とは桁違いでした。あんな巨大都市で一人暮らし続けていたことは夢のようにも思えますが事実。事務ではなく大変すぎた経験を生かした仕事をやっていけるといいのかなあという気持ちになりつつあります。

 朝の通勤を考えると自信喪失。土曜日の朝も夕方も駅と家の間は車がほんとにあぶなくって少し気を抜くとひやっとする場面の連続。巨大都市で暮らしていた時のように帰り道でぼんやり仕事のことを考えていたら、たちまち乱暴な車に轢かれます。家から通い続けられるのだろうか。不安におそわれますが壁の薄い部屋のためにまた苦労して家賃を払うのは今のところいやなので慣れていくしかありません。とにもかくにも車に気をつけることを身体に刻み込み直して焦らず少しずつ新たな居場所さがし。大学時代から都心で過ごして10年ほど前郷里に戻ってきた同級生は慣れるのに10年かかったそうなのでわたしも時間がかかると思います。こうして自転車で行ける範囲にお店があるとわかったのでまたひとつ居場所が増えました。今日は会えませんでしたが同級生がアルバイトしています。都心のようにはいかないけれどこうして居場所があるだけありがたいです。適度な人のざわめきの中にいることは大切なのでまた来ようと思います。今度は電源アダプター持ってね。その前に車に轢かれないように帰宅せねば。

 成仏しきれなくなっていた気持ちのつぶやきでした。






茂木健一郎『赤毛のアンに学ぶ幸福になる方法』_エミリーとアン(2)

2019年02月17日 13時47分22秒 | 本あれこれ
「アンに対峙する女性の生き方の一つとして、エミリーの人生の選択が挙げられますが、それはココ・シャネル的な生き方にも通じるものがあると思います。二十世紀初頭に登場し、ファッション界に一大旋風を巻き起こしたココ・シャネル。彼女は、それまでの女性の生活スタイルや価値観を根底から変革しました。このシャネルのように、必ずしも結婚せずとも女性としての人生を謳歌し、仕事面でも大きな成功を得る。そういった感じのキャリアパスというものが、はたして日本に真に入ってきているかということです。

  アンの生き方に対峙するものとして、ココ・シャネル的な生き方が、確固たる人生のロールモデルになりえているかと言うと、やはり日本ではいまだにリアルなものとして根づいていないように思います。いろいろ選択肢はあっても、やっばリアンみたいな生き方が正解なのだと。アンのような強烈な個性を持った女の子でさえも、結局はこういう幸せな結婚で落ち着いたではないかと。もしかしたら日本人はそこにある種の安心感を見出したのかもしれないし、そこに人生の最終日標を設定したのかもしれません。その正解に向けて人生の方向性を決めて歩んでいくという傾向。欧米ではエミリーの人生に共感を覚える女性が多いのに対し、日本ではアンの人生が圧倒的な人気を誇る。それは、こういうことを表しているのではないでしょうか。

 ただ、ここでまたひとつやっかいな問題になってくるのは、おそらく多くの日本の男性にとって、エミリーのような人物は、あんまり好みではないだろうということです。僕は、エミリーという人物はとても面白いと思うけれど、たぶん普通の感覚ではそうは思わないでしょう。ああいう暗黒の世界というのは……。なにしろ『赤毛のアン』の作中においてさえ、男子に人気があるのは想像力溢れるアンではなく、かわいらしいダイアナ・バリーです。それがましてやエミリーとなると、けっこう大変かもしれません。

 けれども、男性がどういう文化を形成しているかで、その国の全体的な文化像も見えてきます。女性の生き方のロールモデルを考察する上では、必ずもう一方の男性の生き方というのも併せて考えていかなくてはならないのです。」

(茂木健一郎著『赤毛のアンに学ぶ幸福(しあわせ)になる方法』より)


「赤毛のアン」に学ぶ幸福になる方法 (講談社文庫)
茂木 健一郎
講談社