たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

おもく受けとめたい

2019年02月02日 20時24分18秒 | 気になるニュースあれこれ
児相、一度も家庭訪問せず 17年末帰宅後 千葉・女児死亡


「毎日新聞2019年1月28日 20時56分(最終更新 1月28日 22時39分)

千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅で死亡し、父勇一郎容疑者(41)が傷害容疑で逮捕された事件で、県柏児童相談所が、虐待の疑いがあるとして実施した心愛さんの一時保護を解除後、一度も家庭訪問をしていなかった。柏児相が28日に記者会見で明らかにし、「対応に不足があった」と説明した。【斎藤文太郎、町野幸、橋本利昭】

柏児相によると、2017年11月7日、勇一郎容疑者から心愛さんへの虐待が疑われると市から連絡があり、心愛さんの右ほおにあざがあったため同日中に一時保護。心愛さんは保護前の学校の聞き取りに「母がいないところでたたかれる。『てめえ早く宿題やれ』と言われる」などと訴えた。勇一郎容疑者は虐待を認めなかったが、心愛さんが親族宅でしばらく暮らすことなどを条件に、柏児相は12月27日に保護を解除した。
 柏児相は18年2月までに親族宅を2度訪問し、心愛さんや勇一郎容疑者、親族と面談。虐待の再発がなく、心愛さんが学校生活を元気に送り、自宅での生活を望んだことなどから、心愛さんは3月に自宅へ戻った。
 当時、柏児相は心愛さんの家庭生活についても情報を関係機関と共有することにしていたが、当初のけがが軽かったことなどから、状況確認は学校が心愛さんに聞き取るだけで十分と判断していた。しかし、学校は随時、虐待や相談がないかを尋ねたものの、心愛さんから申し出はなく、体の見える部分に傷もなく、虐待は認知できなかった。勇一郎容疑者は今年1月、心愛さんを1カ月ほど休ませると学校に連絡し、柏児相もこれを把握したが、その際も自宅の確認や家族への連絡は誰も行わなかった。
 一方、柏児相は勇一郎容疑者が以前住んでいた沖縄県で妻に暴行を振るったとの情報があったり、柏児相に対して不信感を口にしたりするなど、虐待の潜在的なリスク要因があることも把握していた。柏児相の二瓶(にへい)一嗣(ひとし)所長は「保護解除の判断は妥当だったと思うが、その後、様子を観察して変化に気づくための対応は足りなかった」と話した。」


 転居前と転居後の自相、市役所、教育委員会、行政の限界、関係機関が情報共有していくことの難しさ、聴き取りと訪問による現況確認の大切さ、記録を的確に書くことの大切さなどなどを感じます。保健師、地域担当のワーカー・・・、がんばっていると思いますが、残念ながら連携が不十分だったと思わざるを得ません。担当する件数が多すぎるのでは、とはあくまでも推測ですが、救える命を救えなかったは事実。もしまた援助職のはしくれとなるのであれば訪問、関係機関との情報共有の大切さ等あらためて心に刻み込みたいと思います。母とのお別れが近いことを必死に受けとめようとしながら安全基地を求めて安心できる大人にすがるようなまなざしを向けた、さみしそうな女の子の表情を忘れることができません。その瞳が教えてくれたことは深い・・・。



星組『霧深きエルベのほとり』『エストレージャス』_二度目の観劇でした

2019年02月02日 07時57分38秒 | 宝塚
 1月29日(火)、15時開演、二度目の観劇でした。最初の観劇では、フロリアンってなにか心の奥底にあるんじゃないかっていう訝しい感じがあったのですが、カールとフロリアン、真逆の生まれ育ちだけれど、自分の気持ちを素直に表現できないというところが似た者同士なのかな、って思いました。初演された半世紀前は現実的な物語だったのかもしれませんが現在ではありえないおとぎ話のような世界。現実にはこんな男の人たちいないと思いますが、同時にどこか共感できるリリカルなところがあります。

 湖上レストランの場面「お金ならあるのよ。家をでるときに持ってきたお金がまだあるの。これからは、なにもかもあなたの稼ぎに頼るようになるのよ。だから最後に、私にお払いをさせて」。お金に苦労したことがなく、誰かに食べさせてもらわなければ生きていくことのできないことをわかっていない、マルギットの言葉と佇まいに生活感のないこと、ないこと。おそらくカールを傷つけていることに全く気づいていない。前回気になった裏声の発声が違和感なくなっていて、妃咲愛里さんのなせる技なのかなって思いました。ひと昔前の宝塚の娘役特有の高い声と白いお化粧は役作りの工夫なのでしょうね。

 つまらないといえばつまらない話を、脚本の世界観に息を吹き込み、深い心の物語に昇華させた星組の力、お見事。わかっていてもシュラック家を出た後の、紅カールの美しい涙と革のコートを着たカールの背中に涙が出ました。

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第13場 シュラック家の外-カールの独白-

ピアノの中で盆が回ると、シュラック家の玄関の外に、みすぼらしいコートを引っ掛けて突っ立つ人影。
枯葉が舞う。
夜、霧が深い。
カールが一人佇んで、家の中から聞こえてくるピアノの音を聞いている。やがて、その音が消える。
「俺がもし文士なら、小説を書くだろうな。エルベ河の傍にあるシュラック家の窓の外で、ある霧の深い晩、俺は、俺はじゃねえ、僕はだ。僕は、マルギットのピアノを聞いた。あのピアノの音はマルギットの腹を立てた音だ。やがてピアノは止んだ。お嬢ちゃんのお怒りはやんだらしい。家の中じゃあ、フロリアンがお嬢ちゃんを慰める。お嬢ちゃんはフロリアンを頼りにする。好きになる。惚れる。二人は夫婦になる」
 
 カール、静かに歌いだす。銀橋を歩く

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「ル・サンク」を買って、脚本、読んでいます。言葉が美しい。菊田一夫は詩人ですね。