たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

いわさきちひろ美術館に行ってきました

2017年11月02日 20時27分55秒 | いわさきちひろさん
 秋の木漏れ日が美しい一日。ようやく5月以来のいわさきちひろ美術館に行ってきました。時間ができてからずっと行きたいと思いながら、遠くって都心の大混雑の電車に乗り換えなければならない、美術館周辺は住宅街で静かですが、往復は恐怖心との闘いでしかないのでようやく。(父とのお別れ、3.11、母とのお別れと続いて以来、わたしいつも心のすみっこで恐怖心と闘っています。)あと10日ほどでハードな仕事が始まるので心の栄養補給。最近部屋にいる時はひたすら荷物整理。外でランチとかって高いばっかりで美味しいと感じるお店もないし、そんなことしていたらお財布もきびしいので前の日に安くなったお弁当を買っておいて食べるようにしています。斜め向かいの引きこもりのおじさんは相変わらず引きこもっていて気味悪いので音漏れに神経を使っていてちっそくしそう。久しぶりに贅沢なおそめのランチをいただきました。なんどかいただいている炊き込みご飯と薬膳スープ、体にやさしい美味しさでした。お庭を眺めながら、ささやかな幸せ感。部屋の中で緊張し続けているので緊張感が抜けるのにちょっと時間がかかりました。なんだかね、はあっ・・・。




 ちひろさんの絵の企画は、「いわさきちひろの詩(歌)」と題して、展示室1に『いわさきちひろの詩』におさめられている黄色い傘を持った女の子の後ろ姿・秋の枯葉の中に立つ少年・ベトナム戦争に心をいためたちひさんが病をおして綴った反戦の詩とシクラメンの花など、宮沢賢治の童話に絵を描いた『花の童話集』、万葉集の歌に絵を描いた『万葉のうた』、絵本童話『ことりのくるひ』の原画でした(一部デジタル版)。『ことりのくるひ』は、ちひろさんが6割の力で描いたと言われている余白をたくさん使った作品という解説。いずれも手元に持っているのにゆっくりと開くだけの気持ちの余裕と空間がなく、展示室にあるちひろさんが愛用したソファで『万葉のうた」をゆっくりと開いてみました。有名な「あかねさす~」の額田王、結婚問題で越前に流される中臣宅守(なかとみのやかもり)、貧窮問答歌で有名な山上憶良が家で子どもが待っているからと宴席を抜ける時の歌と愛らしい子どもの絵、常陸娘子(ひたちのおとめ)。初版は箱入りだったそうで、箱を引いたとき表紙から、表紙の次の模様、扉、中扉、目次まで読み手の心を惹き込んでいくようにすごく考えてつくられているという説明もありました。『万葉のうた』に描かれた原画をみるのは、2015年に続いて二度目だと思いますが、色を使っていないちひろさんのたしかな力量の感じさせる絵との出会いは、なつかしい心のふるさとに帰ったような心持ちでした。展示室の空間はちひろさんの絵との対話の時間、ちひろさんとの対話の時間。万葉集をこよなく愛したちひろさん。色々と整理が終わったら紙で手元に残しておいてゆっくり開きたいのは、ちひろさんの絵本、『万葉集』『源氏物語』『赤毛のアン』かなって思いました。あとは引き続き整理、がんばろう。







 ちひろさんが愛したお庭。陽射しがふり注いでいたので、しばしベンチに坐ってみました。まだまだ『ハンナのお花屋さん』が沁みわたっているので気がつくと劇中の台詞がリフレイン。なんだか涙がにじんてきました。

「人はね、花をみると優しい気持ちになるのよ」(Byハンナ)

「人は幸せになるために生まれてきたんだ」(Byクリス)

 ちひろさんの絵にはたくさんの花が描かれていることに今さらながら、あらためて気づきました。こじんまりとしたお庭ですがちひさんが愛情込めて季節の花を植えていたのかと思うとむねあつでした。ちひろさんは鉄を真綿でくるんだような方。優しさこそ本当の強さですね。こういうところでどうしても対比の対象として某弁護士のことが浮かんでしまうのはまだまだわたしの中に傷が残っているということですかね。金と権力にモノ言わせて弱い立場の人間を踏み倒すことを生業としているなんて自分が弱いからでああいう類の生き物はいつか神様が罰してくださるにちがいないはずで、力で力をねじ伏せようとするなんて弱い奴のすることだと思いめぐらした次第。だからあれ以上追いかけずにピリオドを打ち、こうしてお金安いけれど本当に役割らしきことに出会えた自分でちひろさんに会いに来ることができてよかったとしみじみ思ったしだい。2年前の11月に訪れた時は振り返ってみれば、わたし心のエネルギーが尽き果ててボロボロでした。2階の展示室でちひろさんの絵と対話しながら涙がにじんだことを思い出しました。それから2年、よくやってきたよわたし。




 なごり惜しかったですが、次に訪れるのは無事に一年間の契約を全うできたら一年後かな。どうなんでしょうかね。一年後はどうなっているのか、安らがないとんでもマンションの契約がくるので更新したくないし、次の仕事の話があったとしても大元の雇用主が雇用責任を免れるために二か月のインターバルが必要だし、プリンス・エドワード島のツアーに参加する目標をたてたけど現実はきびしいなあ。今あんまり考えても仕方ないですね。やれることをやっていくしかない。わたしこれから幸せになりたいです。

「幸せになっていいんだよ」(Byクリス)

 5月に訪れたときの写真も整理できていないことに気づきましたが、ぼちぼちとやれるときにやっていきます。明日は9時30分からお正月に宝塚大劇場から帰ってくる時の飛行機の予約開始。次の日8時45分までに出勤なのでね、マイルで搭乗できるちょうどいい時間の便がとれるといいけどきびしいかなあ。

 そろそろ帰りたいけど帰りたくない部屋に帰らなければなりません。またまた長文、失礼しました。「世界中の子どもたちが幸せでありますように」と願い続けたちひろさんの心の声が世界中に届きますようにと祈りつつ。


ちひろの詩 (ちひろからあなたへ)
いわさき ちひろ
童心社



万葉のうた (若い人の絵本)
大原 富枝
童心社