たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

ほらやっぱり雇用主のための骨抜き法律じゃないですか!

2017年11月04日 19時34分24秒 | 気になるニュースあれこれ
2017年11月4日付、朝日新聞デジタルより

「車大手、期間従業員の無期雇用を回避 法改正、骨抜きに

 トヨタ自動車やホンダなど大手自動車メーカーが、期間従業員が期限を区切らない契約に切り替わるのを避けるよう、雇用ルールを変更したことが分かった。改正労働契約法で定められた無期への転換が本格化する来年4月を前に、すべての自動車大手が期間従業員の無期転換を免れることになる。雇用改善を促す法改正が「骨抜き」になりかねない状況だ。

 2013年に施行された改正労働契約法で、期間従業員ら非正社員が同じ会社で通算5年を超えて働いた場合、本人が希望すれば無期に転換できる「5年ルール」が導入された。申し込みがあれば会社は拒めない。08年のリーマン・ショック後、大量の雇い止めが社会問題化したことから、長く働く労働者を無期雇用にするよう会社に促し、契約期間が終われば雇い止めされる可能性がある不安定な非正社員を減らす目的だった。施行から5年後の18年4月から無期に切り替わる非正社員が出てくる。

 改正法には、企業側の要望を受け「抜け道」も用意された。契約終了後から再雇用までの「空白期間」が6カ月以上あると、それ以前の契約期間はリセットされ、通算されない。これを自動車各社が利用している。」

  今日はまだまだ書きたいことがある『ハンナのお花屋さん』の徒然観劇日記を書くつもりでしたが、こんなニュースを読んでしまうと書かずにはいられません。13年間ハケンとして働いた大会社から使い捨てにされるとわかってから2カ月、わたし最初に労働局とか労働相談センターとか、厚労省の管轄のところへ何度も足を運びました。そのくだりはもうひとつのブログに詳しく書いているとおりで、結果全て意味がなくむなしさと怒りしか残りませんでした。損害賠償を求めようとしたら労働者の弁護をする法律事務所かユニオンしかありませんでした。この無駄な二か月がなかったら流れは違っていたのかもしれません、結果論なのでわかりませんが、言いたいのは一般的には労働局とか労働基準監督署は労働者の味方だというイメージを漠然ともっていると思いますがとんでもない間違いで、弱い立場の労働者にとってはほとんど意味をなさないということです。わたしのケースでは、労働局は大会社の違法派遣をむしろ肯定しました。いったい誰の味方なんや!とどこにもぶつけることのできない怒りがわたしの中に沈殿しました。相談窓口で労働紛争経験のことを話すと、実は自分も労働局に申し立てたけれど、どうにもならず悔しかった経験があるのでよくわかるという反応があったのは一度ではありません。中途で採用されている方々はご自身も大変な経験をしてきていたりするようです。労働局に相談したら納得のできる結果になったという話は聞いたことがありません。

 無意味だった労働相談センターの窓口のおじさんがくれた、○○労働局の冊子には、労働契約法(民法の特別法だという説明でした)について、いかにも意気揚々な感じでこう書かれています。

「期間の定めのある労働契約のことを「有期労働契約」と呼んでいますが、これが反復更新されることが多いため、その終了時に労使間でトラブルが発生することがあります。このため有期労働契約の終了時のトラブル防止を目的に、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」が定められています。

 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
 (平成15年10月22日、厚生労働省告示第357号)
 (平成20年1月23日、厚生労働省告示第12号)

 ーこの内容は省略します。続いてこう書かれていますー

 また、労働契約に関する基本的なルールを規定する「労働契約法」では、有期労働契約について、以下の3つのルールが設けられています。

Ⅰ 無期労働契約への転換

 有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。


Ⅱ 「雇止め法理」の法定化
 
 最高裁判例で確立した「雇止め法理」が、そのままの内容で法律に規定されました。一定の場合には、使用者による雇止めが認められないことになるルールです。


Ⅲ 有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルールです。

施行期日

Ⅱ:平成24年8月10日 ⅠとⅢ:平成25年4月1日」


 なんだかいかにも労働者を守るために定めましたみたいに書かれていますが、契約社員の募集に契約更新は4回までとするなんていう条件があらかじめ示されているのはこんな法律をつくってしまったからではないでしょうか。施行時点ですでに5年以上経過している人に対してはなんの効力もなく、施行時点から5年では、雇用主に抜け道を用意したのも同然、しかも労働者からの申し出によるとなっていて、雇用主に義務付けられているわけでもなく、罰則規定もなく、派遣法と同じく、労働者にとってはスルスルの骨抜き。むしろ経団連のためにつくったとしか思えないような法律。この冊子を受け取った3年前の2月からずっとそう思ってきたので、こんなニュースを読むと、わたしの中で、ほらやっぱり!なんです。

 こんな日本株式会社、これからどうするんでしょうね。東京オリンピックに使うお金と時間があるなら、社会の仕組みそのものを根本から見直して団塊の世代が後期高齢者となっていく大変な時代に供えるべきでしょう。オリンピックなんてやっている場合ではない!今の日本株式会社をつくりあげた団塊の世代は、わたしが13年間働いた大会社のおじさんたちがそうであったように自分たちを守るため下の世代に責任をもたず負の財産をたっぷりと残したまま、自分たちは退職金もらっておさらばだ!って逃げました。彼らが後期高齢者となっていくとき、労働法制がこんなんで、下の世代が彼らを支えるだけの社会保障費を支払えるのか、医療や介護のかかる費用をささえるだけの税金を支払えるのか。誰かがどうにかしなければならないタイミングはとうに来ているのに、根本から変えていくのはすごく大変なので、誰も手をつけませんね。日本株式会社という船はこれからどこへ流れていくのか。わたしがここで怒りを吐露したからとてどうにかなるものではありませんが、やっぱりだめだね日本株式会社と言わざるを得ません。団塊の世代が自分たちでつくりあげた日本株式会社を、自分たちで食いつぶしていこうとしていこうとしています、日本株式会社。


長文失礼しました。息抜きの秋のプリンス・エドワード島のお写真。