123便事件と芸能界の闇(4) - 岡田有希子の「哀しい予感」(前半)
芸能と123便事件の関連性を考えるシリーズ第4回目の記事となります。今回はズバリ、事件当日の1985年8月12日(月)の夜8時から日本テレビ系列で放映された歌番組「ザ・トップテン」に注目します。
今回参考にしたサイトは、当時の放送を録画した以下の動画になります。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm8114267
こちらの動画タイトルはズバリ「日本航空123便墜落事故」。歌番組そのものよりも、途中に入ったニュース速報を中心に編集されており、当時の生々しい様子を垣間見る貴重な資料の一つとなっています。
その速報内容も注目に値するのですが、今回は歌謡番組そのものに焦点を当てたいと思います。まずは、同番組の当日のランキングです。
図1:1985年8月12日放映の「ザ・トップテン」ランキング
ある一定年代以上の方には懐かしい曲ばかりではないかと思います。あの頃はTBS系列の人気歌謡番組「ザ・ベストテン」と併せ、空前のアイドルブームが沸き起こったのを、今でも昨日のことのように思い出します。そんな盛り上がりの最中、あの忌まわしい事件が番組放送の約1時間前に発生し、同番組も123便の安否を伝えるニュース速報で度々中断されるという、とんでもない状況となったのが、この動画からも窺われます(私は当時この番組を観ていません)。
この時代、アイドルブームの煽りを受けて、私の周りもやれ「聖子ちゃん最高」とか、「明菜いいよな」などと浮かれていたものですが、今このランキング表をしみじみ見返すと、「えっ」と思うような事実に気付かされます。
悲しい曲がやたら多いのです。
それはタイトルからも窺われます
「哀しい」が2曲 : 哀しい予感、シャイニン・オン君が哀しい
「悲しみ」が1曲 : 悲しみにさようなら
別れの「Bye」が1曲 : Bye Bye My Love
これに、明らかに否定的なニュアンスの強い「翼の折れた」を加えると、タイトルだけで5曲から暗いイメージが漂ってくるのです。その他の曲も実際に歌詞を見てみると、
俺たちのロカビリーナイト : 古い友人との死別
SAND BEIGE : 別れた後の一人旅
早春物語 : 会いたいのに会えない心情
以上の3曲は明らかに暗い内容がテーマで、多少明るさのあるのは「あなたを・もっと・知りたくて」と「魔女」くらいのものです。あの時は歌詞の意味なんかたいして吟味もせず、人気アイドルが何か歌っていることばかりに感心を寄せていたんだなと、「若かったな」という思いと共に、改めて当時の心境が思い返されます。
■夏なのに「早春物語」の不思議
暗いトーンの曲ばかり上位にランキングしていることは、それだけで何かの作為を感じてしまうのですが、私が最も注目するのは、原田知世さんが歌った「早春物語」です。解説を進める前に次の表を見てください。
図2:8月12日放送前後の「ザ・ベストテン」とランキングを比較(拡大図)
以上の表は、123便事件前の8月8日、そして、事件後の8月15日に放送された「ザ・ベストテン」とそのランキングを比較したものです。両番組とも票の集計方法は異なるでしょうが、チェッカーズや、安全地帯など、当時の大ヒット曲のトレンドだけは外していないのは分かります。そこに、次のような分析を加えてみました
図3:各曲のランキング登場パターン(拡大図)
上位6曲は、全ての番組にランクインしたもの、続く5曲はその内2つにランクインしたもの、そして残り2曲は、1つにだけランクインしたものです。石川秀美さん歌による「Sea Loves You ~ キッスで殺して」は8/8の番組で9位ですから、既に下降線上にあったのだろうと考えられます。すると、原田知世さんの歌う「早春物語」が8月12日の番組にポツネンと登場しているのが分かります。
これは、「夏ざかりほの字組」や「サイレンスがいっぱい」の両曲が、ベストテンには出ていても、トップテンにはランクインしていないことから、ヒットトレンドを越えて、テレビ局やスポンサーの意向が直接働いているからだと考えられます。つまり、
早春物語は番組の意向でランクインした曲
であると見なせるのです。具体的には日本テレビ、角川春樹事務所、当時のCMスポンサー、etc.と言ったところの意志が働いたのでしょう。
ところで、8月12日はお盆の入り口、夏真っ盛りの季節です。季節や流行に極めて敏感なはずのショービジネス界がなぜ「早春」などという季節外れのイレギュラーを許したのでしょうか?
これにはまず、「早春」の意味を考えてみましょう。早春とは「立春を過ぎた立夏までの間の早い時期」ですから、2月から3月までの季節、ちょうど今の季節を指します。夏どころか、夏と真反対の季節と言うことになりますね。なんでまたこんな曲が真夏にランクインするのでしょう?
ここでもう一度、「早春」と聞いて誰もが連想する言葉を考えてみます。「雪」、「梅の花」、「受験」、そして
卒業
です。
1985年の早春、歌謡界が稀に見る「卒業」ソングブームであったことはシリーズ前々回の『岡田有希子と「卒業」』でお知らせした通りです。
1) 1月21日 尾崎豊「卒業」
2) 2月21日 斉藤由貴「卒業」
3) 2月24日 倉沢淳美「卒業」
4) 2月27日 菊池桃子「卒業」
そのブームの意図が何であったか、それが8月12日の「早春」に繋げるためであるとすれば、全て辻褄が合ってくるのです。そしてこの年「卒業」を散々聴かされた私たちは、潜在意識の深いレベルで、この「卒業」に込められた恐ろしい意味を「早春」というキーワードで強制的に掘り起こされていたのです。
繰り返しになりますが、その恐ろしい意味とは
昭和天皇の死
なのです。
図4:「早春物語」歌詞
図5:同年9月、映画にもなった「早春物語」
制作は角川春樹事務所、原作出版元はカドカワノベルズ
動画1:原田知世 早春物語
※この記事は次回後半へと続きます。
キリストの御国にて記す
管理人 日月土
今回参考にしたサイトは、当時の放送を録画した以下の動画になります。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm8114267
こちらの動画タイトルはズバリ「日本航空123便墜落事故」。歌番組そのものよりも、途中に入ったニュース速報を中心に編集されており、当時の生々しい様子を垣間見る貴重な資料の一つとなっています。
その速報内容も注目に値するのですが、今回は歌謡番組そのものに焦点を当てたいと思います。まずは、同番組の当日のランキングです。
図1:1985年8月12日放映の「ザ・トップテン」ランキング
ある一定年代以上の方には懐かしい曲ばかりではないかと思います。あの頃はTBS系列の人気歌謡番組「ザ・ベストテン」と併せ、空前のアイドルブームが沸き起こったのを、今でも昨日のことのように思い出します。そんな盛り上がりの最中、あの忌まわしい事件が番組放送の約1時間前に発生し、同番組も123便の安否を伝えるニュース速報で度々中断されるという、とんでもない状況となったのが、この動画からも窺われます(私は当時この番組を観ていません)。
この時代、アイドルブームの煽りを受けて、私の周りもやれ「聖子ちゃん最高」とか、「明菜いいよな」などと浮かれていたものですが、今このランキング表をしみじみ見返すと、「えっ」と思うような事実に気付かされます。
悲しい曲がやたら多いのです。
それはタイトルからも窺われます
「哀しい」が2曲 : 哀しい予感、シャイニン・オン君が哀しい
「悲しみ」が1曲 : 悲しみにさようなら
別れの「Bye」が1曲 : Bye Bye My Love
これに、明らかに否定的なニュアンスの強い「翼の折れた」を加えると、タイトルだけで5曲から暗いイメージが漂ってくるのです。その他の曲も実際に歌詞を見てみると、
俺たちのロカビリーナイト : 古い友人との死別
SAND BEIGE : 別れた後の一人旅
早春物語 : 会いたいのに会えない心情
以上の3曲は明らかに暗い内容がテーマで、多少明るさのあるのは「あなたを・もっと・知りたくて」と「魔女」くらいのものです。あの時は歌詞の意味なんかたいして吟味もせず、人気アイドルが何か歌っていることばかりに感心を寄せていたんだなと、「若かったな」という思いと共に、改めて当時の心境が思い返されます。
■夏なのに「早春物語」の不思議
暗いトーンの曲ばかり上位にランキングしていることは、それだけで何かの作為を感じてしまうのですが、私が最も注目するのは、原田知世さんが歌った「早春物語」です。解説を進める前に次の表を見てください。
図2:8月12日放送前後の「ザ・ベストテン」とランキングを比較(拡大図)
以上の表は、123便事件前の8月8日、そして、事件後の8月15日に放送された「ザ・ベストテン」とそのランキングを比較したものです。両番組とも票の集計方法は異なるでしょうが、チェッカーズや、安全地帯など、当時の大ヒット曲のトレンドだけは外していないのは分かります。そこに、次のような分析を加えてみました
図3:各曲のランキング登場パターン(拡大図)
上位6曲は、全ての番組にランクインしたもの、続く5曲はその内2つにランクインしたもの、そして残り2曲は、1つにだけランクインしたものです。石川秀美さん歌による「Sea Loves You ~ キッスで殺して」は8/8の番組で9位ですから、既に下降線上にあったのだろうと考えられます。すると、原田知世さんの歌う「早春物語」が8月12日の番組にポツネンと登場しているのが分かります。
これは、「夏ざかりほの字組」や「サイレンスがいっぱい」の両曲が、ベストテンには出ていても、トップテンにはランクインしていないことから、ヒットトレンドを越えて、テレビ局やスポンサーの意向が直接働いているからだと考えられます。つまり、
早春物語は番組の意向でランクインした曲
であると見なせるのです。具体的には日本テレビ、角川春樹事務所、当時のCMスポンサー、etc.と言ったところの意志が働いたのでしょう。
ところで、8月12日はお盆の入り口、夏真っ盛りの季節です。季節や流行に極めて敏感なはずのショービジネス界がなぜ「早春」などという季節外れのイレギュラーを許したのでしょうか?
これにはまず、「早春」の意味を考えてみましょう。早春とは「立春を過ぎた立夏までの間の早い時期」ですから、2月から3月までの季節、ちょうど今の季節を指します。夏どころか、夏と真反対の季節と言うことになりますね。なんでまたこんな曲が真夏にランクインするのでしょう?
ここでもう一度、「早春」と聞いて誰もが連想する言葉を考えてみます。「雪」、「梅の花」、「受験」、そして
卒業
です。
1985年の早春、歌謡界が稀に見る「卒業」ソングブームであったことはシリーズ前々回の『岡田有希子と「卒業」』でお知らせした通りです。
1) 1月21日 尾崎豊「卒業」
2) 2月21日 斉藤由貴「卒業」
3) 2月24日 倉沢淳美「卒業」
4) 2月27日 菊池桃子「卒業」
そのブームの意図が何であったか、それが8月12日の「早春」に繋げるためであるとすれば、全て辻褄が合ってくるのです。そしてこの年「卒業」を散々聴かされた私たちは、潜在意識の深いレベルで、この「卒業」に込められた恐ろしい意味を「早春」というキーワードで強制的に掘り起こされていたのです。
繰り返しになりますが、その恐ろしい意味とは
昭和天皇の死
なのです。
図4:「早春物語」歌詞
図5:同年9月、映画にもなった「早春物語」
制作は角川春樹事務所、原作出版元はカドカワノベルズ
動画1:原田知世 早春物語
※この記事は次回後半へと続きます。
キリストの御国にて記す
管理人 日月土
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