
最近ホンダの福井社長がよくテレビに出て、この会社には社長室がないことが話題にされる。ホンダは大部屋の役員室で役員が自由闊達、時には過激な本音をぶつけあうコミュニケーションをワイガヤと呼び、経営の舵取を開放的に行う社風をつくってきた。そのワイガヤを1990年に廃止した。ワイガヤを廃止したのは意思決定が甘くなり経営判断をトップが責任をもつようにしたからだ。福井社長がワイガヤを2005年に復活させたのは社内のコミュニケーション不足を感じたからという。インテルも過激な討論で知られる社風だが、革新的な技術やマーケティングで成長する会社は経営陣の建設的な討論を基礎にしている。オペレーションの技術開発のためにこの本を読んだが、経営や販売で得るところの多い本だ。ホンダはもともとバイクの販売から成長した会社で、昔はバイク店で軽自動車を販売していた時期もある。ホンダの販売店は昔はバイク屋だったところもあるそうだ。技術開発では本田技術研究所を子会社にしている。生産や販売と開発を分離することは技術に妥協を許さない技術の独創性や品質向上を保障するというメリットがある反面、マーケットから遠くなり消費者の指向が反映されなくなるという問題もある。そのためラージ・プロジェクト・リーダーという制度で一人に大きな権限を与え、消費者のニーズから技術開発までをマネジメントさせているのだろう。