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小倉昌男『経営学』日経BP社

2010-08-14 20:18:50 | マネジメント・ガバナンス
1年前にノートを取りながら読んで、感想を書こうと思っていたら、忘れていた。

この本がそのまま経営学のケースに使えるすばらしい本。

小倉氏の経営哲学とヤマト運輸成長への影響を拾ってみる。

○過去の成功体験は、時代が変わり、新しい仕事を始めるときには妨げとなる。

宅急便への参入の際に、小倉氏はこれまでの常識を見直した。
優良な得意先を断ってまで、物流の仕組みを変えた。 
多数の小包がどこにでも配送できるように、ベース → センター → デポのハブ・アンド・スポークのしくみを宅急便の流通システムでつくった。
  

○よい循環を起こす出発点は「よく働くこと」

SD(セールスドライバー)を導入した。
「サービスが先、利益は後」と配送車に書いて、社員の自覚を促した。
ネットワークを拡大し、徐々に社員を増やした。

○経営とは自分の頭で考えるもの

それまで郵便局が独占していた市場がビジネスになるということを考えた。
市場の捉え方、営業所の必要数などをフェルミ推定で考えた。
ex.宅急便に必要な営業所の数の目標を警察署の数にした。

○儲からないから止めてしまうのは情けない。儲からないものを儲かるようにするのが起業化魂。経営のロマン。

それまで採算が取れないと言われていた小口荷物の輸送の宅急便を採算が取れる事業にした。
新しいサービス、スキー宅急便、ゴルフ宅急便、クール多急便などを考案した。


○組織をフラット化し社内のコミュニケーションをよくれば、経営のスピードも速くなる。

SDの採用、事務と労務の一本化を実行した。

○上司の目は頼りにならない。下からの評価と横からの評価。項目は実績でなく人柄。


リーダーには、ビジョンをつくる力、ビジネスモデルを構築する力、具体的な目標に落とし込む力、組織を作り上げる力が必要と言われるが、小倉氏はそのどれもが優れている。

ビジョン:郵便局だけの独占事業であったゆうパックの市場に宅急便というあらたなビジネスを生む。福祉事業で障害者に一人前の給与を支払う。

ビジネスモデルの構築:宅急便で採算が取れる事業になるかを、ハブ・アンド・スポークシステムや営業所の数、太平洋側の主要都市から拡大するなどの施策としてつくった。

目標に落とし込む: ダントツ三カ年計画などの目標を掲げ、実行した。

組織を作り上げる: 全員経営の考え方で、ブルーカラーとホワイトカラーの一本化や労働組合を見方につけることなど、それまでの常識を変えて組織をつくりあげた。

何度も読み返したい日本のすばらしい経営者の本であり、小倉氏自身による貴重な経営書である。


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