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お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

吉越浩一郎『デッドライン仕事術』祥伝社新書

2008-08-15 13:25:18 | 仕事術
吉越さんの本もこれで3冊目。何が考え方のベースになっていて、どういうエピソードを話したいかがだいたいわかる。
メリタやトリンプなど外資系の会社の体験が、吉越氏の行動規範になっているようだ。フランス人の奥さんの影響も大きいのかもしれない。
仕事中は一心不乱に働き、就業時間後はゆっくり楽しむというのもわかる。でも仕事が終わったら同僚のドイツ人と毎日飲んでいたというのはどうなのだろう。吉越さんは仕事中にリラックスするので、日本では残業が多いという考え方だが、仕事で自己実現をしていると感じている人が多いから日本では残業が多いという見方もできる。こうなるといったい何のために生きているのか、何のために働くのかという哲学的な問題になる。ホワイトカラーの仕事は製造業と違って、納期やプロセスが見えにくいので、仕事に期限を設ける。プロセスを見える化するというアイデアはその通りだと思う。
あらためて読んでみると、社長はわがままでないとよい仕事はできないのだなあと思う。

荻原勝『成功する「時短」の進め方』

2008-01-07 23:04:59 | 仕事術
最近、時短という言葉自体を聞かなくなった。この本は15年以上も前に出版された本で古本でしか手に入らない。それくらい長時間労働の解消が進んだのか、それとも日本では時短は無理とあきらめたのか。
この本ではフレックスタイム制やパートなど外部労働力の導入、超勤申請の工夫、残業情報の公開など「時短」を進める基本的な方法が紹介されている。でもこんな基本的なことすら行っていない企業もまだ多いように思う。個人のタイムマネジメントの本は今でも多く出版されているが、個人のレベルを超えて、職場ぐるみ、会社ぐるみの時短と生産性の向上のための工夫と具体化こそが課題だろう。

小林忠嗣『DIPS(ディップス)実践による金融機関「渉外活動」の革新 』

2008-01-07 22:25:38 | 仕事術
生産性を上げながら労働時間を減らす。この課題は難しい。とくにホワイトカラーの仕事は生産工程と違い、何がボトルネックになっているかがわかりにくい。
しかし、この本にある仕事の時間分析の方法は、ホワイトカラーがどのように時間を使うべきかを考えるうえでとても参考になる。一日の仕事の内容を簡単に記録して、分類するだけでも多くのことが分かり、解決できることもあるのだ。

佐藤可士和『佐藤可士和の超整理術』

2007-10-21 10:27:21 | 仕事術
今日本で最も注目されいるアートディレクターの一人である佐藤可士和氏のデザインコンセプトと整理に関する著書。鞄の中の整理から、机、部屋など空間の整理に始まって情報、思考と難易度の高いものまでの整理に関する考え方が述べられている。もともとデザイナーなのに芸術的というよりとても論理的な主張である。部屋をすっきりさせるのは、視覚作用を考えると、多くのものが見えていると気が散ってしまうから。いろんなことができると思っていても結局ひとつのことしかできない。一つのことに集中できるようにすっきりさせるためらしい。ドコモのN702iは機能美を追求した携帯電話で100万個以上のセールスになったそうだ。あのケータイのコンセプトは、機能美やシンプルさということを表すコンセプトを後から考え出し、「潔さ」としたそうだ。デザインを考える思考回路は芸術的というよりロジカルシンキングなのだ。整理も問題解決も、まず見えていないものを見えるようにして、順番にならべ、優先順位をつける。それから因果関係を見つけ、本質を捉え、課題を見つけ解決する。

本田直之『レバレッジ時間術―ノーリスク・ハイリターンの成功原則』

2007-08-19 09:40:51 | 仕事術
とくに目新しいことが書いてあるわけではない。目新しいのは本のタイトルくらい。時間を「消費する」ことから「投資する」ことに考え方を変えるのが大切と説明する。ファイナンスのレバレッジ(てこ)の原理からのアナロジーで、いかにより少ない時間でより高い成果をめざすのかを紹介したHOW TO本。著者がこのような考え方をするようになったのはアメリカに留学してMBAを取得していたとき。クラスメイトたちがいかに効率的に時間を使っているかに驚いたとのこと。MBA取得もその後の仕事でいかに効率よく仕事をすすめるかではレバレッジ効果があったとか。
この本のデータでは、アメリカのビジネススクールは約800校、年間のMBA取得者は約7万人なのに対して、日本のビジネススクールは約30校、MBA取得者は1500人に過ぎないらしい。日本のビジネスパーソンの時間の使い方を見ていると、今後日本もアメリカのようになるのかは疑問が残る。

勝間和代『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』

2007-06-25 22:46:39 | 仕事術
本屋でこの本を立ち読みした時には、買わないでおこうと思った。けれどローソンでもこの本を売っていたので思わず買ってしまった。これはマーケティングでいえばPlace(流通チャンネル)戦術の勝利だろう。まさかローソンでも出会うとは意表をつかれた。著者は慶応義塾大学在学中の19歳で公認会計士に合格し、TOEICは3年間で900点を取った。その人が「無理なく続けられる勉強法」と言ってもちょっと説得力に欠けるような気がする。もともと育ちも頭もいいのではないかと思えるからだ。大平光代さんのように元極道の妻が弁護士になるのとは切実さに欠けるような気がする。著者がLet's Noteを3種類も持っているのも、はてな?という感じだ。ちょっと浮世ばなれしている。しかし豆知識についてはためになる。ソフトバンクのようにアメリカで何年か前に成功したケースを日本にもって来るのを「タイムマシン経営」というらしい。またマッキンゼーではコンサルタントに簿記3級を取らせるらしい。コンサルタントも仕訳のドリルをするのだ。たかが簿記3級、されど簿記3級である。アカウンティングやファイナンスの知識を仕込む前に仕訳くらいは覚えるべきなのだ。大前研一が『即戦力の磨き方』でこれからのビジネス社会では問題解決力と財務、英語、IT力が大事だと書いていたが、それを具体化すると著者の書いている勉強法になるともいえる。

照屋華子『ロジカル・ライティング』

2007-06-12 23:03:03 | 仕事術
マッキンゼーにはエディテイング・サービスという部門があるそうだ。コンサルタントの誰かが提案やプレゼンするとき、最後に通過する部署で、ここで提案書が差し戻しになることもあるらしい。この本はマッキンゼーのエディテイング・サービスでプロのコンサルタントにライティングの指導をしている著者が、わかりやすく書くということについて、2つの大事な考え方を教えてくれる。一つの考え方は、書くという行為は、読み手、書き手、テーマ、期待する反応という4つの要素で成り立っておりこれを常に意識するのが大事ということだ。誰が読み手なのか、書き手は誰か、テーマは何か、どういう反応を期待しているか、これらが明確でないとわかりやすい文章は書けない。もう一つの考え方は、論理的な文章はso what/why soとMECEという論理構造で成り立っているということだ。帰納と演繹の相互作用、命題と根拠の構造化ともいえるだろう。文章技術としてドットやミニドットを使うときも常にso what/why soとMECEを意識すると文書がより効果的に視覚化される。後半には著者が実際に添削したのだろうと思われる17個のありがちな例について具体的な改善案が示されている。文章は具体性が必要。見出しの体言止めは要注意。否定形の文章のあとの展開こそが大事なこと。これらはすべて書くときのhow toとして役に立つ。こういう記述を見ていると著者の照屋華子さんはほんとうに添削がうまいのだろうなあと思う。

東芝社長のワーク・ライフ・バランス

2007-05-29 23:01:44 | 仕事術
昨日の日経に東芝の西田厚聡社長の「仕事術」の3回目が載っていた。東芝は社員の一人一人にイノベーション(革新)を求めている。革新を生み出すのに不可欠なのが、仕事と私生活を調和させるワーク・ライフ・バランスなのだそうだ。リフレッシュしないと良いひらめきは生まれないとのこと。西田社長自身も土日はゴルフ、読書、奥さんとのドライブで過ごし、仕事のことは一切考えないらしい。東芝の社員がこの記事を読んで「社長は気楽でいいよな」と言っているのかどうかは知らない。しかし、業種にもよるがベンチャーや中小企業の社長だとこうは言っていられないし、土日を完全にオフにすると会社がつぶれるかもしれない。でも長続きするにはどんな場合もオンとオフの切り替えは必要だと思う。会社ぐるみでそれを実現するにはトリンプの前社長の吉越さんみたいに多少の荒療治も必要なのだろう。残業をさせないために総務部長が6時になると会社の電気を切ってまわったり、昼休みにストップウォッチをもたせて時間厳守を徹底したり。そこまでしないと実行力あることはできない。トリンプはそれによって結婚、子育てもできて女性には働きやすい職場になっている。東芝の社長は強制的に電気を切って回るような下品なことはしないだろうなあ。

大前研一ほか『時間とムダの科学』

2007-04-15 08:57:25 | 仕事術
雑誌「PRESIDENT」の特集をまとめたものなので雑誌感覚で読める。有名な人ばかりが書いているのでどこかで読んだことのある話も多い。齋藤孝の3色ボールペンや西村晃のポストイットを手帳に利用する話など。しかし耳が痛かったのは御立尚資の「警告!時間ドロボー上司が組織を潰す」だ。部下ができる仕事を上司がしていたり、権限委譲をマル投げの方法か逐一干渉する方法によって時間利用が重複してむだを生んでいる。優秀だった社員がプレイングマネジャーになって、意識が変わらないとそういうことが起こりやすいらしい。上司は上司にしかできない1年先3年先のための仕事をすべきなのだ。権限委譲をのためには適切な助言や実際にやってみせること、委譲のための引き継ぎ時間をきちんと確保することが大事。「忙しい、忙しい」と目の前の仕事を上司がいっしょに部下と取り組んでいる組織は結局忙しさから抜け出せないのだろう。個人のタイムマネジメントと組織のタイムマネジメントは次元が違うことを意識して、責任ある部署の上司が組織のタイムマネジメントにとりくまなければいえない。でなければ、「忙しい」が口癖の「時間ドロボー上司」によって組織が潰されてしまうのかもしれない。

「時間ない病」の研究

2007-04-04 00:10:21 | 仕事術
今回のプレジデントの特集には冒頭に高橋俊介氏が、時間ドロボーの正体として4点上げている。(1)短期志向の事業構造、(2)学習しない上司、(3)奴隷型顧客主義、(4)優先順位志向の欠如である。残業を減らす方法として、トリンプインターナショナルのように総務部長が強制的に電気を切って回るという荒療治もあるのだろうが、労働時間のあり方はその企業の戦略や組織文化と密接なような気がする。高橋氏のいう短期志向の事業構造や奴隷型顧客主義というのが残業の多い企業の特徴なのではないだろうか。だからよほど普段ダラダラ仕事をしている人でない限り、管理職が電気を切って回っても、家に持って帰って仕事をしたり、早朝に出社して仕事をしたりする人が多いんだろうと思う。労働時間は事業構造や組織文化を変えていくかどうかでそのあり方も変わるだろう。今回の特集でなるほどと思ったのは京セラの副会長が、時間を管理するのではなく、時間当たりの採算で生産性を図るという稲盛式やりかたを紹介していることだ。その他の人々の知恵で参考になったのは、会議を減らす、15分単位で仕事をする、書式の標準化、嫌なことは月曜日の朝にすることなどだ。逆にどうかなと思ったのは、時計を見ない、創意工夫を制限する、キャノンの朝会などだ。キャノンの朝会は役員のベクトルを同じ方向にするためだそうだが、具体的なテーマのない会議が本当に役に立つのだろうか。いつもいっしょにいて役員間で反逆者を減らす効果はあるのかもしれないが。