
今回のプレジデントの特集には冒頭に高橋俊介氏が、時間ドロボーの正体として4点上げている。(1)短期志向の事業構造、(2)学習しない上司、(3)奴隷型顧客主義、(4)優先順位志向の欠如である。残業を減らす方法として、トリンプインターナショナルのように総務部長が強制的に電気を切って回るという荒療治もあるのだろうが、労働時間のあり方はその企業の戦略や組織文化と密接なような気がする。高橋氏のいう短期志向の事業構造や奴隷型顧客主義というのが残業の多い企業の特徴なのではないだろうか。だからよほど普段ダラダラ仕事をしている人でない限り、管理職が電気を切って回っても、家に持って帰って仕事をしたり、早朝に出社して仕事をしたりする人が多いんだろうと思う。労働時間は事業構造や組織文化を変えていくかどうかでそのあり方も変わるだろう。今回の特集でなるほどと思ったのは京セラの副会長が、時間を管理するのではなく、時間当たりの採算で生産性を図るという稲盛式やりかたを紹介していることだ。その他の人々の知恵で参考になったのは、会議を減らす、15分単位で仕事をする、書式の標準化、嫌なことは月曜日の朝にすることなどだ。逆にどうかなと思ったのは、時計を見ない、創意工夫を制限する、キャノンの朝会などだ。キャノンの朝会は役員のベクトルを同じ方向にするためだそうだが、具体的なテーマのない会議が本当に役に立つのだろうか。いつもいっしょにいて役員間で反逆者を減らす効果はあるのかもしれないが。