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お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

和田勲生『戦略の本質』

2007-10-28 18:25:07 | 経営戦略
元BCGコンサルタントの本。企業の存在意義は「社会貢献」と「利益」を同時に満たすこと。その必要条件が優位性であるという。
戦略と中長期計画の違いは、戦略は企業あるいは事業として優位性を強化、創造していくためのグランドデザインであり、現在の組織を超えたもの。計画は各組織が立案し、合意し、実行していくもの。しかし各組織の計画の集合体では企業全体の優位性構築のシナリオにはならない。
そのほか実践的な課題として、資源配分には適度なアンバランスが必要であることや本質論点への執着心をもった分析の必要性などが説かれている。
フレームワークを説明した戦略本はたくさんあるが、この本はフレームワークを実際にどう使うかについて書かれていてとても参考になる。

レイ・クロック『成功はゴミ箱の中に』

2007-08-23 00:07:46 | 経営戦略
「未熟でいるうちは成長できる。成熟した途端、腐敗が始まる」。規格化、清潔さ、コストダウンなど整然とした戦略で世界を制覇したと思われているマクドナルド。その創設者レイ・クロックはきわめて泥臭く、脂ぎった起業家である。学歴もなく、ペーパーカップの営業と夜はバーのピアノマンの兼業、ミキサー機の販売などを経て、マクドナルド兄弟のハンバーガー店に出会う。商売っけのないマクドナルド兄弟を相手に資金繰りにも苦労しながら、全米一のファーストフードチェーンにする。マクドナルドはハンバーガーをチェーン店にしただけでなく、外食を大量生産する工業製品にした最初のケースとも言われている。マクドナライゼーションという単語もあるそうだ。
「競争相手のすべてを知りたければゴミ箱の中を調べればよい。知りたいものはすべて転がっている」。これはレイ・クロックが競争相手にスパイを送り込む提案に反対して言った言葉だ。品質、サービス、清潔さと付加価値で正々堂々と勝負すれば勝てると思っている。レイは古いタイプの社長なのだ。
ニクソンへの政治献金が問題になって、マクドナルドは共和党への支持を社内で強要するのかとの記者の質問された。そのときレイでなく副社長は、レイがなんと言おうと私は民主党に投票したと答えた。レイは「そして二人とも間違っていた」と笑った。役員会のみんなが社長の意見に賛成ならそんなに多くの人は役員に要らないともいう。上下関係なく、率直に討論し、学歴も問わない。ひたすら「やり遂げろ!」。これがマクドナルドのポリシーだ。
巻末のソフトバンク・孫社長とファーストリテイリング・柳井会長の対談では、二人ともレイ・クロックの影響を受けていることがわかる。それよりも日本マクドナルドの元社長・藤田田氏を経営者として尊敬しているようだ。

小宮一慶『M&A大再編で消える会社、伸びる会社』

2007-08-19 10:20:58 | 経営戦略
流通業界の大再編の原因は消費財の供給過剰にある。その最大の理由は巨額の設備投資らしい。たとえば液晶パネルではシャープ、ソニー・サムソン連合などがコストを下げるために市場シェアを競い、大規模工場を建設している。大規模投資し、価格競争が高まり、コストを下げるために、さらに生産を増やすという悪循環が起こり、供給過剰になっている。消費財の供給過剰が、流通業界の価格競争を促し、規模の拡大によるコスト削減を狙うイオンやダイエー、西友などの競合を巻き込み、業界再編が起きているという。国内医薬品業界の再編は、外資メーカーに買収されないように時価総額を増やすためらしい。会社だけでなく、塾業界もベネッセなど教育産業の大手を巻き込んだ再編が起きている。これは少子化などを背景としている。
スティールパートナーズが買収のターゲットにするのは自己資本率が高く、株主資本利益率(ROE)が低い会社だ。自己資本率が低いと借金しやすいので、負債が増やしやすい。つまりLBOによる買収のターゲットになりやすい。またROEが低いのは、資産を有効活用できていないので、株主から批判を受けやすい。買収をかければ成功する確率が高い。しかし著者は株主利益だけを優先するM&Aには疑問があると言っている。数々の会社を吸収しているジョンソン・アンド・ジョンソンでは、顧客、従業員、社会、株主の順で優先的に利益を考えてM&Aを実施するという。M&Aを考えるとき、誰の利益になるのが重要だろう。

競争の戦略

2004-08-22 19:09:30 | 経営戦略
M.E.ポーター「新訂・競争の戦略」ダイヤモンド社
この本がアメリカで出版されたのはいまから24年も前になる。古典的名著といわれても当然の生命力だ。しかし、古典といってもこの本で書かれている5つの競争要因や3つの基本戦略など今でも競合分析で有効なフレームワークは多い。この本の解説書として最近出版された「ポーター教授『競争戦略』入門」グローバルタスクフォース著(総合法令)は忙しい人がポーターの考え方を理解する上で便利な本である。