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お気楽ビジネス・モード

ビジネスライフを楽しくする知恵や方法を紹介する

三澤一文『技術マネジメント入門』

2007-07-13 22:12:27 | オペレーション戦略
事務系出身の経営層や実務担当者にもわかりやすいようにというコンセプトで書かれた本。技術開発では「独創」「時間」「費用」「品質」それぞれの間で二律背反関係になる。それを解決するのがイノベーション。なんだかヘーゲルの論理学で弁証法の説明を聞いているようだが、トレードオフの関係は必ずしも解決できないものでなく、それを解決するために技術マネジメントがあるという考え方はよくわかる。技術開発においては常に何と何がトレードオフ関係にあり、それをどう解決するか。これはものづくりだけでなく、サービス産業の企画を考える時にも通じるように思う。MOTの入門書としてはよい本かもしれない。

赤井邦彦「強い会社」を作る ホンダ連邦共和国の秘密

2007-07-09 00:40:25 | オペレーション戦略
最近ホンダの福井社長がよくテレビに出て、この会社には社長室がないことが話題にされる。ホンダは大部屋の役員室で役員が自由闊達、時には過激な本音をぶつけあうコミュニケーションをワイガヤと呼び、経営の舵取を開放的に行う社風をつくってきた。そのワイガヤを1990年に廃止した。ワイガヤを廃止したのは意思決定が甘くなり経営判断をトップが責任をもつようにしたからだ。福井社長がワイガヤを2005年に復活させたのは社内のコミュニケーション不足を感じたからという。インテルも過激な討論で知られる社風だが、革新的な技術やマーケティングで成長する会社は経営陣の建設的な討論を基礎にしている。オペレーションの技術開発のためにこの本を読んだが、経営や販売で得るところの多い本だ。ホンダはもともとバイクの販売から成長した会社で、昔はバイク店で軽自動車を販売していた時期もある。ホンダの販売店は昔はバイク屋だったところもあるそうだ。技術開発では本田技術研究所を子会社にしている。生産や販売と開発を分離することは技術に妥協を許さない技術の独創性や品質向上を保障するというメリットがある反面、マーケットから遠くなり消費者の指向が反映されなくなるという問題もある。そのためラージ・プロジェクト・リーダーという制度で一人に大きな権限を与え、消費者のニーズから技術開発までをマネジメントさせているのだろう。

遠藤功『事例に学ぶ経営と現場力』

2007-07-08 23:56:53 | オペレーション戦略
経営戦略を頭とすると、サプライチェーンを基本にしたオペレーションは体に当たると著者はいう。生産現場でのオペレーションは比較的わかりやすいが、顧客との接点から生産までを含めたオペレーションは、ITシステムや情報の共有化、手順の可視化など様々な工夫が必要である。効率的で参加意識が高まる組織運営にはトップダウンとボトムアップの組み合わせが必要だといわれる。ビジョン提示はトップダウンで、オペレーション改善はボトムアップで、というのが著者の主張。これはわかりやすい表現だ。この本で紹介されている事例として興味深かったのは、トヨタのグローバル販売戦略とデル・コンピュータのビジネスモデルだ。