あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

古染付 石洞美術館

2016-07-19 16:41:08 | 美術展
 
 


 暑くなり、夏になると、やきものの世界は涼しい色の染付のものが似合う季節となります。
 テーブルでも、どってり土っぽいものよりも、
 白と藍色でせめてもの涼を感じたくなります。

 その染付展が我が家の割合近く、千住大橋駅すぐの石洞美術館で
 開催されています。
 こちらの特に古染付の収集は群を抜いていて、
 これまでもあちこちで開催された染付展会場で 
 思いがけず、「石洞美術館蔵」の作品を拝見してきました。

 それは、ユニークな自由度の高い、楽しい作品で、
 官窯の緊張から離れた、庶民が楽しめるようなもの、なのですが、
 茶人たちが大変贔屓にしていました。

 最近にわかにやきものに興味を持ち始めた友人がそこに行って見たいというので、
 それなら展覧初日だし、と連れだって行ってきました。

 北千住マルイ横から地元バス、はるかぜ号に乗って、千住大橋駅下車し
 目の前に中華風なユニークな建物がみえたら、
 そこが石洞美術館です。

 小さな美術館ではありますが、見事な展示室で螺旋スロープ横の
 展示ケースが特徴で、入館料500円も
 大変ありがたいことですし、ぐるっとパスをお持ちならば、
 入館料金はかからないはずです。

 展覧初日であるのも関わらず、入館者はまばらで、大変静かにゆったりと
 作品群と対峙することができました。

 会期は第一期が 7/16から8/7まで。
     二期  8/20から12/18
     三期  年が明けて2017年 1/7から4/2 まで。

 展覧の古染付のタイトル横には 
    「このくにのひとのあこがれ かのくにひとのねがい」 

 とあって、我が国だけの憧れであったのではないことを知らされますし、
 中国との親交も強い絆を感じ取ることができます。
 三期にわたって約500点余りの古染付を展覧できるとは、
 じっくり通って見たいものです。


 ちょうど骨董月刊誌「目の眼」8月号に 手厚い特集が組まれています。
 「目の眼」の表紙が涼やかな水色に染まっていましたが、
 まだ、ちゃんと記事を見る、読むことをしていなかったのですが、
 石洞美術館から帰宅してようやく手にして
 きれいな写真と共に丁寧に特集が組まれたことに感動したのでした。
 記事には詳しい石洞美術館の方との会談も掲載されて
 作品もいいものをしっかり魅せてくれます。

 展示会場にはこれらを熱く収集した佐藤千壽さんの目線と解釈が紹介され、
 その視線のやわらかさにホッとさせられるのでした。
 ほんとうに楽しく愛玩していらしたのだなぁと伝わるのです。
 今回、その千壽さんの著作、「やきもの歳時記」を求めました。
 月替わりにやきものを紹介しながら俳句も取り上げ、
 鑑賞の豊かな懐を感じさせられます。

 ゆるっとした羅漢さんのやるきのなさや、
 うさぎや魚、鳥、などの動物たち、
 美しいはずの植物もどこか漫画チックでほほえましい絵付けに
 見る人の頬がついゆるみます。

 李朝のやきものとはまた違った自由度が
 食卓の彩りとなって、
 刺身の盛り合わせや、サラダ、煮付け、時にはステーキでも
 似合いそうです。

 と思っていたら、「目の眼」でも誌上で
 お料理の取り合わせを紹介していました。
 そうこなくちゃと、くいしんぼうを喜ばせてくれました。 

 石洞美術館のサイト

 
 月刊誌「目の眼」のサイト

 
 やきものに興味を持ってくれる友が増えたことも大変嬉しい事でした。
 会期も長いので、展覧会の喧噪を離れたくなったら、
 ぜひ、千住大橋へ。
 

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