あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

妙心寺展 ・東京国立博物館

2009-01-24 23:38:48 | 日本美術
実は妙心寺に3年前に友達家族とあべまつ親子で
参拝してきている。
丁度その夏、友達の父君のお盆の法事をするため
京都入りする際に図々しくくっついていったのだ。
友達の父君はなんと、妙心寺に眠っているのだ。
友達ご一行が読経の声を聞いている間、
あべまつ親子は、妙心寺の観光ツアーと洒落込んだ。

どこからどこまでがお寺なのか、ともかく広くて、
ジリジリ暑い中フラフラ無駄に歩いた気がした。

それでも、法堂(はっとう)の探幽描く八方睨みの天井龍図は
大迫力だった。

蒸し風呂もあったと思う。
明智光秀の菩提を追善するためだったとか。

そういえば、去年だったか、夏の京都のキャンペーンに
この探幽の龍図が紹介ポスターに使われていたはずだ。
塔頭も多く、46あると聞いた。

その妙心寺初代の開山、無相大師650年遠緯記念。
遠緯という耳慣れない言葉。
ともかくは、妙心寺の開山記念ということか。

第1章臨済宗
第2章妙心寺の開創
第3章妙心寺の中興
ここまでは、名僧の墨跡、頂相、袈裟、などが並ぶ。
重厚感ある構成。
花園法皇の袈裟は鼈甲の輪がちらり覗き、
さすがに豪華なものと思った。
花園法皇座像によれば、なかなかのお人柄と見受けた。
結構なイケメンだ。
ありがたい頂相を下卑た感想で申し訳ない。

第4章禅の空間
これからがいよいよ楽しいゾーン。
唐絵と中世水墨画
青磁の香炉があったり、
ぐり堆黒合子があったり、いかにも唐好み。
・瀟湘八景図屏風  伝 相阿弥筆 16C

・十六羅漢図 蔡山筆 中国元時代14C
 この十六羅漢図は、怪しく不思議な空気に満ちていた。

後期に展示される、朝鮮・高麗時代の摩利支天像を注目したい。
朝鮮絵画展でショックを受けた元時代の匂いが気になる。

第6章妙心寺と大檀越ー繁栄の礎ー
安土桃山時代に関わった、名士たちの像、
秀吉の愛児捨丸像など。
春日局の直筆、消息がなんだかすごい字だと思った。
隣には探幽描く春日局像が生々しかった。
 
第7章近世の禅風ー白隠登場ー
癒しの白隠、太々とした文字、
大迫力の達磨図、見ていて楽しい気持ちになってくる。

第8章禅の空間ー近世障屏画のかがやき
この章のために通ってもいいぐらいの大画面。

・楼閣人物螺鈿座屏 伊勢屋直七作 
 中華料理店によくある螺鈿の衝立を思い出した。
 もちろん、こちらのほうが百倍すばらしい。

・枯木猿猴図 長谷川等伯 
 牧谿猿といわれるテナガザルが悠々と枝につかまって
 こちらを招く。荒々しい枯木との対照が面白い。
 牧谿を学んでますます画力をつけたのだと思う。

・琴棋書画図屏風 海北友松
 今回の屏風シリーズの中で、山楽、山雪父子と
 もう一人、海北友松が光る存在。
 去年京博で、宮本武蔵展のときに勇壮な龍の襖絵を見た。
 独特な空間の取り方にしばし見惚れたのだった。
 この屏風も色の所為か、画題の所為か、
 とても華やかな雰囲気が感じられた。
 後期に3点登場するから、また行かねばならない。

・龍虎図屏風 狩野山楽
 今まで、様々な絵師による龍虎図を見てきたけれど、
 山楽の龍虎図は瞬間の風があって、気合もあり、
 劇画チックでもあり、めちゃくちゃカッコ良かった。
 特に立ち上ってくる龍がお気に入り。

・老梅図襖 狩野山雪 
 これを見るには、メトロポリタンまで
 はるばる行かなければならないのかと思っていたもの。
 妙心寺展でこれが来るとは思いもかけなかった。
 メトロポリタン美ありがとう!
 本物を前にして、山雪の尋常ではない画風に呆れた。
 良くぞ残っていてくれたとも思った。
 呆れるというのは、あべまつ最大級の褒め言葉。
 こんな不気味な老梅図の襖は怨念を持って
 部屋の主に仕えたのだろうか。
 山楽・山雪父子の京狩野にますます気合が入るのだった。
 
時間がなく、ザーッと見てしまったので、
次回、後期はじっくり見るとしよう。
殺伐とした時代、いよいよ禅を求めてきているのだろうか。
志を持つことを忘れた現代人に禅体験もあるとか。
そんなことはともかく、
あべまつはただ単純にすごい屏風絵と対面できたのが、
とても嬉しかった。
実際の妙心寺へも沢山の人が訪ねて欲しいと願う。

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8 コメント

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Unknown (Tak)
2009-01-24 23:59:44
こんばんは。

今年の冬の京都のパンフにも
妙心寺が使われていますね。

山雪をじっくり、ゆったり
堪能できる幸せ。
NYは寒いですから。
上野でのんびりと。
返信する
Unknown (一村雨)
2009-01-25 10:52:38
老梅図襖だけ見るために、この展覧会を
訪れてもまったく損はしませんね。
本当にメトロポリタン、ありがとうですね。
返信する
Unknown (はろるど)
2009-01-25 21:21:29
こんばんは。山雪の屏風に「呆れた」と仰るのに私も納得です。あの不気味さには開いた口が塞がりませんでした。(同じく褒め言葉で。)目に焼き付きますよね。

>実際の妙心寺へも沢山の人が訪ねて欲しい

かつて妙心寺の最寄に縁があったことを今更ながらに思い出しました。
もちろん当時は興味がなかったせいか境内に入ることもなく…。勿体ないことをしたなと反省しています。
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Tak さま (あべまつ)
2009-01-26 20:47:15
こんばんは。

冬の京都も妙心寺だったのですね。
なんだかゆっくり冬の京都行きたくなりました。
禅寺の様子よりも、屏風のエキサイトな画面にワクワクしました。
また、後期、行かねば!です。

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一村雨 さま (あべまつ)
2009-01-26 20:49:11
こんばんは。

本当にあの老梅図屏風は、圧巻です。
いつかみたいと思っていましたから、
感激です。
海北友松も再認識でした。
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はろるど さま (あべまつ)
2009-01-26 20:53:59
こんばんは。

やっぱり、あの老梅図屏風、変ですよね。
同じに呆れて下さり、嬉しいです♪

>かつて妙心寺の最寄に縁があったことを

へぇ~そうだったんですか?
京都は縁があって、意外と行っているのですが、美術探検する気持ちで行き直さないと
と、私も反省しています~
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山雪すごいです (ogawama)
2009-01-28 22:14:29
私も今日、行ってきました。
軽い気持ちで流して見てたんですけど、老梅図襖の前で腰くだけです。
芸術の力をまざまざと感じさせられました。

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ogawama さま (あべまつ)
2009-01-29 18:40:12
こんばんは。

山雪スゴイでしょ、でしょ?!
最終章の屏風コーナーは、圧巻ですね。

伝来の物語もぜひ聞いてみたいものです。
後期、また行かねば、ですね。


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