あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

いのりのかたち ・根津美術館

2010-07-26 17:30:45 | 日本美術
今回は根津喜一郎氏の仏教美術収集500点余りのものから
選りすぐりの30点余りを展示する企画。

お茶道具ばかりではない、仏教徒根津嘉一郎の顔も見られるということ。
チラシによると、
お寺建立まで考えていたとか。

ジリジリ暑い日にお参りする気持ちで入った。

早速会場に入ってみよう。

展示室1
最初は銅造鍍金の仏様達。
ここで不思議なものを見る。
仏様が5人並ぶ姿。
小ぶりでとっても可愛らしい。
先日近所で、ガリガリ君?5~6本並んだ?
アイスバーの扇子を持っていたちびっこがいて、
いいなぁ~と思っていたが、
仏様の5人並ぶ扇子も乙なんじゃないかと。(仏罰当たり)

光背がレースのように透けているのが美しい。
 
今回はお軸の仏様たちが秀逸。

平安時代の「普賢十羅刹女像」
白象に乗る普賢様の周りに麗しい女人たちが眷属のように
取り囲む。稚児行列のように綺麗。
退色が進んで入るが、実際はさぞ美麗だったことだろう。




大日如来坐像 平安時代
五智宝冠を頂き、実に彩色がきれいに保存されたものだ。
光背のマーブルになった虹色に一字金輪像を思い出した。
東博にあるのだが、あの光背もとても魅力的で印象深い。
後に菱田春草が模写しているのだった。

阿弥陀如来坐像 朝鮮・高麗時代の3幅が実に繊細で、色使いも綺麗で、
どれもが美しい。
見ていて飽きない優品でこれは見に来てよかったと思った。



その次にメラメラ燃える炎の中、六面六臂六足の
大威徳明王像 鎌倉時代 が恐ろしく真っ赤に燃えていた。

そして、今回のチラシの主人公
金剛界八十一尊曼荼羅が現れた。
唐に渡った円仁が持ち帰ったものを鎌倉時代に転写したもの、という。
ひぐらしの曼荼羅。総勢何人の仏様がおられるだろう。
さすがの曼荼羅図であった。
3メートル四方ありそうな大きさにも圧倒される。

不動明王立像 平安時代
平安時代と聞いてびっくりするほど、彩色が残り、
截金も確認できた。怖い顔はしているけれど、
どこか愛らしくもある。今回初公開。


展示室2

十二因縁絵巻
十二の色々苦行を超えるおはなし。
怪しげな女性にもうろたえるべからずって。


絵過去現在因果経
絵を上段に言葉書きを下段に書いたもの。
奈良絵の原型のようなもので、愛らしい表現。
現代語にして欲しい。


特別企画はこれで終わるが、
根津の凄さはこれで終わらない。
コレクション展が特別展に並ぶほどの充実ぶり。

展示室4
中国の青銅器は今東博でその元祖の発掘されたものが
特別展で時空を超えて展示中。
中国の河南省に埋まっていたものがこの世に現れて
日本に飛んできている。クラっとする。

饕餮文をこれでもかと身につけている器群。
漢字が途方もなく難しい。
これを使って煮炊きしたんだ。
生贄って気配がプンプンする。
その中にあって、饕餮文を真ん中にした
かわいい羊君がいる。

双羊尊

根津のキャラクターにもなって、チケットの代わりに
この栞を頂ける。

展示室5
陶磁器の展示コーナー
今回は大皿。
漳州窯系という珍しい中国明時代のもの。
呉州赤絵、呉州青絵の絵付けとしてはのんびりしている感じ。
織部の大皿があった。
絵付けデザインはあくまでも織部風。
スマートなデザインで、
きっちりたるみのない鍋島も登場。
次回サントリーは鍋島特集だ、気合入ります!

展示室6
ここは茶室しつらい。
七夕様だった。
抱一の七夕図をかけ、
乾山の茄子絵四方水指を置く。
茶碗がよかった。
朝鮮の御本三島茶碗、遠目では刷毛目に見えた。
七夕に染付の涼しい柄とか、
ガラスとか、籠とかも見たかった。

こうしてゆっくりあれやこれやと
根津コレクションはいつもその時にマッチしたものを
並べてくれるのが楽しい。

緑深くなった庭園もまた一興。
冷たいお抹茶と水羊羹も食べたいな~

と、いうことでしばし夏景色の根津美術館を
楽しんだ。
次回は応挙の藤花図屏風 登場です。
お盆明け、お彼岸の頃までに伺いましょう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 酷暑お見舞い申し上げます。... | トップ | あべまつ 手芸部 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。