あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

異邦人達のパリ ・国立新美術館 

2007-03-29 22:48:27 | 美術展
そういっている時点で、私はかなりそこにあまり期待を持っていない。
ガラス板をウェーブして、美しいか?

そう思っているから。

しかし、アクセスはとても便利。
日比谷線でも、大江戸線でも歩いてもわずか。
千代田線ならば、駅と直結だ。
もうすぐサントリーが開館だから、
今年後何度もこの地に足を向けることになるだろう。

千代田線の出口からウッドデッキのような所を歩けば、
美術館の入り口。
これはありがたい。

中にはいると、平成の高層ビルの匂いに似ている。
丸の内ビル、オペラシティ、国際フォーラム、六本木ヒルズ。
ぽか~~んと空いた空間に、
無機質な素材と、黒、白、グレー、アルミの銀、ガラスを組み合わせる。

これが風を呼ぶ新しい建築なのだろうか?

ならば、ポンピドゥの斬新なエレベーターが面白い。
グッケンハイムの螺旋が楽しい。

都庁を造った人のお弟子さんだから、
経費など、頭にないのかも知れない。
共に育つことに心配りする事は、
もはや建物ができてしまった時点で、収束のように思える。

トイレに入った。
ドアを押すとすぐそこに人が立っている。
あ、すみません、と言いながら、その人にぶつからないように
そうっとドアを押して、中に入ったのだ。
一事が万事だ。
中に入っている人は、これから入ってくる人に押されて動くドアの勢いに
気をつけながら、身を除けながら出て行かなければならないのだ。

大きなガラスのお城のトイレがそれなのだ。

私と友人二人は頂いたチケットで、パリに集まってきた、
芸術家の作品と対面してきた。
あぁ、パリが元気だった頃。
その頃のモンパルナスのビデオが楽しかった。
ちらりと藤田嗣治も登場した。
パリの街が活き活きと捉えられていた。
そしてピカソは、あいかわらず飛び抜けていた。
さぞ、同時期の同人からは憧れとジェラシーを集めていたことだろう。
絵の世界が留まっていないのに、呆れるほど力が溢れているのだ。

この展覧会は、ポンピドーの所蔵品で、
名だたる作家の作品が最初のセクションで
会場に入ってきた人の心を捕らえるけれど、
そこから先が、問題だ。

マン・レイの写真も沢山展示してある。
実写ではなく、ゲイジツとしての写真。
ジャコメッティのブロンズもある。
少女のテーブルの本物。嬉しい対面。
ピカソの頭部のブロンズ。片目のジャック、漫画チックだ。

人気のモジリアーニ。
藤田嗣治も自身が登場。(自画像)

そこからというのは、戦後の作品達。
なんだかもの悲しい。
エロ。という作家のマットな中華風な絵に目がいく。
森アーツの笑い展に参加すれば?というビデオが4,5本。
シュールで情けない。
ラウンド・テーブル。
大きな円卓に様々な椅子が載っている。
円卓を囲んで、ファミリーなのか、村の会議なのか、
学校の会議なのか?参加したがらない椅子一つが外を向いていた。
グループになると必ずこの手の人がいる。

ふ~む。

そうして出口には、グッズが並ぶお約束。

展示する事へ、鑑賞する人へのサービスが
もう少し厚くても良いのではないだろうか?

他の会場には入らず、ともかく最初の国立新美術館訪問を遂げたのだった。

また、緑の頃、睡蓮と光のモネ展に出かけることになっている。
少しづつ改善されてくることを願って、
多くの人から支援される美術館となってくれることを希望します。

サントリーは、今やときめきの隅研吾氏だ。
どんな建物になったのか、楽しみだ。

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4 コメント

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新しい美術館 (とら)
2007-03-30 22:28:34
国立新美術館はボジョレー・ヌーボーのようにまだまだ生硬ですね。ウンウンとうなずきながら記事を読ませていただきました。
本日開店のサントリー美術館は、赤坂見附の経験があるからもう少しましでしょうが・・・。
返信する
とら さま (あべまつ)
2007-03-31 15:58:59
コメント、TBありがとうございます。
ご帰国なさってから間もないのに、パワーある鑑賞が始まっていて、驚きです。
ぶら下がっているごちそうに、お腹壊さない程度に、
マイペース守りつつって、結構難しいんですよね。
返信する
ポンピドー展 (一村雨)
2007-04-01 05:27:46
この美術館、名実とも入れ物だけって感じですね。
それにしては、お金使い過ぎ~って思います。

ジャコメッティのテーブル。あれは、衝撃的でした。
針金のような人物像を作っていた人だという先入観が
あったので、こんなシュールな作品を作っていたなんて。

返信する
一村雨 さま (あべまつ)
2007-04-02 21:39:12
コメント、TBありがとうございます。
ここのところ、美術館の建物からも、花鳥風月を感じたいって願うようになりました。(歳のせいだ。これは!)
ひょろ長いジャコメッティ、それもシュールですよね。あのテーブルはブロンズより、楽しんでいるように思いました。
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