あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

春休みの読書 ・「サムライ・ダ・ヴィンチ 司馬江漢」

2007-03-28 22:16:14 | 
上野のダ・ヴィンチの天才展は、さぞものすごいことだろう。

とは思うけれど、

その時期、このような本と出会うのもまた、ご縁ってものを感じる。

サムライ・ダ・ヴィンチ 司馬江漢  對中如雲(たいなかじょうん)著                      ゴマブックス株式会社

著者は、ダ・ヴィンチのように江漢もただの絵描きじゃなかったという。
もちろん、絵師としても才能溢れていることは知られている。
でも、発明家であり、科学者であり、西洋画法を駆使し、絵の具まで創り出した。浮世絵、漢画、日本画、銅板画を描き、本名は安藤吉次郎。
広重と縁が深く、広重の50才年上。東海道53次を二人とも描いていた。

そんなこと知っていましたか???

他様々なエピソードが書き込まれ、
楽しい本となっていた。
これは、もう少し司馬江漢を探らなければ、面白くない。

府中美術館だったかが持っている、亜欧堂田善の弟子入りを断ったり、
北斎と碁を打ったり、寛政の改革の時代に地球儀を作ったり、
平賀源内についたり、浮世絵師の鈴木春信について学び、
師の亡き後、春信の名で、作品を残した・・・・

ちょっと、ちょっと~~

そもそもこの人何者??

年譜によると、
江戸に生まれ、15才で江戸狩野派に入門。
漢画を学び、浮世絵は鈴木春信について学ぶ。
27才で平賀源内につき、洋風画を習得。
37才、日本で初めて銅板画制作に成功。
覗眼鏡器具を作る。
50才、地球全図、天球図を示す。
65才、間宮林蔵と会う。
67才、全国の知人に死亡通知を送る。
72才、死亡。

簡略にするとこうなのだが、
可笑しい人生。
ただ者じゃない空気が溢れている。
町人じゃなくて、サムライだったといっている。

洋の天才と、和の天才。
ダ・ヴィンチの対決を楽しむ、格好の時が来たのかも知れない。

このように情熱を傾けている人がいたのだ。
新たな発見に興奮する。

對中如雲 
昭和18年生まれ、祖父は明治の高名な美術収集家、
父は2代如雲、書道家。平成6年に3代如雲を号する。
各地の美術館館長などを歴任し、コントラバス奏者のCDも多数。

相当面白いです。
真面目な研究者ではない、自由な立場から司馬江漢と広重の研究に情熱を注いでいる方のようです。今後、注目していきたい人です。
司馬江漢。
要チェック。

太田記念にまた、行ってみましょう。
あそこには司馬江漢のいい物が確かあるはずです。

驚きの楽しい本との出会いでした。

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2 コメント

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司馬江漢 (supika)
2007-03-29 10:43:06
面白そうなご本ですこと。私はだいぶ前から江戸時代に凝っていて、平賀源内展(2003年)あたりからいろいろ読んでます。源内と司馬江漢はよく似てますね。司馬江漢の「東海道五十三次画帖」を持っていますが、對中如雲が監修したもので、そのとき江戸のレオナルド・ダ・ヴィンチにたとえる声があるといわれてましたのでそれを推し進めた本でしょうね。この司馬江漢の五十三次を見つけたときはショックでした、なにしろ広重の「五十三次」に元絵があったというのですから。源内展のときに江漢の絵もたくさん展示されてました。春重名の錦絵も。今、府中市美術館で開かれている「動物絵画の100年」展でも江漢の絵が出ています。江漢の「湖辺游禽図」
のトキは珍しいし、他に「犬に木蓮図」「鉄砲洲富士遠望図」「オランダ馬図」が出ています。
「受胎告知」の絵はもう2回見てきました、今のほうが空いてると思ったからです。4/1にNHKで放映されるので、遅くなるほうが混みそうです。HPに少しですが書きました。
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supika さま (あべまつ)
2007-03-29 23:07:02
おぉ~supikaさま、私のずっと先の先に江戸の虜になったいらしたのですね。尊敬です。
司馬江漢の絵が府中にあるのですね。グッド情報ありがとうございます。
エレキテルの頃、蘭学者の頃、なんか怪しい力が溢れていますね。司馬江漢の53次、ぜひ見てみたいと思います。
江戸絵画史にもう少し脚光を浴びてもいいと思いました。
かの辻先生の美術史にも、案外あっさり取り上げられていましたから。
個人的に、キリスト教文化、芸術にちょっと距離感持ち始めています。だから、府中の方にずっと憧れます。
楽しいコメントありがとうございますです。
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