美術館の開館時間に入場っていうのは、なかなかできるものじゃないけれど、
今回は思いがけず、10時を回ったあたりに入ることができた。
病院って、時間が半端じゃない拘束時間があって、
その後の予定を組み込むことができない。
でも、今回は先生の予約時間に感謝。
お陰で、三井に来ることができた。
まずは旅を共にした小道具たち。
印籠のいい仕事振りが目白押し。
こんな印籠をぶら下げるだけで、不穏な輩の視線を集めやしなかっただろうか?
何しろ垂涎ものばかり。
根付の細工のすばらしさ。
兎やお多福、栗、に化けている。
印籠もまた、工芸の極みの蒔絵ばかり。
紐を通す玉もいい!
煙草入れもまたまたすばらしい。
金唐皮に蝙蝠型の紫水晶、
寿尽くしの煙草入れに
小さな彫金が埋め込まれている落ち着いた朱漆のキセルいれ。
うなります。
物を入れることにものすごいこだわりがあって、
それこそがものを愛する心に通じていくのだ。
次にあわられるのが、
これまたミニチュアの極み、茶籠。
こんな愛らしいお茶器を籠に入れて長々しい旅の癒しとしたことに
見ているだけでこちらも癒される。
茶筅筒や、茶巾筒、
小さな手のひらサイズのお茶碗、
それらをしまう箱の裏に、
「二荒や 月かけからむ 蔦かつら」
昨日は見事な十五夜お月様だった。
折りたたみ式の茶杓もいい出来だ。
そうだ、茶籠を携帯すればどこでもお茶を楽しめるのだ。
ホテルのティーバッグよりも美味しいお茶が疲れを癒してくれるはず。
ショップで、現代的茶籠が販売されていた。
ここまで現代的だと、ちとつまらない。
でも、発想は頂こう。
こちらには茶室「如庵」が再現されていて、
展覧会に合わせたしつらいがされていて、それもまた楽しみの一つ。
後鳥羽上皇の熊野懐紙、
「ふるさとに うえてうれしき をみなへし
さなくて人の とふよしもなし」
富士山の形の釜、茶杓の銘は「旅の友」
茶碗は絵刷毛目茶碗で、銘は「芦ノ湖」
こういう組み立てが旅心をくすぐるし、
客人たちと旅の話に花が咲くというものだ。
旅は昔から好奇心をかきたてるわくわくの夢心地。
しかし、厳しい旅もあった。
「熊野御幸記」 藤原定家筆
「病気不快 寒風枕を吹く」
10月の旅はもはや冬の始まりで、さぞ寒かったことだろう。
高野山にケーブルとバスを乗り継ぐ今では
考えも及ばない。
一度、熊野参りをしてみたいとは思うけれど。
現在開かれているサントリーのビオンボに続いて、
すばらしい屏風と出会う。
厳島・鞍馬図屏風、
洛外名所図屏風、
それぞれが名所めぐりの観光案内図のようになっていて、
いった人もこれからの人も、いけない人も
これを見て、心躍らせていたことだろう。
熊野那智参詣曼荼羅
伊勢参詣曼荼羅
これらは個々の参詣の手引きにもなっていて、
入り口から本殿までを事細かに手ほどきしてくれていた。
絵が拙いところがかえって親しみを感じる。
八橋図屏風 池田弧頓筆
琳派継承の図柄だけれど、とてもシンプルで、
好ましかった。
場面が変わり、色紙や絵巻など手元で楽しむもの。
旅といえば西行だ。
東博から西行絵物語が来ていた。
みんな西行にあこがれていたのだなぁ。
江戸の旅といえば、芭蕉だ。
芭蕉の足跡を旅したら、どんなことだろう。
若冲も乗興舟で参加。
前回大倉で全巻を見ることができた。
三井巻はほんのちょっとしか見えなくて残念。
名所絵といえば、広重。
神奈川の歴史博から藤沢、大磯が並んだ。
おにぎりをほうばる楽しげな人々の休憩模様。
ちょっと小さな展示室6には
北斎のありえない地図。
東西南北を完璧無視した、京都までの東海道絵図。
右上に京都、左に富士山。
右下に江戸。ありえな~~い。
しかし、53次がビシッとはまっているから凄い。
最後に世界地図。世界に旅は出て行く。
南蛮図屏風が丹精に描かれている。
北三井家三代高房氏が1739年長崎で買い求め、
越後屋呉服店へ参考として御供え置かれたもの、
なのだそうだ。(図録「三井家 伝世の名宝」より)
地球一覧図も、面白い。
赤道、北極南極があり、緯度には昼夜、春分、秋分の書き込みが見えた。
今回も三井の伝来品のすばらしさに触れることができた。
名家の持ち物は、下々には及ばない、正しい由緒書きもあり、
いかがわしさが寸分も無いことが名家たる所以。
良い物、たっぷり見せてもらった。
これらを持って、旅したら、アタシは気が気でなくなりそうだ。
失ったり、壊したり、そんなことを気にしながらの旅はごめんだ。
それでも旅は楽しい。
どんな身分の人でも旅は楽しい。
日常を離れることを誰もが願っていたことも。
さて、図録を見ていたら、
かの沈南蘋の「花鳥動物図」を三井がお持ちだということに
気が付いた。
いいものを持っているところには、いいものが集まるということか。
旅の後、あの安宅コレクションが上京してくる。
下向してくるといったほうがいいのかな。
東京の三井でどんな展示をしてくれるのか、
またまた楽しみなことだ。
チケットを送ってくださったokiさんに改めて、感謝
今回は思いがけず、10時を回ったあたりに入ることができた。
病院って、時間が半端じゃない拘束時間があって、
その後の予定を組み込むことができない。
でも、今回は先生の予約時間に感謝。
お陰で、三井に来ることができた。
まずは旅を共にした小道具たち。
印籠のいい仕事振りが目白押し。
こんな印籠をぶら下げるだけで、不穏な輩の視線を集めやしなかっただろうか?
何しろ垂涎ものばかり。
根付の細工のすばらしさ。
兎やお多福、栗、に化けている。
印籠もまた、工芸の極みの蒔絵ばかり。
紐を通す玉もいい!
煙草入れもまたまたすばらしい。
金唐皮に蝙蝠型の紫水晶、
寿尽くしの煙草入れに
小さな彫金が埋め込まれている落ち着いた朱漆のキセルいれ。
うなります。
物を入れることにものすごいこだわりがあって、
それこそがものを愛する心に通じていくのだ。
次にあわられるのが、
これまたミニチュアの極み、茶籠。
こんな愛らしいお茶器を籠に入れて長々しい旅の癒しとしたことに
見ているだけでこちらも癒される。
茶筅筒や、茶巾筒、
小さな手のひらサイズのお茶碗、
それらをしまう箱の裏に、
「二荒や 月かけからむ 蔦かつら」
昨日は見事な十五夜お月様だった。
折りたたみ式の茶杓もいい出来だ。
そうだ、茶籠を携帯すればどこでもお茶を楽しめるのだ。
ホテルのティーバッグよりも美味しいお茶が疲れを癒してくれるはず。
ショップで、現代的茶籠が販売されていた。
ここまで現代的だと、ちとつまらない。
でも、発想は頂こう。
こちらには茶室「如庵」が再現されていて、
展覧会に合わせたしつらいがされていて、それもまた楽しみの一つ。
後鳥羽上皇の熊野懐紙、
「ふるさとに うえてうれしき をみなへし
さなくて人の とふよしもなし」
富士山の形の釜、茶杓の銘は「旅の友」
茶碗は絵刷毛目茶碗で、銘は「芦ノ湖」
こういう組み立てが旅心をくすぐるし、
客人たちと旅の話に花が咲くというものだ。
旅は昔から好奇心をかきたてるわくわくの夢心地。
しかし、厳しい旅もあった。
「熊野御幸記」 藤原定家筆
「病気不快 寒風枕を吹く」
10月の旅はもはや冬の始まりで、さぞ寒かったことだろう。
高野山にケーブルとバスを乗り継ぐ今では
考えも及ばない。
一度、熊野参りをしてみたいとは思うけれど。
現在開かれているサントリーのビオンボに続いて、
すばらしい屏風と出会う。
厳島・鞍馬図屏風、
洛外名所図屏風、
それぞれが名所めぐりの観光案内図のようになっていて、
いった人もこれからの人も、いけない人も
これを見て、心躍らせていたことだろう。
熊野那智参詣曼荼羅
伊勢参詣曼荼羅
これらは個々の参詣の手引きにもなっていて、
入り口から本殿までを事細かに手ほどきしてくれていた。
絵が拙いところがかえって親しみを感じる。
八橋図屏風 池田弧頓筆
琳派継承の図柄だけれど、とてもシンプルで、
好ましかった。
場面が変わり、色紙や絵巻など手元で楽しむもの。
旅といえば西行だ。
東博から西行絵物語が来ていた。
みんな西行にあこがれていたのだなぁ。
江戸の旅といえば、芭蕉だ。
芭蕉の足跡を旅したら、どんなことだろう。
若冲も乗興舟で参加。
前回大倉で全巻を見ることができた。
三井巻はほんのちょっとしか見えなくて残念。
名所絵といえば、広重。
神奈川の歴史博から藤沢、大磯が並んだ。
おにぎりをほうばる楽しげな人々の休憩模様。
ちょっと小さな展示室6には
北斎のありえない地図。
東西南北を完璧無視した、京都までの東海道絵図。
右上に京都、左に富士山。
右下に江戸。ありえな~~い。
しかし、53次がビシッとはまっているから凄い。
最後に世界地図。世界に旅は出て行く。
南蛮図屏風が丹精に描かれている。
北三井家三代高房氏が1739年長崎で買い求め、
越後屋呉服店へ参考として御供え置かれたもの、
なのだそうだ。(図録「三井家 伝世の名宝」より)
地球一覧図も、面白い。
赤道、北極南極があり、緯度には昼夜、春分、秋分の書き込みが見えた。
今回も三井の伝来品のすばらしさに触れることができた。
名家の持ち物は、下々には及ばない、正しい由緒書きもあり、
いかがわしさが寸分も無いことが名家たる所以。
良い物、たっぷり見せてもらった。
これらを持って、旅したら、アタシは気が気でなくなりそうだ。
失ったり、壊したり、そんなことを気にしながらの旅はごめんだ。
それでも旅は楽しい。
どんな身分の人でも旅は楽しい。
日常を離れることを誰もが願っていたことも。
さて、図録を見ていたら、
かの沈南蘋の「花鳥動物図」を三井がお持ちだということに
気が付いた。
いいものを持っているところには、いいものが集まるということか。
旅の後、あの安宅コレクションが上京してくる。
下向してくるといったほうがいいのかな。
東京の三井でどんな展示をしてくれるのか、
またまた楽しみなことだ。
チケットを送ってくださったokiさんに改めて、感謝
あべまつ様の感想を拝見し、思い出したのはやはり旅に持参していたという茶道具一式。
あんなお弁当箱みたいな可愛い茶道具欲しいなという物欲がらみで一番印象に残っているようです。
次回の安宅コレクションとの再会も楽しみですね。
ps:TBさせていただきました。
奈良からいい空気頂いてきたようで、何よりです。
旅は、道連れで、共にするものが大切なのだと
思いました。
茶籠はちょっと前に泉屋博古館でもいいものが並びました。このこだわりようが泣かせるのですよね。
そう!安宅コレクション。今から楽しみです!
TBコメント感謝です。