あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

1月の鑑賞記録

2012-02-05 22:12:06 | アート鑑賞記録
 *東京国立博物館 北京故宮博物院200選展
  かの神品に長蛇の行列体験をしたが、
  どの方よりも短時間で拝見できたようだ。
  待ち時間はおよそ45分だった。
  清明上河図以外のお宝にも目を見張るもの多く。
  長江万里図巻、南巡図巻などの図巻の凄さは圧巻であった。
  本館に行く体力と時間がなくて残念。
  かつて日本が憧れ学んだ中国美術の正倉院展バージョン。
  あともう一回チャンスがあれば参戦してきたい。

 *出光美術館 三代常山展
  ブログ記事にしたが、
  もう、最高に愛らしく、手のひらの中の至福感に溢れる急須達。
  また、壺などの大作、花生け、お皿などにも
  魅力的な土の香り。
  新しい目を持つ出光コレクションにワクワク。
  嬉しい出会いができたと歓喜した展覧だった。

 *日本橋高島屋 隠元禅師と黄檗文化の魅力展
  中国のお茶を日本に紹介した隠元禅師。
  出光の常山展鑑賞後に見てきて正解。
  若冲の絵も何作か。
  黄檗宗は父方の祖父の宗派。
  中国趣味の賑やかさが元気のもと。
  京都、宇治の異国情緒溢れるエキゾチックな
  羅漢様達とお目にかかってきた。
  普茶料理が食べたくなります。

 *山種美術館 山崎館長によるギャラリートーク
  @taktwiさんのご尽力により楽しい企画に参加。
  山種コレクションの成り立ちやら、
  作家さんとの身近な交流、館長の体験話など
  血の通うお話はとても面白かった。
  山種の御舟コレクションはつとに有名。
  御舟のための展示室であの「炎舞」がなまめかしく
  揺らいでいた。 
  その日集合してきた愛好家皆さんとの交流や、
  館長直々にお話くださったことも素敵な思い出となった。
  山種美術館がとても親しく思えた嬉しい時間。  

 *近代美術館 ぬぐ絵画 常設
  日本絵画におけるヌード、裸との対決。
  西洋は肉体を、日本は精神を描いてきたと思うが、
  その壁を取り払うチャレンジ精神と時代の熱狂。
  情欲を描いたのか、その肉体美を描いたのかと
  ギリギリするのは鑑賞者なのかもしれない。
  常設とのコラボも素晴らしい試み。
  思いがけず、谷中安規の作品や、五葉の版画などとも会えた。
  近美の力溢れる企画に拍手喝采の展覧だった。

 *アート・ポイント あお・ひーさん出展
  コンスタントに作品を制作し続けてきたあお・ひーさん。
  もやっとした、焦点をもたない画像からは
  キリッとした美学が見えてくる。
  見事人気投票一位を獲得も納得。
  彼は水際がお得意。
  他のメンバーよりぐっと大人の作品だと感じた。
  おめでとうございます!!

 *資生堂ギャラリー 第6回資生堂アートエッグ three展
  銀座に来たらふらり寄れるところがありがたい。
  福島生まれの3人ユニットのthreeによる展覧。
  [Tokyo Crowd」
  あのお弁当の脇役、醤油差しの小さなお魚たちが
  6万5千匹による大群で壁一面の波打つ画面を構成。
  そこに映り込む無言のうごめく群衆は
  ともかく働かなくてはならない、
  生きていかなければならない、無常を感じさせる。
  意表を突かれ、コケティッシュに見える中でも
  生きるエナジーもふつふつ。
  他にキャンデーを一つずつ入れた袋が垂れ下がり
  マッスとなってお菓子の家ができていた。
  「Eat Me」
  食べてこなかったけれど、実は深い思いがあると後からじんわりした。 

 *千葉市立美術館 瀧口修道とマルセル・デュシャン
  千葉美の企画は連続大ヒットであるが、
  その支えとなっているのは学芸さん達ではなかろうか。
  その展示室の解説の丁寧なことに
  毎回驚愕するのだが、
  今回は図録本を読むような作り込みだった。
  偶然にも上階のレストランで館長ご一行様を
  遠くに拝見したが、
  その信頼関係もきっと強固なものだと推察した。
  デュシャンとの交流に光を感じてきた
  瀧口修造の細やかな目線が散らばり、
  彼の活動の大いなる支えとなったことがわかる。
  日本のアバンギャルドな作家たちの活動にも
  多大な影響力があったことだろう。
  1950年代の熱いうねりを垣間見ることができた。

 *太田記念美術館 鴻池コレクション 扇の美展
  太田記念美術館が扇に埋め尽くされた珍しい展覧。
  畳の展示ケースだけに軸が並んだ。
  琳派の著名どころが雅に並んだところは圧巻。
  酒井抱一、其一、守一、俵屋宗理などなど。
  扇屋は琳派、宗達の仕事だったのだとしみじみ。
  浮世絵氏達も頑張った。
  国貞、北斎、春信などなど。
  江戸の絵師達の登場にニヤニヤ。
  芦雪は扇に描いても芦雪であった。
  「熨斗に海老」
  猿の森狙仙や司馬江漢、なんと河鍋暁斎も!
  「山姥と金太郎」賑々しい暑苦しいおどろおどろした
  扇面はさぞ楽しまれたことだろう。
  狩野派からも出品。 
  大和絵の冷泉為恭。
  年の初めらしい、おめでたい企画展だった。

 *根津美術館 百椿図展
  根津美術館が椿一色なるという、なんとも
  華やいだお正月らしい展覧。
  江戸時代初めに空前の椿演芸ブームがあったそうで、
  その中で生まれた24メートルもある
  「百椿図」が公開された。
  描いたのは狩野山楽。京狩野の祖といわれた絵師。
  色鮮やかに様々なアレンジを歌一首と百種以上のものを
  描ききった。
  花を学ぶ者としてもとても興味深く、
  愛らしい姿の図録も手元に置きたくて求めた。
  その来歴にもなるほどというエピソードがあり、
  資生堂と華道家安達瞳子さんを思い出したように
  それらしいお話があり、興味深かった。
  何か縁ある人によって守られてきた、
  その姿にも感じ入った。
  ほか、天部の絵画、初釜を祝う、の企画展も
  年初らしいものだった。

 *ワタリウム美術館 北斗七星の庭 重森三玲展
  岡山出身の重森三玲が生け花、茶道に親しんだ後、
  作庭に取り組んだ。 
  有名なのは京都の東福寺の庭。
  現代的なのにホッとする、雰囲気を醸し出す。
  あの青山のワタリウム美術館にその仕事ぶりを
  紹介するスペースがとても馴染んだことにも驚いた。
  イサムノグチとの交流も所々の写真で紹介。
  お茶会のチャンスが転がり込んで、
  ありがたく虎屋のお菓子とお薄を頂戴してきた。
  ビデオがあったので、会期中にもう一度
  その映像を見に行けたらと思っている。
  その日は太田から根津、そしてワタリウムと
  鑑賞したわけだが、
  趣向に同じ香りが流れていてとてもいいチョイスだったと
  同行してくれた@seinaサンとも大いに
  喜んだ一日となった。

その日を最後に実家の母の眼科手術入院など家のことが
バタバタであっという間に1月が通り過ぎたということでした。

2月はもう少し動けるといいのですが、
花展に参加することとなったので、
どの程度余裕が生まれますことか。

気の向くまま、風の吹くまま、目の求めるままに
アートの女神との出会いに夢を見たいと思っています。

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