あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

涼を愉しむ ・畠山記念館

2010-09-18 22:46:31 | 日本美術
お抹茶の一腹をいつかは一度頂きたいと思いつつ、
未だ果たせずじまい。いずれ、きっと。

ツクツクボウシが時々鳴いているが、アブラゼミとミンミンは既に静かだった。

今回の畠山記念館は「涼を愉しむ」
楽しい、ではなく、愉しむというのがゆったりしていい感じ。

2階の展示室はいつも水がちょろちょろ流れる音がしていて、
すでにそれで涼が醸し出されている。

夏のお道具らしく、籠が目立つ。

野々村仁清の「水玉透鉢」
きなこ色の鉢にドット、水玉柄がたくさん開けられていて、
コケテッシュ。草間弥生さんにお見せしたい。
仁清は作りが真面目だ。
他に白釉向付がお懐石道具の中にあったが、薄造りで
端正な浅いすっとした山形の無口な鉢。
それと今回とても気に入ったのが、
同じく仁清の作で、
「錠花入」
蔵の戸口にぶらさがっているような重厚な鍵を開けるような
錠前を陶器で型取り、縦にして花入とした。
わずかに花の形を型どっているだけのシンプルなものだが、
意表を付かれた。
造花ではあったが、青い朝顔が咲いていた。

他、春慶塗のお膳、黒塗蛇の目飯器、湯桶、など
漆器のどっしりシャープなものが並んでいた。

楽茶碗の一入は赤黒い釉が得意だ。
銘 馬たらい がどす黒く光る。
この異質な黒がいい具合でお気に入りだ。

茶杓に江月宗玩の作、銘我慢があり、
備前の茶入は 銘 午枕
丁度茶入の胴の部分に枕のような景色があって、
可笑しみがあった。

眠たいが、我慢せよというところか。

早朝の茶会は朝6時から始まり、
日の高くならないうちに終えたそうなので、
そんな道具仕立てになったのだろう。

水辺のもの、滝の書画、籠、朝顔、月とすすき、
そんな題材が並んだ。

畳のショーケースには
抱一の「賎が星の夕顔図」
乾山の「秋萩図」
が肩を並べていて、嬉しかった。

茶室には簾がかけられ、
中の床の間には桃色の槿が籠に生けられていた。

ふっと涼を感じることができた、癒しの空間だった。

会期は明日まで。
酷暑が長かったことを実感もした。
秋風が一陣庭園の木々を揺らしていた。

次回は「織部が愛した茶碗」
これまた気になる企画をしてくれるではないか。
10月9日から。
そのあとには、年明けから酒井抱一。生誕250年記念。

地味ではあるけれど、やはりコンスタントに通いたくなる。
ほっと静かなときを味わいたいものだ。

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