あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

2月の東京国立博物館 (2月12日)

2014-03-05 16:35:33 | 美術展
 先月のこととなりますが、
 東博、クリーブランド展、人間国宝展に行ってきました。 

 今年初めての東京国立博物館に行ったのが、二月に入ってから。
 去年8月、ネットで三館共通券をなんと破格の千円という値段の
 新しい時代のチケット販売を体験しました。
 その三館共通チケットを印刷したチケットを大事にバッグに入れて
 やっとやっと行ってきました。
 半年あまりの待ち時間となりましたが、
 会期もせまってドキドキしましたが、ようやく入館してきました。

 先ずは本館から見て回ってから平成館に入ることとしました。
 本館の凄さは企画展を凌駕しているところです。
 企画展に合わせた展示も彼方此方その配慮にキュンとさせられます。
 私の目に止まったものだけチョイスしてみます。

 本館二階は縄文弥生からスタートします。
 縄文土器、土偶がなんといってもその沸き上がる熱に毎回パワーをもらいます。
 今回は土偶のスター、遮光器土偶がお目見えでした。
 エスキモーの使う雪眼鏡の形をしている、と言うことで
 遮光器と名付けられたとか。
 さっそく画像を取り込んでiPhoneの待ち受けにしました。



 土面、その素朴さにひれ伏します。だれかクッキーにして下さい。


 人形焼きでも良いです。
 そして、注口土器のかっこよさ。
 縄文が良い具合に配されて、とてもモダンです。
 急須、ポットに写しで良いです、だれか、模作して下さい。



 仏教の興隆展示に、珍しい仏様がいらしてました。
 如来立像 法隆寺献納宝物だそうで、解説によれば、
 法隆寺献納宝物の中で唯一の木彫像で飛鳥時代と同様クスノキを使用し
 頭から台座まで1本のクスノキで作られ、
 後ろにある木製の光背やそれを取り付けるための鉄の支柱は
 当初のもで、7世紀後半のものとのこと。
 とても滋味溢れるお顔立ちで、
 ふとルオーの描くキリストさまを思い出したのでした。






 国宝室は 雪舟の秋冬山水図。
 でました、という感じがします。
 つくづく不思議な空気感がみなぎっているのですが、
 思いの外小さくて驚くのです。

 仏教の美術展示では
 伝 源頼朝坐像。
 つい中井貴一さんを思い出してしまう、大河ウオッチャーですが
 彼よりももしかしたら違う役者さんで
 こんな人いたんだけれど、と思いをめぐらします。


 
 宮廷の美術展示には
 肖像画がずらり。
 後白河法皇や、宮廷にあがったセレブ殿方の麗しいお姿。



 また、驚いたことに鎌倉イケメンズ三人衆が現れました。
 平重盛、源頼朝、伝、桜町成範。
 これは江戸に入ってから冷泉為恭の模本とのこと。
 ついつい山愚痴晃氏の頼朝の自画像を思い出してふっとしてしまったのでした。
 教科書にも出てくる頼朝肖像画はじつに麗しい美男子だと
 惚れ惚れするのです。
 本作があったらこその模作。麗しかったです。



 武具のコーナーは通り抜けがちなのですが、
 今回はたおやかな書があり、よく見れば細川ガラシャ筆。
 入信まもないときの夫、忠興への手紙とか。
 自分の名をがらしゃと書く事の火照りが伝わるようです。



 入館情報をあまり持たない方がドキッとすることになるので、
 そのドキッとを大切にしようと思っていますが
 今回はまさにどっきりが沢山ありました。
 
 突然南蛮文化のそれも思いがけない大きな肖像画が目の前に現れて
 日本絵画において肖像画がこんなに大きなものは
 曼荼羅、仏様ならいざ知らず、生の肖像ですからビックリです。
 その人は
 支倉常長(はせくらつねなが)
 何故、ここに西洋画の肖像画があるのか??
 特別展「支倉常長像と南蛮美術 400年前の日欧交流」
 この企画をいつもなら屏風に囲まれているところでの展示です。
 本館の入場料で見る事が出来ます。
 23日までの企画展。パンフレットも充実です。
 伊達男がスペインでフェリペ三世に、ローマ法王謁見してきたというのです。
 どれだけ正装に気を遣ったか、お金をかけたか、
 肖像画の豪華さに呆れてしまいます。
 展示室はそこだけなのですが、この肖像画の存在感は圧倒的でした。
 400年前の伊達男、一見の価値ありです。
 今も、イタリアの個人が所蔵されているということにも
 驚嘆します。



 江戸期の書画の展開で、
 蔦の細道図屏風、深江芦舟と出合います。
 久しぶりの対面です。
 どこかでの琳派展で見たのでしょうけれど、
 宗達の色使いが伝播されていると感じます。
 この屏風が後で見たクリーブランド展に繋がるとは
 その時は思いもかけなかったのでした。



 他にゆるすぎる富嶽図は仙厓義梵。


 
 酔李白図は池大雅。




 江戸博での大々的浮世展に元気をもらいましたが、
 こちらでも名だたる浮世絵師が並びました。
 歌麿の粘着質は他の追随を許しません。
 江戸博の企画展示に広重の江戸百景が並びましたが、
 こちらにも、有名すぎる亀戸梅屋鋪。
 春信のファンタジックなやわらかな冬景色。
 今年はよく雪が降り、雪だるまを作った家もあったのではないでしょうか。
 ここには本当の雪だるま、みつけました。







 そして、企画展示がもう一つ。
 弥生時代の近畿 華麗なる土器と青銅器の展開
 素朴な土味と、端正なフォルムに現代でもまったく問題なく、
 むしろ、この無邪気な純粋が憧れでもあります。
 蛸壺の可愛らしいこと。




 線刻絵付長頸壺には龍のような動物らしき絵が見えます。
 大阪界隈ならではの発掘があったようです。

 平成館でのクリーブランド展、人間国宝展、まで記事Upは
 長々しくなるので一旦ここでしめます。
 


 東博ではいよいよ京都建仁寺から栄西がやってきます。
 去年、京都博物館までいって山楽山雪を見た日に建仁寺まで行ったことが
 懐かしく思い出されます。
 宗達の風神雷神図を見るのはもしかしたら出光での展覧会以来になるのかも知れません。
 楽しみです。

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