今、サントリー美術館で開催中の
「天上の舞 飛天の美」展に関連した
サントリー美術館のメンバーズに開かれた内覧会とスライドレクチャーに
参加してきました。
何年か前に息子と関西を回った時に
平等院を訪ねたこと、懐かしく思い出しながら、
いつの間にか近代的な展示館が建設されていて、
素晴らしい環境のなかで飛天たちが乱舞する姿に見惚れたことを
思い出しました。
この近代的な建物の中に、飛天が展示されていました。
息子はお寺そのものよりもそこまでの鉄道と電車に興味があったのですが。
こちらのスライドレクチャーは毎回好評で参加者も熱心なので
早めに席を確保を目指しますが、
この日も開場して10分後ぐらいなのに、ほとんどの席が埋まっていました。
ばらばらとなるとは思いますが、
レクチャーのメモを残します。(11月26日)
今回企画担当された佐々木康之さんは
2011年にサントリー美術館勤務され、専門は仏教彫刻とのことで
慶應美術史の卒論が平等院彫刻だったそうです。
この展覧会が専門企画としてめでたくデビューとのこと。
清々しい若手イケメンさんでこちらも楽しく拝聴できました。
簡単な自己紹介の後、まず飛天、雲中供養菩薩は
近代画家、下村観山、村上華岳などの作品も有名。
飛天とはどういう立場なのかというと、
天女から羽衣などに現れて仏を讃歎供養する役目を持つ。
仏殿にはいつも飛天が存在して、中国の壁画や阿修羅の周りの天部という位置。
六道煩悩世界では地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天の天人の部類。
仏の世界では、天部、明王、菩薩、如来のなかの天部にあたる。
本展の概要は
1,日本からガンダーラ、中国、朝鮮
2,浄土表現
3,来迎仏、菩薩
4、平等院のイメージ
という柱で展示して、特に3階吹き抜けの展示は
六本木の空間に飛天が降りてくる体感をしてもらえるようになっている。
また、飛天だけのための展示は初となる。
と、概略をお話の後、章立てた順に解説を拝聴。
第一章 飛天の源流と伝播 インドから日本
・男女対の飛天
「マーラの誘惑」マーラという悪魔が仏を誘惑する。
胸に布を纏って花を散華する。
(これらの浮彫は東京国立博物館東洋館で確認することが出来ます)
天使のような翼を持った飛天が見られる。
・中国、朝鮮では鏡に飛天を確認できる。
中国の神仙思想に近いもので、全身に天衣をなびかせている。
6世紀の北斉では木と天衣が合体した飛天光背に進化していく。
日本では、法隆寺、天蓋上部に飛天が見られる。
蓮華に乗って、光背が天衣としてデザイン化されている。
衣が上になびく線となって天衣光背と変化している。
短躯で児童的な顔が特長。
18枚の飛天図があるが、青年のような表情。
7~8世紀の中国の敦煌莫高窟321に似た姿である。
第二章 天上の光景 浄土図から荘厳図
・当麻曼荼羅の飛天を見る。
曼荼羅図上部に飛天が現れている。
太鼓や琵琶などの楽器を持って飛んでいる。
・菩薩坐像は当麻曼荼羅を立体化したもの。
・経典の見返しに飛天が描かれる。
それを立体化したものとして、大阪の四天王寺の阿弥陀様の脇侍。
足を上げて、動きのある姿。
迦陵頻伽(かりょうびんが、顔は人、体は鳥の姿をしている)
飛天と共に迦陵頻伽が現れるようになっている。
・中尊寺金堂は極楽浄土をあたわしたもの。
屋根にはめられた羽根板にも飛天と迦陵頻伽が表されている。
・光背は浄土を表す意匠と変化していった。
光背にも飛天が現れて讃歎している。
第三章 飛天の展開 来迎聖衆
・阿弥陀様が臨終の時に迎えにきてくれるという来迎。
飛天の展開として表装の周りの描表装で楽器が描かれている。
・来迎図の立体化もみられるようになる。
・平等院1053年、藤原頼道の造営とされる。
極楽浄土としてのお寺の造営として力を注いだ。
・今回の平等院修理は半世紀ぶりとなる。
・仏師、定朝の現存唯一の平等院本尊。
定朝は仏の本様として手本とされた。
・仏後壁画、光背、柱絵、壁扉、などに雲中飛天が見られる。
・源師時の長秋記に、定朝を基本としたという記載がある。
・飛天達の姿は同じ姿勢のものがない。
1m長の雲に乗る飛天は丸彫りに近い。
・工房の仏師達の作が飛天の顔の表情となっている。
・雲は左向きに流れるのが基本だが、
今回の展示は右向きになってより形を感じられるようになっている。
以上が佐々木氏のレクチャーメモとなります。
この解説をもとにゆっくり鑑賞してきました。
飛天の歴史の流れに沿って、仏様の周りでふわり飛んでいる
飛天たちの優雅な姿はともかくも守護し、荘厳するべき仏様の周りで
音楽を奏で、歌を歌い、踊り、散華するのです。
特筆すべきは4階から下りたところの吹き抜けの展示。
また、平等院の飛天たちの特別な光と影が浮かぶ
第三展示室でした。
今回の展示は総数約80点が展示替えもあまりなく、
会期末の来年1月13日まで落ち着いた雰囲気の中で
年末年始を迎える人々にも
きっと豊かな散華を頂けるのではないでしょうか。
そういえば、山口晃画伯の襖絵が奉納されたのも
今年の平等院ニュースでしたね。
サントリー美術館の本展のサイトはこちら。
美術展、というよりも平等院別館のような、そんな浄土の気配に
満ちています。一年の納めと、年始のお祝いにぜひお参り気分で
また立ち寄りたいと思いました。
グッズも愛らしいものばかりで要注意です!
今年最後の内覧会とスライドレクチャーでした。
又来年も楽しみにします。
今年も沢山サントリー美術館で美の神様に会えましたこと、
幸せに感じています。
感謝です!
「天上の舞 飛天の美」展に関連した
サントリー美術館のメンバーズに開かれた内覧会とスライドレクチャーに
参加してきました。
何年か前に息子と関西を回った時に
平等院を訪ねたこと、懐かしく思い出しながら、
いつの間にか近代的な展示館が建設されていて、
素晴らしい環境のなかで飛天たちが乱舞する姿に見惚れたことを
思い出しました。
この近代的な建物の中に、飛天が展示されていました。
息子はお寺そのものよりもそこまでの鉄道と電車に興味があったのですが。
こちらのスライドレクチャーは毎回好評で参加者も熱心なので
早めに席を確保を目指しますが、
この日も開場して10分後ぐらいなのに、ほとんどの席が埋まっていました。
ばらばらとなるとは思いますが、
レクチャーのメモを残します。(11月26日)
今回企画担当された佐々木康之さんは
2011年にサントリー美術館勤務され、専門は仏教彫刻とのことで
慶應美術史の卒論が平等院彫刻だったそうです。
この展覧会が専門企画としてめでたくデビューとのこと。
清々しい若手イケメンさんでこちらも楽しく拝聴できました。
簡単な自己紹介の後、まず飛天、雲中供養菩薩は
近代画家、下村観山、村上華岳などの作品も有名。
飛天とはどういう立場なのかというと、
天女から羽衣などに現れて仏を讃歎供養する役目を持つ。
仏殿にはいつも飛天が存在して、中国の壁画や阿修羅の周りの天部という位置。
六道煩悩世界では地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天の天人の部類。
仏の世界では、天部、明王、菩薩、如来のなかの天部にあたる。
本展の概要は
1,日本からガンダーラ、中国、朝鮮
2,浄土表現
3,来迎仏、菩薩
4、平等院のイメージ
という柱で展示して、特に3階吹き抜けの展示は
六本木の空間に飛天が降りてくる体感をしてもらえるようになっている。
また、飛天だけのための展示は初となる。
と、概略をお話の後、章立てた順に解説を拝聴。
第一章 飛天の源流と伝播 インドから日本
・男女対の飛天
「マーラの誘惑」マーラという悪魔が仏を誘惑する。
胸に布を纏って花を散華する。
(これらの浮彫は東京国立博物館東洋館で確認することが出来ます)
天使のような翼を持った飛天が見られる。
・中国、朝鮮では鏡に飛天を確認できる。
中国の神仙思想に近いもので、全身に天衣をなびかせている。
6世紀の北斉では木と天衣が合体した飛天光背に進化していく。
日本では、法隆寺、天蓋上部に飛天が見られる。
蓮華に乗って、光背が天衣としてデザイン化されている。
衣が上になびく線となって天衣光背と変化している。
短躯で児童的な顔が特長。
18枚の飛天図があるが、青年のような表情。
7~8世紀の中国の敦煌莫高窟321に似た姿である。
第二章 天上の光景 浄土図から荘厳図
・当麻曼荼羅の飛天を見る。
曼荼羅図上部に飛天が現れている。
太鼓や琵琶などの楽器を持って飛んでいる。
・菩薩坐像は当麻曼荼羅を立体化したもの。
・経典の見返しに飛天が描かれる。
それを立体化したものとして、大阪の四天王寺の阿弥陀様の脇侍。
足を上げて、動きのある姿。
迦陵頻伽(かりょうびんが、顔は人、体は鳥の姿をしている)
飛天と共に迦陵頻伽が現れるようになっている。
・中尊寺金堂は極楽浄土をあたわしたもの。
屋根にはめられた羽根板にも飛天と迦陵頻伽が表されている。
・光背は浄土を表す意匠と変化していった。
光背にも飛天が現れて讃歎している。
第三章 飛天の展開 来迎聖衆
・阿弥陀様が臨終の時に迎えにきてくれるという来迎。
飛天の展開として表装の周りの描表装で楽器が描かれている。
・来迎図の立体化もみられるようになる。
・平等院1053年、藤原頼道の造営とされる。
極楽浄土としてのお寺の造営として力を注いだ。
・今回の平等院修理は半世紀ぶりとなる。
・仏師、定朝の現存唯一の平等院本尊。
定朝は仏の本様として手本とされた。
・仏後壁画、光背、柱絵、壁扉、などに雲中飛天が見られる。
・源師時の長秋記に、定朝を基本としたという記載がある。
・飛天達の姿は同じ姿勢のものがない。
1m長の雲に乗る飛天は丸彫りに近い。
・工房の仏師達の作が飛天の顔の表情となっている。
・雲は左向きに流れるのが基本だが、
今回の展示は右向きになってより形を感じられるようになっている。
以上が佐々木氏のレクチャーメモとなります。
この解説をもとにゆっくり鑑賞してきました。
飛天の歴史の流れに沿って、仏様の周りでふわり飛んでいる
飛天たちの優雅な姿はともかくも守護し、荘厳するべき仏様の周りで
音楽を奏で、歌を歌い、踊り、散華するのです。
特筆すべきは4階から下りたところの吹き抜けの展示。
また、平等院の飛天たちの特別な光と影が浮かぶ
第三展示室でした。
今回の展示は総数約80点が展示替えもあまりなく、
会期末の来年1月13日まで落ち着いた雰囲気の中で
年末年始を迎える人々にも
きっと豊かな散華を頂けるのではないでしょうか。
そういえば、山口晃画伯の襖絵が奉納されたのも
今年の平等院ニュースでしたね。
サントリー美術館の本展のサイトはこちら。
美術展、というよりも平等院別館のような、そんな浄土の気配に
満ちています。一年の納めと、年始のお祝いにぜひお参り気分で
また立ち寄りたいと思いました。
グッズも愛らしいものばかりで要注意です!
今年最後の内覧会とスライドレクチャーでした。
又来年も楽しみにします。
今年も沢山サントリー美術館で美の神様に会えましたこと、
幸せに感じています。
感謝です!
サントリーは、目の眼、の招待券で行きましたが、仏教関連の学芸員さんの企画デビューでしたか!
考えてみると、サントリーは、仏教関連の展覧会少なかったですね。これから、作品収集と共に仏教関連にも力を入れるんでしょうね。
サントリーは、まず、ハズレがないから、期待大ですね。
なんか、触って結縁したから、いい事起こるかなと。
今年もサントリー美は素敵な展覧ラッシュで楽しみました。同行者も楽しんでメンバーズの特典使いたおしてます。結縁でよい機運がめぐりますように。