あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

東京国立博物館 本館 11月展示から

2013-12-03 13:50:10 | 日本美術
 東京国立博物館の本館はまったくもって底なし沼。
 何年通っても
 初見の面白い興味深いわくわくと対面出来るので
 年間パスポートは本当に心底有り難く思います。

 展示時期が終わっているモノもあるかとは思いますが、
 気になったもの、メモして残します。

 いつも本館2階に上がってから鑑賞スタートします。
 火炎土器の荒ぶるめらめらに一礼し、
 仏教の興隆コーナーの仏様を一目して、
 だいたい次の国宝室に向かいます。
 
 でも、今回は足が止まりました。
 百万塔 陀羅尼 1巻が二種。
 百万塔 (木塔)





 印刷の元祖、といわれる経文を木塔に入れて、奈良の十寺に奉納したもの。
 法隆寺にあったものでしょうか。

 そうすると、仏教の美術コーナーに
 珍しいお経が展示されていました。

 なんと、泥、木片、貝、石、などのユニークな素材のものです。









 その近くにまた不思議な文字のお経文が軸装されています。
 藤原定信のもので、戸隠切と呼ばれるものだそうです。



 振り向くと異様な気配の屏風が現れました。
 「浜松図屏風」室町時代
 こんな屏風は初めて知りました。
 うっすらと海に繰り出した舟に人が浮かんで見えます。
 それにしても迫力のある浜松図でドキドキしました。どんな絵師によるものなのでしょうか。







 茶の美術には
 志野茶碗、銘 振袖 がスポットライトを浴びていました。
 丁度その頃、三井記念美術館で桃山の茶陶が展覧されていましたので、
 東博から出品された、姉妹の銘橋姫を楽しみました。
 振袖、橋姫、卯花墻は志野の三姉妹と思っています。
 ぐるっと見回すと多様な表現をしていることがわかります。





 同時に、熊川(こもがい)茶碗、銘田子月(たごのつき)も展示。
 口縁が外に反っている形が特長で、
 この形が口当たりも優しいのではないかと、やんわり素直な形が気に入っています。


 平成館で「京都」展開催に合わせて、
 洛中洛外図の関連作品が展示されていました。
 洛中洛外図屏風(模本)11幅 中村三之丞他筆
 室町時代のものを江戸時代に模本として残したものだそうです。
 現代の山口晃氏を彷彿とさせてくれました。
 隣には堂々と作者不詳ではありますが、鮮やかな屏風。




 書画の展開 
 こちらは江戸期の絵師達芸術家の仕事ぶりを堪能できます。
 今回は 
 岩佐又兵衛の「本性房怪力図」


 岩佐勝重(又兵衛の嫡子)「猿猴芦雁図」双幅でゆるっとした楽しげな水墨画。




 博物画のような「虫豸帖」(ちゅうちじょう)増山雪斎筆
 この作品にとても惹かれました。









 隣には応挙も写生を頑張っていますという「写生帖」




 写すことの大切さを感じ取れます。

 浮世絵コーナーには
 色鮮やかな絹本着色の巻物が展示されていました。
 伝菱川師宣。丁寧に人々、周りの景色が描かれています。






 
 今回は久しぶりに尾形光琳の描いた小袖が展示されました。
 深川の木材商の奥方様の為に作られたそうです。



 一階に降りて近代絵画をするっと鑑賞。
 月岡芳年、落合芳幾二人の
 「英名二十八衆句」粋の良い人々が濃厚に描かれています。













 後日このコーナーに変化があり、
 河鍋暁斎の巨大な「龍頭観音図」


 「四季花鳥」屏風 柴田是真の可憐な儚げなしっとりした筆に
 驚き、うっとり見惚れました。









 「維盛高野の巻」1巻 前田青邨筆の明るい絵巻に
 まるで日本の印象派ではないかと、点描とかも見る事が出来、
 新しい日本絵画に挑戦してきたことを思います。




 特筆すべきは企画特集の「描かれた風景」
 小冊子が販売されていて、とても丁寧な作りでした。
 丁度東洋館で上海博物館展が開催されていたので、
 瀟湘八景図などを見比べても興味深いこととなったでしょう。
 谷文晁、やっぱり今年の焦点な絵師です。
 改めて記事にしたいところです。
 これはツボでした。


 さてさて、平成館の「京都」展の素晴らしさは
 あの空間、天上、規模、そこによくぞ二条城を、竜安寺を持ってきてくれたと
 感嘆しました。

 洛中洛外図、どれだけ信長はじめ、武士の権力欲を刺激したことでしょう。
 従うべき絵師の真骨頂をまざまざと見せつけられたのでした。

 取り急ぎ、貯め撮りした画像をご紹介しつつ、
 1ヶ月ほどの東博を思い返しています。

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