あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

渋谷アート廻り

2008-04-22 23:14:55 | アート鑑賞記録
松濤は、小さいながらも良い企画展があるので、
割合と行くようになった。
今回は、
「中西 夏之 新作展」
松濤の展覧用のショーケースが取り払われ、
半円の会場をシリーズ物の絵が囲んである。
一連の作品なので、合わせて一つの作品にも見える。
白いぽわんぽわんとした点が
水面に浮かぶ泡の花のような、天空に飛んでいる雲のような、
実態ではなく、宇宙観のある白い点。
その中にあでやかな紫が着物の意匠の雪輪のように
色をつけている。
背、をつける作品タイトル。
絵画の鎖・光の森という展覧のサブタイトル。
飛沫のような、花のような、雪の結晶のような、
透明感溢れる作品群だった。

次回も凄い作家を引き連れてきた。
大正の鬼才「河野通勢 こうのみちせい」
これももの凄く楽しみ。

次にご近所の戸栗美術館に。
ここは、磁器の名品が並ぶ素敵な美術館だ。
骨董好きには垂涎ものばかり。
今回は「初期伊万里展」

まぁ本当に逸品ぞろい。
特に韓国李朝の残り香がある初期伊万里は
素敵な作品が勢揃いで、
しばし見惚れていた。
染付のコバルトも大好きな色だ。
絵柄もチャーミングなデザインから、
シャープな物、現代的な物、
山水画、動物物、などなど盛り沢山。
中でも、吸坂手(すいさかで)というマットな茶色に
ワンポイントデザインのやきものがあって、
それがなかなかグッドデザインなので驚いた。

こういうものつくりの職人業と、
その物を愛玩する豊かな生活のありようは、
心まで豊かになった気分にしてもらえる。
本当に幸せだ。
図録、欲しいところだけれど、また、来ようと思って、
止めにした。
実物のすばらしさがやっぱり素敵なのだ。

そして、okiさんから頂いた「ルノワール+ルノワール展」の
チケットを握りしめて、
Bunkamuraへ。
軽くランチをとる。
中野京子さんの「怖い絵」シリーズにはまっている。
今は、「怖い絵 2」
素敵な絵を描く人も、これを読んだら、えらいことに!
でも、とても面白い。
絵の裏にある物語が暴かれて、ぞくぞくだ。
甘美な絵には悪魔が顔を覗かせている・・・
洋画にはどこか怖い謎がありそうだと思っていたら、
やはり飛んでもないことが。・・・・
今までの典雅なイメージが壊れることもある、
怖い本です。

さて、ルノワール+ルノワール展。
年老いた巨匠ルノワールが、いきなり映像で現れたので仰天。
リウマチでゆがんだしわしわの手に絵筆を取って、
幸せそうにキャンバスに向かっている。

彼の名作と、
彼の息子ジャンの監督した映画との父子コラボレーション。
しあわせだなぁ、と思った。
まったく精神が健康で、豊で、天真爛漫。
フランス映画の大御所、ジャン・ルノワール。
映画の短編を一々楽しんだ。
父の描く理想的な健康的な明るい女性達、
その目線を尊敬して映画を撮った、息子ジャン。
非業の一生をとげた、
ロートレック父子とあまりにも違いすぎるではないか。

とはいえ、映画は面白い。
アンダルシアの犬。
赤い靴。
なども思い出す。
フランス映画の魅力的な時代の萌芽、だったのだ。

ということで、
本日は、とても優雅で充実の時間が持てた。
やはり、アートは、私の命の泉。
マッサージは身体の癒しだが、
アートは心の癒し。

外はすっかり春爛漫で、桜は葉を茂らせ、
ツツジ、ハナミズキに花が咲き始めていた。

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8 コメント

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松涛美術館 (とら)
2008-04-24 20:57:24
中西夏之の画に囲まれて、不思議な体験をしてきました。古代紫のようなあの点がしびれます。
松涛は良いですね。安いし企画がしっかりしているし・・。
次回は河野通勢。いま足利でやっているそうですが、松涛のチラシを握って待っています。
返信する
Unknown (oki)
2008-04-24 22:03:09
僕も今日松濤行ってきました。
本当は世田谷美術館の横尾忠則行きたかったのですがご本人のブログでカタログがまだできていないとあったので延期しまして。
こんかいの松濤の展示は観るのに時間がほとんどかかりませんね/苦笑。
作品の意図がわからないので千円のカタログ読んでもまだわからない!
ルノワールはそろそろ会期末で混雑しだしているのではないでしょうか。
ああそうそう松濤で国画会の「国展」の招待券おいてありましたね、ちょっと行ってみようと思ったのでした。
返信する
とら さま (あべまつ)
2008-04-24 22:45:37
こんばんは。
私はこの中西氏を存じ上げなかったのですが、
文章がまた難解な詩のようでした。
凡才の脳みそでは彼の境地に辿り着けそうにないことも感じられましたが、感じてみること、
それを切々と訴えているようでした。
次回も行きま~す♪
返信する
oki さま (あべまつ)
2008-04-24 22:57:03
こんばんは。
松濤の中西氏の連作を
真ん中のシートに座って、ぐるっと見渡して鑑賞しまました。ミクロの世界なのか、宇宙の世界なのか、
サイズが掴めないところが魅力でした。
企画によってがらりと雰囲気が変わるところが好きな美術館です。
「国展」気がつきませんでした・・・
横尾忠則、やっぱりそそられますよねぇ。
ルノワール父子展は、火曜日のお昼過ぎだったので、
そんなに混雑でもなく、充分鑑賞できましたよ。
明日は、出光にでも行こうかと思っています。
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良かったですね~ (ogawama)
2008-04-25 23:29:40
一人の時間、貴重ですよね。
最近渋谷に縁遠くなって、上記展覧会ひとつも行っていません。
ルノワール×2は行くつもりですが、あべまつさんの記事だととっても楽しそうなので、すごく楽しみになってきました。
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ogawama さま (あべまつ)
2008-04-26 14:27:04
こんにちは。
ようやく中学校の予定がわかってきたので、
フラフラ計画を練っているところです。
単純に一人時間無くなると、切れます。
困った母親です。笑

父描くあのピンクきらめく女性像を
息子の手によって映像化した変遷を見るようでした。
父の絵だけだと、あんなに親しい気分は味わえなかったかも知れません。
ルノワールの絵には、邪悪が滲んでいそうで、どうも怖い印象が強い私です。←ひねくれ者 笑
ogawamaさんもぜひお楽しみ下さい!
返信する
先週まいりました (清水)
2008-04-27 20:37:12

 松濤美術館には、私も先週まいりました。

 静かで自然な明るさのなかの1階にとどろく水の流れが心地よく、これぞ美術館という雰囲気でした。

 中西氏の作品には、鑑賞する者の想像力をいっぱいにひきつけられました。
 
 また、作品の配置も興味深く、有意義な時間を過ごすことができました。
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清水 さま (あべまつ)
2008-04-27 22:12:30
コメントありがとうございます。

会場に入ってすぐ、不思議な感覚におそわれました。
ガツガツ鑑賞するのではなく、
空間と時間と環境も一緒にゆったり過ごさないと、
中西氏の絵は遠いままなのかも知れません。

また、ふらりとコメント寄せて下さいませ。
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