あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

日本の書跡 ・泉屋博古館

2008-12-05 11:17:37 | 日本美術
泉屋博古館は、住友コレクションの筋の良い品格ある所蔵品を鑑賞できる。
東京分館なので、いずれ、本館を訪ねたいところだ。

今回は、書の名筆揃い。
王朝の格調高い書の美を見ることができた。
丁度東博でも料紙の小企画があるので、
あわせて見るのも良い。

また、泉屋博古館では展示された書の主要作品釈文を
配布してくれるので、
分からないなりにも、手助けとなった。

2,寸松庵色紙 伝 紀貫之 平安時代(11世紀)
      つらゆき
  ゆふつくよをくらの山になくしかの 
  こゑのうちにや 秋はくるらむ

このように、書いて下さると、つらつら繋がる優美な線が
また息を吹き返してくるようだ。

他にも恋の歌が美しくも切々と
あでやかな料紙の上に連なっていた。

佐竹本三十六歌仙絵切の源信明の一枚を見る。
そのすぐ横のケースには、
大正8年の佐竹本になるご案内手紙があり、
振られた番号に歌仙の名があり、ご丁寧に売られる値段まで
明記されてあった。

先日見た、森川如春はこれで一番を引いたのだった。

遊行さんから興味深いサイトを教わる。
私も当時のスクープ記事を発見した。
三井美術館の森川如春展で、
この佐竹本三十六歌仙絵巻を丁寧に複製した田中親美作の
ものが記憶に新しい。
そんなことも楽しい物語。

王朝の格調ある雅な書を見る。
見る、ということしかできない。
それが残念ではあるけれど、
今の私にはそれが限界。
それもヨシとしよう。

古筆手鑑
これは、珍しいものだそうで、8世紀から、18世紀までの
名筆が収集されたもの。
東京では初めての公開とか。

その奥に、立派な屏風が展示されていて、
驚いた。
見たことのない扇面散らし。
葛下絵扇面散屏風。 伝・本阿弥光悦

30枚ほどの扇面の一つ一つの絵も楽しいが、
扇の骨が右半分は黒、もう半分は赤、
違う扇は茶色も使われていたり、
とても斬新な手法だと思った。
古筆ばかりではなく、こういったパンチの効いた
屏風をワンポイント展示する工夫が嬉しかった。

奥の展示室では、江戸時代のものが並べられていた。
茶人達の書、
抱一の椿棗書状、
後水尾天皇、後陽成天皇などの天皇の文字。
貴族達の文字、藤原公任、定信、俊成、定家などなど
ご立派すぎる方々の文字。
良くこんな方々のものが集められたものだと、
いたく感心。
いたく感心するくらいしかできないところが
残念なところだけれど、
源氏物語の時代、藤原家の栄華の欠片を垣間見た気分だった。
六本木界隈のお散歩にぜひ。

12月7日まで。

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2 コメント

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Unknown (遊行七恵)
2008-12-12 21:33:45
こんばんは
「行かなくちゃ~」と思いつつ、時間配分のミスで行き損ねてしまいましたが、記事のおかげで「行った気分」です。
浜村淳の映画紹介のラジオ番組を聴いて、実際に見たヒトよりも細部に詳しくなる、あの感覚です~

以前逸翁美で、佐竹本のクジの展示とかみましたよ。
(逸翁は次世代なので、元の持ち主からクジも貰たのでした)
返信する
遊行 さま (あべまつ)
2008-12-12 22:30:16
こんばんは。
浜村淳子です~笑

あれぇ~とか、わぁ~とかそれだけの感想で、
恐縮です。
それでも、一〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(泉屋せんおくとやっったら、これが出た!)
泉屋をよくご存じだから、空気が伝わったのですね。
嬉しいです。
逸翁美は未踏で、関西ツアーした時にと思うのですが、休館と当たらないかと心配です。
近代の翁シリーズ、なかなか楽しめますね。
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